本書は、第三回『幽』怪談文学賞で
短編部門対象を受賞した短編集。
筆者にとっては初の単行本となります。
旧友の通夜に出るため、東京から戻った女性と
田舎で暮らし続けた女性が交わす会話が、思いもよらぬ結末につながる「棘の路」
職場でパワハラを受け、自ら命を絶った女性の実家を
同じ職場に勤める派遣社員が訪れる「アブレバチ」
―など、古典的な怪談のスタイルを踏襲しつつも、
現代に生きる女性の情念や孤独を巧みに融合した作品が並びます。
それぞれの読後感は、なかなか重いのですが
最後に収められた「メモリィ」は、
家族を見つめなおす姿を描いたファンタジー調の作品で読後感もさわやかです。
そのため、全体を通読し終えたときにも無用な重さは残りません。
個人的に印象深かったのは、表題作である『枯骨の恋』
クライマックスは怪談等ではおなじみの情景ですが
それがいまなお持ち続ける淫靡さと恐ろしさ
そして、それらを現代に蘇らせるストーリーが相まって、
忘れられない読書経験になりました。
近年、何がなんだかわからなくなった感のある「ホラー」において
正当な「怪談」の怖さや醍醐味を思い出させてくれるとともに
まぎれもなく現代を描いている本書。
怪談、ホラー好きだけでなく
一人でも多くの方に読んでいただきたい作品です。
短編部門対象を受賞した短編集。
筆者にとっては初の単行本となります。
旧友の通夜に出るため、東京から戻った女性と
田舎で暮らし続けた女性が交わす会話が、思いもよらぬ結末につながる「棘の路」
職場でパワハラを受け、自ら命を絶った女性の実家を
同じ職場に勤める派遣社員が訪れる「アブレバチ」
―など、古典的な怪談のスタイルを踏襲しつつも、
現代に生きる女性の情念や孤独を巧みに融合した作品が並びます。
それぞれの読後感は、なかなか重いのですが
最後に収められた「メモリィ」は、
家族を見つめなおす姿を描いたファンタジー調の作品で読後感もさわやかです。
そのため、全体を通読し終えたときにも無用な重さは残りません。
個人的に印象深かったのは、表題作である『枯骨の恋』
クライマックスは怪談等ではおなじみの情景ですが
それがいまなお持ち続ける淫靡さと恐ろしさ
そして、それらを現代に蘇らせるストーリーが相まって、
忘れられない読書経験になりました。
近年、何がなんだかわからなくなった感のある「ホラー」において
正当な「怪談」の怖さや醍醐味を思い出させてくれるとともに
まぎれもなく現代を描いている本書。
怪談、ホラー好きだけでなく
一人でも多くの方に読んでいただきたい作品です。