パンダパンダ天国…☆

キルギス少年アイディは、日に日にやかましくなってきた。
ガツガツした若手芸人にも見える。
空回り、先走りの発言に加え、人の言ったことをそのまま繰り返したりもする。
それがあたかも自分の意見のように、言った本人よりはっきりした口調で言う。
他の子が当てられているのに、その子がなかなか答えないと「先生、僕が答えていいですか？」とでしゃばってくる。
自分が答えると言ったくせに、しゃべり始めるとしどろもどろ。考えをまとめてから答えてほしい。

彼は小学生なんだ。ちょっとかわいくなってきた。
スライドにパンダの写真が出ただけで彼は「パンダ！パンダ！四川のパンダ！」と興奮気味に言った。
授業で発言する内容ではないし、何を主張したいのか、どうして四川限定なのかわからない。

昼、日本から送った即席麺があったので、炒めた野菜を載せて、日本人５人で食べた。
やさしい味。落ち着く。
ハルちゃんは「これ、千円払ってもいいくらいですよ」と言った。人を喜ばせるのが上手～。
なんでもないような味が幸せ。日本で普通に得られていたものがここでは難しいのだと知るその度、頭の中で「ロード」が流れる。
とにかく、ここの食生活は「麻辣（マーラー）」から逃れるのが難しい。
麻は痺れる味、花椒が入るだけで舌がやられる。辣は辛い味。
あたしはすっかりこの麻辣が嫌いになった。

年末が近づいてきて、日本では今年を代表する漢字を募集しているころかしら。
あたし個人の、今年の漢字１文字を考えてみる。
やっぱり「留」かな。留学を始めて、そのまま留まることにしたし。
年末までにもう少し考えてみよう。
あたしの嫌いな漢字１文字は間違いなく「麻」だけど。

ご飯を食べた後、先生に呼ばれていたので行った。
演説大会の演技指導だった。クラスでは５人参加するのだけど、こんな指導が入るのは、なんだかあたしだけのような気がする。
期待されているのかしら。プレッシャー…。