よもやまカンボジア

カンボジアの日本語学校で起こった不思議な出来事を…。

「伝える」って難しい。。。

2006-06-02 07:47:04 | Weblog

学校の掃除や料理担当のお手伝いのリンさんは、カンボジアの肝っ玉母さんのような人。リンさんはもちろん、日本語も英語もわからないので、通じ合うためには私たちの片言のクメール語とボディランゲージと笑顔のみ。でもまあ人間やっていけるものである。今ではちょっとした表情などで、ある程度の気持ちもさとれるようになった。リンさんも私たちがクメール語を理解しないのをわかっているはずだが、噂話などホットなニュースがあれば、何事もなかったように、クメール語でガンガン話しかけてくる。

そんなリンさんと私たちがもっともよく話すのはやはり、食べ物の話題。リンさんは私たちの昼ごはん、晩ごはんを毎日作ってくれるので、今日の料理は何?とか今日の料理はどうだった?などそんな話が多い。私たちも言葉が通じない分、おいしいときは最大の微笑みとともに、おいしい!と伝えたい。それってコミュニケーションの基本である。作ったものをおいしいといわれて、うれしくない人がいったいどこにいるであろう。

しかし、問題はその後である。私たちが「おいしい」というとリンさんはその料理を作り続けてしまう。もともとそんなに料理のレパートリーもないし、たしかに外国人相手に昼・夜と毎日違うおかずを決められた予算で作るのはなかなか大変ではある。でも1週間に何回もしかも昼、夜と同じ料理が続くと日本人としてはちょっと・・・なのである。料理はおいしいし、好きなメニューである。しかもリンさんは私たちが好きだと思って、100%の善意で作ってくれている。しかし・・・である。さんざんおいしいとほめておいて、いまさらもう作るなともいえず(おいしくない、作らないでくれといったら、今度は永遠にその料理は出てこない)、なかなか難しい。

以前、ある先生がリンさんが作ったやきそばがおいしいといった。リンさんは「そうか、そうか」といった顔でうなづき、それから数週間やきそば攻撃がやむことはなかった。やきそば好きのその先生は喜んでいたし、そのやきそばはおいしいんだけど、みんな最後のほうは無言であった。それから、私たちはどんなにおいしくてもあまり「おいしい!」というのはやめようと、心に誓ったのである。

最近続いているのは、緑色の寒天のようなデザート。私はかれこれ2年半くらいここにいるが、ある日リンさんが突然そのデザートを買ってきた。今までくだものを買って来てくれることはあっても、デザートを買ってくることはなかった。今は教師も女性人が多いので、みな喜んでおいしい、おいしいと食べていた。そして・・・。今は一体、1週間に何回その緑の物体を食べていることだろう。。。食べる量もだんだん減ってきた今日このごろ、1回で消費することもできず、昼に夜にと緑の寒天を食べる私たち。カンボジアのデザートは種類もいろいろあるのだが、毎日緑を食べる日々。

リンさんはなかなか極端で、忘れているのか、みんなが嫌いだと思ってしまったのか、作らなくなるとずっと作らない料理もある。最近ぜんぜん作らないあるメニューがなんとなく懐かしくなり、ぽろっとリンさんに「○○が食べたい」といってしまった。その日はひさびさのメニューに喜びおいしくいただいたのだが。。。今はその料理が続き始めた。ああ、伝えるのって難しい。


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