試運転 ~TRIAL RUN~

初心者の拘りと見切りが激しい自己責任による鉄道模型軽加工記録

京成3150形モハ3171[3174F-2] 現行色 前期仕様 前尾灯非点灯車用プリズムケース完全分解試行

2018-10-15 21:47:35 | 京成線:3150形
無謀。

グリーンマックス製京成3150形のライトユニットは物理的に分解が行えない。
在籍する3150形は通過標識灯非点灯化を施した車両が多いがプリズム先端を塗り潰すしかなかった。
しかしライトユニットの着脱時に被膜の剥離が多発し都度対策を行ってきた。


京成3150形3174F 現行色 前期仕様+3186F 新赤電色 2両口。
3174F-2:[3174]-[3173]-[3172]-[3171]+[3184]-[3183]。
※4+2混色編成。

現在千葉急行3150形3154F(3154F-1)を加えた6編成が[普通]運用に設定されている。
製品標準で通過標識灯が点灯する構造は画期的だった。
しかしライトスイッチは前照灯と通過標識灯が連動してしまう。
そのため前照灯点灯+通過標識灯非点灯の組み合わせが再現できず到底[普通]運用には似つかわしくない。
通過標識灯の非点灯化は直接減光式を参考にプリズム先端をマッキーで塗り潰す方法が採られる。
しかしマッキーではインク被膜が弱く透過を防げなかった。
そこで下地に銀色油性ペイントマーカーを塗布しマッキーを重ね対擦過性の向上策が図られる。
これでも分解時に通過標識灯用プリズムが車体と擦れてしまい完全消灯化は時間を要する工程となった。


入工中のモハ3171現行色前期仕様(3174F-2)。

入場の度に修正を図る状況から脱したい。
通過標識灯用プリズム先端の塗り潰しに加え光源への入力を抑えれば非点灯化工程が単純化されると考えた。
ライト基板と通過標識灯用プリズム入口に間接減光式を採り入れ絶対光量の抑制へ結び付けようとした。
ただ先頭車両での試行は危険要素が多過ぎ手を出せない。
在籍組成から唯一先頭に立たない運転台付車両のモハ3171現行色前期仕様(3174F-2)が試作車に抜擢される。
他前尾灯非点灯車両は休止中ながら逆組成に対応させており何時その機会が訪れるか分からない。
一方3174F-2は3174F現行色前期仕様+3186F新赤電色2両口(3174F-1+3186F-1)の新旧混色編成が特徴である。
3174F-1は4+2編成以外での組成を考慮せずに出場させた。
よってモハ3171のプリズムケースはほぼ原形が保たれており試行に適していた。


撤去したプリズムケース。

唯一手を加えた箇所は尾灯用プリズム先端の赤色化である。
これも赤マッキーによる再現で復旧は容易だった。
早速モハ3171を入場させ通過標識灯用プリズム入口への間接減光試行に着手した。
3150形のライトユニットは引き抜くだけで取り外せる。
ここは塗装済キットが出自の京成3400形,3700形とは大きく異なる箇所となった。
モハ3171はライト基板が装着されていないため単なるプリズムケースの役目しかない。
ライト基板の代わりに灰色のスペーサーが嵌め込まれている。
基本構造はライトユニットと変わりない。
そのため他編成の中間組込運転台付車もライト基板,導電板,台車集電板,ライトスイッチを組み込めば先頭に立たせられる。


4pcs式だと思われた各プリズム。

スペーサーを取り外すと各プリズムが目に入った。
通過標識灯用プリズム先端から光源を当てると前照灯用プリズム奥への導光が確認できた。
透過具合を見ると前照灯用,左右尾灯用,通過標識灯用に分かれているように感じられる。
プリズム撤去は尾灯用から開始した。
取り外しの始点は車体中央寄が折損確率を下げられると読む。
ところが2pcs式に見えた尾灯用プリズムは左右一体成形であった。
助士側尾灯用プリズムを先に引き抜く作戦は早くも躓く。
窮屈な嵌合を示す尾灯用プリズムと苦闘しながらも梃子の原理で撤去まで漕ぎ着けた。


約10分を要した尾灯用プリズムの撤去。

次なる壁は前照灯用プリズムだった。
尾灯用プリズムで通用した撤去方法は全く歯が立たない。
導光部が接着されていると予想し前照灯レンズ部をプリズムケースから外す手段に出た。
仮に接着式であれば作業中に前照灯用プリズムが脱落してくれるかもしれない。
しかし淡い期待は儚く散った。
いくら前照灯レンズ部を押し込んでも前照灯用プリズムは動く気配すらしない。
止むを得ず導光部を湾曲させ強引にプリズムケースの丸孔から前照灯レンズ部を引き抜いた。
それでも前照灯用プリズムはケース内へ留まったままで手詰まり状態に陥った。


約15分を掛けても取り外せなかった前照灯用プリズム。

さすがに作業中止もちらついた。
しかし通過標識灯用プリズムへの間接減光式採用にはプリズムケースの構造解析が必要である。
気を取り直し通過標識灯用プリズム側へ視点を移した。
2pcs式のプリズムケースは完全接着ではなく運転台側ライトケースの天面が浮いている。
ここから通過標識灯用プリズムの引き抜きを試みる。
モハ3171のプリズムケースは助士側の接着が甘かった。
車内側ライトケースを斜め後方へ倒し通過標識灯用プリズムの始点を探る。
少しずつ通過標識灯用プリズムを外側へ張り出させている最中に突然プリズムケースが分離した。
接着されたプリズムケースの分解は全く考えておらず計算外の展開となった。
それと同時に驚愕の構造が露わになる。


突如分離したプリズムケース。

各々が単体かと思われた前照灯用,通過標識灯用プリズムは兼用の1pcs式だった。
これでは前照灯用プリズムが取り外せないのも当然である。
通過標識灯用プリズムに間接減光式の採用は不可能とも判った。
ただこのまま引き返すのは癪に障る。
モハ3171用通過標識灯用プリズムで間接減光点灯試験を行いせめてもの抵抗とする。
数多く存在する屈曲部は全てマッキーで塗り潰した。
更に導光端部と予想した箇所も黒色化される。
通過標識灯レンズ部は減光効果を確認するため手は加えていない。


闇雲に塗り潰した通過標識灯用プリズム屈曲部。

モハ3171用プリズムケースは上手い具合に前後が分かれてくれた。
破断や欠損は見られず各々隙間無く接合が行えそうだった。
しかし大きな負荷を与えた両プリズムが組み立てを阻む。
変形代がプリズムケース同士の密着を難しくさせた。
前照灯,通過標識灯用プリズムより尾灯用プリズムが接着の鍵を握る模様で微調整に追われる。
ここを乗り切らないとプリズムケースが復旧出来ないため何度も角度変更を繰り返した。
ようやく両プリズムが正規位置に収まったのは約60分後であった。
何とか復旧の目途が立ち前後プリズムケースを接着する。


復旧中のプリズムケース一式。

プリズムケースは爪嵌合式でもボス嵌合式でもない。
よって接着は断面の成形を基準にするしかなかった。
製品仕様は流し込み接着剤固定でありこれを踏襲する。
プリズムケース同士の隙間が生まれないよう慎重に接合し表面成形を揃えた。
流し込み接着剤は両プリズムケース断面に残る溶着跡分だけの塗布としている。
強度面の不安があったが強力な溶着が行え自然分離は生じないと思われる。
前後プリズムケースは段差を生じさせずに平行へ戻せた。
傷だらけの各プリズム以外にライトユニットとの差異は伺えず最大の危機を乗り越えた。


モハ3183から拝借したライト基板。

減光対策の効果確認はモハ3183(3174F-2)用ライト基板,TR-180床板一式を一時的に装着し行う。
ライト基板は爪嵌合式でライトケースに負荷が掛かる。
モハ3171用プリズムケースはこの時に強度が感じ取れた。
ライト基板も前尾灯点灯車と同位置に決まり各プリズムの変形が及ぼす影響は見られない。
最後に尾灯レンズ部を赤マッキーで塗り潰した。
臨時でライトユニット化されたプリズムケースを車体へ挿入する。
前尾灯用プリズムと通過標識灯用プリズムの位置関係が僅かに狂い装着は一癖あるものに変わった。
但し車体への装着が確認されプリズムケースは一応分解前の形状に戻せた。


モハ3171 点灯試験[B07 高砂]:通過標識灯間接減光試行。


モハ3191 点灯比較[B31 津田沼]:3194F-1(前尾灯点灯,通過標識灯非点灯化施工車)。

悪足掻きとなった通過標識灯用プリズムへの間接減光試行は予想を上回る結果を見せた。
レンズ部は未措置で透明を保っているが漏光が一切発症しない。
多くの屈曲部を塗り潰したため何処が完全消灯の決定打になったかは不明である。
考え方は間違っていなかったらしく思わぬ成果に至った。
ただ余計な箇所まで黒色化した模様で前照灯照度までが低下してしまった。
再施工へ取り掛かる気力は残っておらず通過標識灯非点灯化の事実だけで十分だった。
点灯試験を終えモハ3171の原形復旧に取り掛かる。
ライトユニットの撤去は回避し直接ライト基板を取り外した。


原形に復帰したプリズムケース。

スペーサーもプリズムケースを車体に残したまま取り付けた。
車内側ライトケースはライト基板取付時とスペーサー復旧時の二度に渡り負荷を受けた。
しかし影響は現れず溶着部の変形も見られない。
今後モハ3171は中間組込車で終始する。
入場機会は車体改修程度で限られると思われ無茶な細工の弊害に悩む展開には至らないだろう。
なおモハ3171に点灯機構を貸し出したモハ3183は通過標識灯非点灯化の再施工を行った。
たった一度の取り外しで被膜が剥がれてしまい間接減光式の併用見送りが残念に思える。
モハ3183の通過標識灯漏光はプリズム先端が露出した証でもある。
そこで下地処理を油性ペイントマーカーから油性メタリックマーカーに変更した。
マッキーによる黒色化は従来通りで外観は変わっていない。


モハ3183 点灯試験[B25 高砂]:通過標識灯非点灯化再施工。

取り敢えず油性メタリックマーカーはライトユニット装着に耐えてくれた。
油性ペイントマーカーは塗斑が生じ易く一回の施工で完全消灯に達しない事例も存在した。
新たに採用した油性メタリックマーカーは金色である。
側面窓セル窓サッシ印刷の補修に使用している銀色油性メタリックマーカーのセット品で用途が無かった。
地色を活かす通過標識灯擬似点灯化にも向いているかもしれない。

振り返るとモハ3171での通過標識灯間接減光式併用試行は無謀な工程だった。
弾みとは言えプリズムケースの分解を招き窮地に陥っている。
よく原形に戻せたと思えるほどでライト基板の組み込み以外では二度と手を出さないと思う。
完全なる空振りで終わらせなかったのは半ば意地であった。
恐らくモハ3171の点灯試験も今回が最初で最後になるだろう。
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