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ブライアン・ティアニー『立憲思想』

2010-12-28 16:00:35 | 読書
本書は、教会法を専門とし、

コーネル大学教授(執筆時)である著者が、

Constitionにまつわる思想の歴史について論じる著作です。


著者は、中世の教会法学者やローマ法学者などの膨大な文献を参照し、

立憲主義の思想的起源は、大分裂時代、さらにまで遡ることができると指摘。

その上で、団体、代表、同意、首長の権限への制限など

教会や世俗のConstitutionをめぐる具体的な論点についてより詳細に考察します。


急進的宗教革命者と反宗教革命者の論拠の一致、

大分裂を終わらせようとしたジェルトンとその逆説

クザーヌス『普遍的一致について』に見える人民主義と多元主義の胚胎など

興味深い記述ばかりでしたが、なかでも印象的なのは、

マルシリウスが相反する学説を巧みに折衷することで、

裁治権や同意について独自の見解を打ちだしたという記述です。



立憲主義や制度をめぐる議論の淵源を探るとともに、

中世教会法学が築き上げた、知の体系の奥深さを垣間見ることができる本書。


教会史や法制史に興味がある方に限らず、

多くの方にオススメしたい著作です。

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