小川眞著 『キノコの教え』
一昨日まで、大雨で西日本で多くの被害者が出た。
化石燃料を浪費し、地球環境が乱れている。
その一例として、キノコが揚げられる。
キノコも健康食品のイメージがあって、便秘やガンにきくという。そのため、市場でよく売れる。売れればたくさん作りたい。かつては、木ノ子だったが、今は中国では「工場の子」となってしまった。
著者はキノコの観察会で山へよく行く。その時、「これ食べられますか」と尋ねられる。
「明日、目が覚めれば、大丈夫でしょう」と言うと、ほとんどの人が捨てる。
総じて、毒キノコの色は地味な色が多い。
キノコの名前を覚えるには、食べるのが確かだが、危険なので、噛むのが良いという。但し、絶対に飲み込んではいけない。
もし、からかったり、苦かったり、嫌な臭いだと、脳裏に焼き付いて忘れないという。
反対に、好い臭いや、独特の味があったり、歯ごたえあれば、これも記憶に残る。
どんな食品も医薬品も、原始から人体実験を通して、記憶して子々孫々に伝えて来た。
どれほどの犠牲者が出たことだろう?
現代も、キノコ中毒者はいるようだ。世の中いつでも、変人奇人はつきものなのか。
マツタケがよく出た頃、豊凶予想に、「山豊作で里凶作」という表現があった。夏が涼しく雨がよく降ると、コメは凶作で、キノコは豊作という。しかし、最近、このジンクスがはずれた。
異常気象が毎年、続いている。ひょっとすると、キノコが人類に将来の危険を教えてくれているのかもしれない。
1 「キノコは、木の子供という意味。古くはタケまたはクサビラといい、漢字で茸と書いていた。
耳の字を使うのは、昔、日本に多かったヒラタケが、耳たぶに似ていたからという説がある。
タケは、猛り立つ、あるいは、たけるからきたという。キノコが思いがけないところからニョキニョキと出てくるので」
シシェイクスピアの『真夏の世の夢』に、妖精がダンスをした跡だとして、フェアリングと呼んだ。
日本では、マツタケも輪を描いているので、天狗が角力を取った跡と思い、「天狗の土俵」と呼んだ。」
僕が、キノコで好きなのは、やはり、この耳型だった。なぜかわからないが、この本を読んで納得できた。
2「キノコに含まれるセシウム137の濃度は普通の植物に比べはるかに高い。
野生のベリーやカシューナッツ、チャの葉が高い。
核実験から発生するセシウムはセシウム137が主。半減期の短いセシウム134は少ない。
1960年代の核実験から出た放射能が、森林の中を動き続け、三十年近くたって、キノコに出てきたのも奇妙なことだ。」
健康に良いといわれるカシューナッツもセシウムが含まれている可能性がある。テレビの健康情報は百パーセント信頼してはいけない。
キノコは一つ間違えば、恐ろしい食べ物となる。この前の東北大震災の時も、そこで、できたキノコを食べるのは控えたい。
どこで出来たかを買う前に確かめたい。
3 「ヒマラヤ山脈ができたのは、恐竜が滅んだ6500万年前頃と言われる。
樹木とキノコの間で菌根が盛んに作られた時期と符合する。これを共進化というが、不思議なことに、キノコが共生する樹木はすべて大木である」
陸上植物が現れて以来、新しい種は常に新天地を開拓するために、環境条件が厳しく、競争相手のいないところを選んで広がった。その時、お守り役を買って出たのが、目立たない控えめなキノコだったのは愉快だ。
植物とキノコの共生には、偏利共生、相利共生、任意共生の三つあり。
偏利共生は、マツタケのような寄生菌に近い性質を持った菌がつく。病気に似た疑似菌根ができる。
相利共生はショウロのような純共生菌が根に付く。互いにメリットあり。被害の兆候がない。
任意共生は、府生菌がたまたま特定の宿主と出会い、根に菌根類似の状態で着生」
俗に言うと、偏利共生はヒモ、相利共生は相思相愛、任意共生は今晩おひま、ということになる。
4「所得が増えると、食べ物の質が上がり、衣類がきれいに。住まいから電化製品、車へと。食べ物の質はタンパク質や油脂の多い食事に。高所得者に肥満が増え、成人病になる。この社会的変化を、レスターブラウンはジャパン・シンドロームと名付ける」
レスター・ブラウンは日本をちょっと馬鹿にしていると思うが。自分の国を棚に上げて。
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