試運転 ~TRIAL RUN~

初心者の拘りと見切りが激しい自己責任による鉄道模型軽加工記録

新京成N800形モハN847[N848F] 4次車 現行色 (動力ユニット整備,千葉中央寄PT-71系パンタグラフ台座修正施工)

2019-01-06 21:57:48 | 京成線
辟易。

マイクロエース製新京成N800形モハN847現行色(4次車:N848F)を入場させた。
工程は動力ユニット整備以外に歪みが生じている千葉中央寄パンタグラフ台枠の修正が加わる。
どちらも苦戦は明白だが手順を抑えられている動力ユニット整備から開始した。


新京成N800形モハN847 4次車 現行色(N848F:動力ユニット搭載車)。

京成新3000形3002F現行仕様(1次車:3002F)までは動力ユニットへの純正グリス投入が控えられる方向にあった。
これを踏まえ京成3600形3608F朱帯色後期仕様(1次車:3608F)を入場させている。
しかしモハ3606(3608F)が装着するFS-513動力台車は予想を裏切り白濁物質で埋め尽くされていた。
脱脂に手を焼き動力ユニットの整備だけで約60分を要している。
リリース時期が近いN848Fも当然同様の状態だと予想された。
パンタグラフ台枠修正を含むモハN847の第二次整備はモハ3606より長引くものと腹を括った。


入工中のモハN847。

入場前の単独試験走行では力強さが全く感じられなかった。
起動電流は高く中速域も伸びやかさを欠きこの状態で1M5Tを組むには厳しいと思える程である。
マイクロエース製動力ユニット搭載車は全て導電板研磨を施した。中には起動電流低下が確認された個体も存在する。
よってモハN847の導電板は分解前から期待出来ない状況だと読めてしまった。
当初よりラプロス#4000を手元に用意し作業を開始している。


モハ3606の状態を下回ったモハN847用動力ユニット。

諦め半分で動力ユニットを分解するとモハ3606にさえ届かないユニットカバー裏面の酷さが目に入った。
鈍い色に変化した導電板は予想通りだったが裏面全域が油脂に塗れている。
スパイラルギアカバーの丸孔は純正グリスで埋め尽くされておりここから流出した模様である。
ラプロスでの導電板研磨より先にユニットカバーの清掃が待っているとは思わなかった。
クリーナーでユニットカバー裏面と導電板を同時に拭き上げる。
油脂量が多くプラスチックの艶が消え去るまで大幅な時間を割かれている。


順調に進められた導電板研磨とモーター軸への注油。

油脂さえ無くなればFS-564S動力台車の整備まで従来方式で一気に作業を終えられる。
指紋のような跡が着いていた導電板はラプロス#4000にて真鍮色へ戻しクリーナーで仕上げた。
トルクが細く感じられたモーターは無負荷駆動試験でも一向に改善が見られない。
そこで新製投入車では出来るだけ控える方針だったモーター軸への注油に踏み切る。
再度無負荷駆動試験を行ったところ起動電流低下と回転率向上が確認出来た。
モーター周りの摺動抵抗は廃されたらしく1M5Tでも差し支えない状態に到達した。


ギアボックス内部を覆う純正グリス(松戸寄)。

ユニットカバー裏面の具合からギアボックスには過剰なグリス投与が行われていると思われた。
FS-564S動力台車を分解すると覚悟していた以上の純正グリスがギアボックス内に盛られていた。
モハ3606をも凌ぐ純正グリス量で早々にクリーナープールを持ち出している。
先に爪楊枝や綿棒で掬えるだけの純正グリスを取り除く。
その後次々と構成部品をクリーナープールへ投入した。
グリス除去は焼け石に水と言え透明のクリーナーは瞬く間に白く濁る有り様だった。


脱脂を終えたFS-564S動力台車構成部品(千葉中央寄)。

クリーナーに浸かった部品はカプラーアダプター,台車集電板,ロアフレームを除く全てとなった。
この数量は過去最多へ達し如何にモハN847の純正グリス投入量が夥しかったかを示していると思う。
なおロアフレームは物理的にクリーナープールへ入らなかっただけである。
動軸ギアは専用クリーナープールを用いたが車軸全体にまでグリスが及んでいた。
専用クリーナープールは車軸まで届かないため別途脱脂を施す必要性に迫られている。
クリーナープールから引き上げた各部品だが細部のグリス溶解には至らず極細綿棒と歯ブラシで仕上げを行った。


KATOカプラー化されたFS-564S動力台車(松戸寄)。

FS-564S動力台車への純正グリス投入量は千葉中央寄,松戸寄とも同程度であった。
効率化を狙い並行作業としたが最終仕上げに思いの外時間を要し効果があったか判らない。
最後の最後まで純正グリスに行く手を阻まれる散々な目に遭った。
KATOカプラー化だけで整備を終えられるのが理想的だがせめて3002-7(3002F)程度の投与に留めてもらいたい。
まだ京成3600形3648F現行色(3648F),新京成N800形N838F京成千葉線直通色(3次車:N838F)が未入場で残る。
再びこの展開が待っていると思うだけで嫌気が差す。


中央部が湾曲するユニットカバー。

最後にギア部へ微量のタミヤ製グリスを塗布し動力ユニットを組み立てた。
モハ3606(3608F)用動力ユニットでも見られたがユニットカバーには撓みが生じる。
台枠との嵌合部が車体嵌合爪受を兼ねる構造のため少々気掛かりな箇所ではある。
今のところ改善策は見当たらず整備前と同形態で組み立てた。
延長された絶縁シートが絡んでいるように感じられるものの厚みは殆ど同じで何とも言えない。
整備を終えた動力ユニットは快調な駆動を見せ当初の不安を一掃している。


地味に改良されていたPT-71系パンタグラフ(千葉中央寄)。

動力ユニット整備は約100分に達したがモハN847には課題がまだ残されている。
パンタグラフ台枠が変形した千葉中央寄PT-71系パンタグラフの補修に取り掛かった。
PT-71系パンタグラフは4脚嵌合式ながら車体との固定は2箇所しか施されていない。
流し込み接着剤の塗布量も控えられ容易に取り外せている。
ここで初めて釣合棒が金属製に変更されていると気付いた。
オールプラスチック製から脱却したシングルアーム式パンタグラフならどうにかなりそうな予感が漂う。


修正が行えた千葉中央寄パンタグラフ台枠(山側)。

山側のパンタグラフ台枠が歪んだ箇所はちょうど釣合棒の支持部と重なっていた。
支持部の均衡を崩すとパンタグラフそのものが機能しなくなる。
特に釣合棒の嵌合爪は繊細な成形が成されており他社製を含め極力修正を避けてきた。
単に釣合棒が金属製に変わっただけながらパンタグラフ台枠の修正から要注意箇所が減った。
海側のパンタグラフ台枠を基準に変形代分だけ押し戻す。
釣合棒との支持部へ負荷が避けられない修正方法だったが昇降に影響は生じなかった。


4点溶着とした千葉中央寄パンタグラフ固定。

従来構造であれば撤去した時点で改修を見送っていたと思う。
たった1部品の材質変更が不得手のシングルアーム式パンタグラフ修正を可能にしてくれた。
コスト面では不利になるものの今後も継続してほしい。
ちなみにパンタグラフ台枠が変形した要因は取付脚が均等に嵌まっていないためだった。
2点溶着の踏襲は再発の恐れがあり4点溶着に改めている。
また無瑕の松戸寄PT-71系パンタグラフには手を加えず2点溶着のままとした。




モハN847(動力ユニット整備,千葉中央寄PT-71系パンタグラフ修正,車体清掃施工)。

千葉中央寄PT-71系パンタグラフは無事に修正を終えた。
後は組み立てるのみだったが車体側板各部で発生する曇りに目が止まった。
拭き上げだけで済むと思われた車体清掃は予想外の方向へ進む。
曇りは油脂付着が原因で乾燥したクロスでは状況を悪化させるだけだった。
広範囲に渡ってしまった車体へのクリーナー使用は憚れた。
水で湿らせたクロスを油膜の除去に用い磨きクロスで仕上げを施している。


モハN848+モハN847 (N848F:非動力車+動力車)。

油脂は純正グリスの可能性が高く放置すると塗装を傷めてもおかしくなかった。
たまたま曇りに気付けたがこれが製品由来か整備の不行き届きに拠るものかは判らない。
PT-71系パンタグラフ修正へ移行するまで車体には触れておらず直前に手袋も交換している。
今ひとつ腑に落ちないがN838Fの整備では十分に気を付ける必要があるだろう。
モハN847の第二次整備は約130分で終了した。
予定より早く完了を迎えられたのは金属製に変更された釣合棒のお陰と言える。
製品仕様に足を引っ張られると思いきや手助けを借りる珍しい入場だったと思う。
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