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樹業人~風の通心

持続可能な社会や森林・建築・木製品について、気ままに こそっと考える為のネタ帳です。

岩魚が生きられない水

2007-11-29 | 壊れかけてる森林
昨日 びわ湖の東側の森林の持続ある流通を
どうして行こうかなーという集まりに行った。

そこで 山の仕事をされている永源寺の方と話をした。

炭焼もされているそうだが 岩魚も育てておられるらしい。

岩魚は 清流にしか住めない。
永源寺は かなり上流で川に生活排水が流れているわけではない。

かなり前から 天然の岩魚は獲れなくなっているのは知っていた。
炭を入れから岩魚が育つようになったという事だ。

そんな上流の川の水質が悪いという事は 
森林から流れてくる水が ヤバイという事である。
それも かなり前から・・・。

今まで 結びついていなかったことに 愕然とした。
 
水は 水。 森林は 森林じゃなかったのよねぇ。

12月1日に ブックマークにある「炭は地球を救う」
炭作さんの奥矢作で「だいず先生…」の名古屋大の
高野先生が進行役をされてシンポジウムがある。

永源寺の方にも以前資料を送ってあった。
昨日 お会いして
「シンポジウムの事 教えてもらってうれしかった」と
言って頂いた。もちろん 参加される。
この方も 炭窯の近くの木が元気な事を実際に知って
いる人だ。

もう一人 霊山の山で仕事をされている方も
最近 山の樹に元気がない事に気がつかれとの事なので
炭を森林に還して 元気にしたいという話をしたら 
ぜひにと言われて 一緒に行く事になった。 

永源寺から 多賀 彦根に続く鈴鹿山脈で仲間が
少しづつ増えつつある。

シンポジウムの詳しいことは 炭作さんのブログ
ご覧下さい。

 

鹿がなぜ 増えたか

2007-11-16 | 壊れかけてる森林
今日は ずっと山の仕事をされてきている
まさに「山を守り 育てるプロフェッショナル」な 
おじ様とお話してきました。

鹿がなぜ増えたか。

この間、木を伐採する事を仕事にされている
素材業者の社長には、普通は年1回しか子供を
産まない鹿が 年 二回 出産すると聞きました。

今日は、鹿の子供が死なないからだと聞きました。
動物愛護からだと良い事に聞こえますが
温暖化で私たちの町も 以前と比べて
ずいぶんと雪の降る量が少なくなり
昔は、10匹中5匹位しか冬が越せなかったのに
今は とても生存率が高いそうです。

前回のブログのリンク先にもありましたが
フィンランドでは、温暖化が原因で土壌が凍らず
木材の搬出が大変だそうです。

今まで フィンランドからの建築材の輸入は とても
多かったのです。

ミサワさんをはじめ フィンランドからの輸入に
頼っていたハウスメーカーさんは 大丈夫かしら、
ありゃ もしや うちも入れてたりしてぇ~~~

じわり じわりと色々な所に影響が出はじめてますね。

そうそう 話を鹿に戻すと 実際に 小鹿が根っこの方から 
杉の樹皮をめくり 樹液をなめているのを目撃されたそうです。

樹皮がめくられると その木はほとんどダメになってしまいます。

これは 餌の問題だけではなく やはり山の水でしょうねぇ。

それと スギカミリの話をしましたら
最近は ○○ダニ(正式名称を聞きそびれました)も
ひどいぞー と おっしゃっていました。

たぶん これも後から問題になってくるんだろーなー。

ケヤキも枯れてきているそうです。あー悲しい。

ナラ枯れの研修に行かれたそうですが
やはり 思ったとおり 枯れた木をどう始末するか
又 薬のやり方や 伐採した木の殺虫の方法の
レクチャーだったそうです。

殺虫剤まいて、後の廃棄物処理は どうするのでしょう。

炭にすれば 虫は死ぬし その炭を せっかく
それまで育ててくれた大地にありがとうの意味もこめて
還せばいいのにねっ。

って 多賀大社なんだけど もしかしたら動き出すかもしれません。
鎮守の森だし なんとかしたいのよねぇ。
おじ様も 実際に炭焼窯や小屋のあった辺りの樹が とても元気だというのを 肌身でご存知なので「そりゃ ええことや」と言って頂きました。

それと ずっと 山を見てこられた方は やはり時間のスケールが違います。

営林署の方が、もう森林はぜんぜんだめですわーと嘆いているのを
「何 言ってるんや。1本1000円やったとしても すごい金額やし
何年かしたら すごい財産になるんやでぇ」と 言われたそうです。

私も そう思います。

今までと 今しか見ていないと 悲惨ですが 少し先を見ると
森林環境の悪化と 後継者の問題を抜きにすると
日本の森林の未来は とーーーって明るいと思います。

今 その二つの手を打つのが 一番大切なのではないでしょうか。

杉が泣いている。山は悪くない。

2007-11-01 | 壊れかけてる森林
以前のブログに 鹿が杉の木の樹皮をはぐという写真を載せました。

本当に 杉の木から流れる樹液は 涙とか血とか そんな感じでしょ。


この画像をクリックして下さい。

たぶん 同じ場所に生えていた木を今日製材したようです。

悲しい。
リンク先の写真を見ると 樹液を出して
一生懸命 治そうとした形跡が見られます。
製材をすると とても 使えそうにありません。
生えていた場所は たぶん学校林だったと記憶しているので ちゃんと手入れがされている場所です。

針葉樹を植えすぎて 広葉樹が少なくなって実のなる樹がないからだとか 間伐しないからだとか 草が生えないからだとか 自然保護で狩猟する人が少なくなって鹿が増えたからだとか言われていますが 

山のせいにするのは もう やめたいし やめてもらいたい。

経済や産業・日本人の生活を優先してきた事が こんな事をおこしているの。

誰かのせいではない。

今 豊かに暮らしている私たちが 山をこんなにしてしまった。

手入れ不足だから なんて とんでもない。
しかたがなかった。
戦争や その後の復興 みんながマイホームを持つ為に
伐採して このままだったら日本の森林がまずいという事で
木材の輸入を自由化した。

樹が大きくなるまでは 売れないし 林業以外の仕事も必要だった。
一時期、儲けた人もいるけれど そんなの ごく少数だ。
それまでの循環を壊したのは、山の人のせいではない。

工場や自動車から、もくもくと煙を出して大気を汚し
やっと 日本は少し落ち着いたと思ったら 隣の国からも
飛んでくる。

どうして 大気の影響があるかもしれないとわかった時に
対処しなかったのだろうと 悔やまれてならない。
年輪を見ていると 辛くなる。
警告を鳴らした人や 現象はいっぱいあったのに…。

湖西の高島では 竹さえも枯れてきていると知った。

ササが枯れてあたりまえだ。

ササ枯れを 鹿のせいにしては また判断を間違える。

今 本当の森林や山の人の声に耳を傾けることが大切だと思う。

日本の林業が 社会についてこなかったとか
安定供給されないから 日本の樹は使えないとか
何の お世話も苦労もしないで 今 言っている人(会社やハウスメーカー)には
日本の林業の人も ぺこぺこ 媚びたりしないで
「はい わかりました。こんりんざい 日本の樹は あなたたちには売りません」って宣言しちゃったらどうだろう。

なんて ふと 思ったりしてぇーーーー。

だって 何年かしもしないうちに 外国の木材って手に入りにくくなるのよぉ。

二酸化炭素 削減しようと思ったら 輸送を減らして 近くの資源を使わなきゃならなくなるに決まってるし 鉄じゃなくてカーボンフリーな森林資源にシフトするのは目に見えてると思いません?

たぶん 思ったよりも 今ある木は あてにできないかもしれない。

今からでも 遅くない。
壊してしまったものは 簡単には元に戻らないし
自然あいてのものは 壊した時間より治すのに時間がかかる。

森林と山の人 もちろん 農業も もっと大切にしないとねっ。

道路財源は森林土壌を治すのに…

2007-10-14 | 壊れかけてる森林
ニュースで道路財源をどうするのかというのをやっていた。

○一般財源に
○道路を作るのに
○環境税に

○いやいや こんなにガソリンが上がっているから 安くしてくれ。

どれも わかるけど 車が走ったり 作ったりした時に 大気に放出される物質も森林を悪くしているという事を考えると 少しでもいいから 治す為の資金を出してもらえたらなぁと 思ってしまった。

でも きっと こんな話になるから 酸性雨の森林に与える影響は 隠されてきたのかもしれないなぁとも 思ったりして。

もちろん原因は酸性だけではない。すっぱい水だけでは、こんなにならない。

黄砂などは、土のアルカリ性で中和するので酸性度は少なくなるが、含まれている汚染物質は一緒で既に酸性化した土壌に落ちれば化学変化を起こす。
また、日本の各森林や各研究者により報告さるる主たる原因は違う。

森林複合汚染

森林の化学物質過敏症…臨界点

不都合な真実…日本の森林編

いろいれなタイトルが浮かぶし、問題提議や犯人探しも原因追求も大切だと思うし、時には脅したり不安をあおったりも、世の中のコンセンサスを得る為に必要かもしれない。
気がついた人間が伝える事もとても大切だ。

でも、なんか違和感がある。

そう どうしたらいいかという 希望の持てるアクションに続かないと意味がない。

そんな中 矢作川で始まった 森林の健康診断を 滋賀県でもやろうとう動きが出て来た。

ありがたい。

私は 樹業として何をすればよいのかに集中できる。

白色腐朽菌は 有害物質を減らしてくれるという研究が色々な大学でされている資料を見つけた。
これなら、いやという程、山にいる筈だ。だって木を腐らせる菌なんだもん。
材木屋としては、敵ではあるけど仲良く付き合う事も大切になってくるかも…
共生の共存ですねぇ。

微生物の力というのは 底知れない。

炭は微生物の住処となるし 酸性も緩和して 植林され一斉に大きくなり 栄養が少なくなった土壌にミネラルを与えてくれる。

これを社会全体のシステムとして、どうすればよいのかはこれからの課題だけど…

今 報道特集というニュース番組で中国の黄砂に含まれる硫黄酸化物が問題だ と報道していた。

これもありがたい。

ネズミに対しての影響が報告されていたが 花粉症ってこれじゃないかな~。
考えてみたら 樹の枯れにおける 原因が虫だけにされたように、杉の花粉が悪いというのも根本の原因ではない気がしてきた。

写真は 彦根の松原水泳場で治療中の松の木。

山で こんな事はしていられない。

樹は本来 虫の侵入を防ぐ力をもっているし それを支えているのは 土壌の菌類だ。

自然の治癒力に期待して 過剰な世話や栄養は不要だと思うが 人間が壊してしまったものは 元にもどさなくちゃねと思う。

今日は携帯電話から投稿してみました。

ランチの後 matu フレアースカートで 炭窯跡と出会う

2007-10-04 | 壊れかけてる森林
この場所は、現在 砂防工事が行われている。

賛否両論 ある事とは思うけど 確かに危険な場所だ。

工事に入る前に、昨年の秋 伐り旬 新月にあわせて伐採したところだ。
最近は、工事優先ではなく 木材の事も考えて頂けるスケジュールを組んで頂けるのでありがたい。
伐り旬をちゃんと守れないと 材価にも影響するので 山主さんにリターンする資金にも影響する。

matuは とても おしゃれな女の子なんだけど さすがにフレアースカートとレザーのブーツでは matuもかわいそうだし 山にも申し訳ない気がした。

でも こんな時じゃないと なかなか連れて行って上げられない。

ふふふっ。


ちょーっとデザインと仕様は違うけど、山行きのヒル避けにスパイク付きの長靴が車に積んであるもんねぇ。matuも上にトレナー?を着てくれた。

そのままじゃ 工事のおじ様方に刺激が強すぎる。

工事の邪魔になるといけないので 少し離れた場所に車を置いてアスファルトを歩くと、ガシャガシャとスパイクの音が山に鳴り響く。

matu 「ノイジィーですねぇ」ハハハッ。
  
工事のおじ様方に、社名と写真を撮りに来たと話したら 橋が出来てるからそこを登って行きなさいと言われ あれがたく新しく出来た橋を渡らせてもらった。



ここの山の神さんも驚いているだろう。
スカートをはいた女なんて 初めて見たかもしれない。
平地に見えるけど、ここはかなり上の方です。
工事の関係で、ずいぶん長い間 山に置いてあるので
丸太の小口は汚いけど…。



これが、炭窯の跡。石が積んである。
この辺りに、うちの山があるので じいさんもここで炭を焼いていたかもと思ったが どうも違うらしく 少しがっくりしたが 確かに昔 山の民の仕事場がここにあったと思うと 感慨深い。



これは 木の根っこ。
工事をする場所なので、掘り出す。
すごく いとおしい。良くがんばってきてくれたねぇと思う。
土壌を支えてきてくれた。

わざわざ、根っこを引っこ抜いて調べなくても
こういう場所で 工事する時に根の状態とか調べられないかな。
土木と森林が連携してやれば、低コストにサンプルが取れる。

もちろん、木も伐採するので 少々なら輪切りのサンプルも
提供できる。

あー 色々なところが一丸となって 山を守る為に
つながることって 大切だよねぇーと思ったのでありました。
 

いもランチ その後と ササ枯れ

2007-10-04 | 壊れかけてる森林
近くに こんな野草が咲いていた。
でも 名前 知らないのよねぇ。ミゾソバ ?

知っている方は 教えてくださいね。

と 軽い感じではじめてみましたが
実は、前回のブログの場所は 二日前にも行っていた。
お昼休みにね…。

私が毎日通る道は、国道なので交通量も結構ある。
杉の梢の下が枯れているのは、車のせいかもしれないと
車が通らない行き止まりの その場所を見に行ったのだ。

悲しい事に、一緒だった。枯れている。
しかも そこには小川がずっと流れている。
乾燥はしていない。水不足ではないのは明らかだ。

もちろん、松も広葉樹も枯れかけている。

しかし もっと気になったのは ササ。



この季節は こーなるものなのでしょうかねぇ。
とろけてる…。

ここにも鹿が出るけど、かじってあるのは 元気なササの葉先だけだ。
間伐もしてあるし、太陽も届いている。
あー 簡易でもいいので 土壌のphを計るやつ 持ち歩こうかなー。

前述のmatuに、せっかくなので見てもらった。

鈴鹿 山 笹 ph3.6

山登りをしている方々が 心配で調べようとして頂いているのがよくわかる。

そう 鈴鹿山脈の西側の水はびわ湖に行くし
東側の水は 伊勢湾に行くんですよぉー。

つづく

広葉樹は、植林なんてしちゃだめ !

2007-10-03 | 壊れかけてる森林
センセーショナルなタイトルでしょ。

先日、同じ日に二人に言われた(書かれた)。
一人は、父で 一人は 炭矢作さん。

私は たいして何も言ってはいないと思うし、私自身も実際に森林と接するようになって 広葉樹を植える事が「善」だと世の中が動いている事には疑問を感じはじめている。

同じ新聞でも 読んだのかなー。

まー とにかく 父も 炭をやいている。

言ってみれば、広葉樹と真剣に向き合い接している人たちだ。
広葉樹を伐って、更新させたり 大きくなりすぎた木がどんなだかを知っている人でもある。
今時の考えからすれば 一番 広葉樹が増えて喜ぶ立場の人でもある。
でも 二人とも 商売の事なんか二の次というタイプなので
己が為でないこともわかる。

100年先を考える。せめて 50年でもいいや
想像してみろと 言わんばかりの感じがしたなぁ。

これについては、みなさんも考えてみて下さい。
私も 勉強してみます。

長い先の事を考えているような 長伐期林という もう少し木が大きくなるまでそのままにしておきましょうという政策も 今の木の状態で ますます悪化する事を考えると よぉーく考えないとまずい気もする。

いやいや 実にショックだった。
杉の葉枯れを調べていたら 2005年に森林総研関西支所が九州で調査された資料をみつけた。
 

上の 葉枯れ つまり 悪い状態の杉の断面なんて ざらに見る。
去年は、玉伐りした丸太を800本近く チェックしてQRコード付のラベルを貼った。
ちょうど、何かの都合で少し早めに伐った丸太があったので写真を撮ってきた。
ほんと 枯れてないだけまし位なもので だめだめな杉の原因がてんこ盛りだ。



これで 樹齢40年以上ある。九州とは気候が違うので年輪の幅は少々違うだろうけど 明らかに成長が悪い。
スギカミキリの幼虫は、樹脂に巻き込まれたり 殺菌・抗菌作用のある成分で普通はほとんどが死んでしまうそうだ。

でも その樹脂を作るには多量の栄養資源を必要とする。
葉が少なくなり 光合成の量が少ないと幼虫の死亡率は低下するらしい。
もちろん土壌からの栄養や水分が必要なのはいうまでもない。
アルミが溶けたり、硫酸にさらされたりしたら 根や共生して栄養分をやり取りしている菌は、生きられない。

上から下から 災難このうえない状態なのよねぇ。

あーあ こんな話ばかり いやなんだけど 山の人って
男気がある人が多くて あまりしゃべらないのよね。
山の手入れがされてないから 悪いみたいな言い方されたりするれど
原因は 山の人にあるんじゃないという事も ちゃーんと伝えて行きたいと
思う次第です。

このブログは、私の資料づくりの為のネタ帖のようなものなので つまんなくて申しわけない事です。

早く すっきりさせて 次のステップに行きたいわん。


ごめんなさい。学者さんはやっぱりすごかった。

2007-09-29 | 壊れかけてる森林
素人なので 知らない言葉が出てきたら それを検索してと…という事を繰り返しておりますが、最近 おかげさまでかなり核心に近い「検索」がひっかかるようになってきた。

なにせ 杉・桧が枯れてきたら死活問題だ。
政財界がなんと言おうと、自分たちの山を守らなくちゃ
おいしいお酒も飲めなくなる。

先日、びわ湖沿いを走っていて こんな光景が目に入ってきた。

松や広葉樹が枯れて、たぶん根っこが弱って雨に絶えられなくなって土砂くずれを起こしたのだろう。
皮肉な事に、増えすぎてやっかいものになっている竹が その崩落を止めている。

これ位の崩落は、まーよくおこるらしけれど 山全体が枯れてしまったら こんなもんじゃすまない。ブルッ。おそろしい。

このまま、鈴鹿の山をほったらかしにしておいたら うちの実家はぺちゃんこだろうし 下流の人たちにもひどい被害が出るのは 容易に想像できる。

これはもう 林野庁じゃなくて 国交省の仕事だな。

て 事で いっぱい植わっている「杉」が枯れたら お酒どころか命があぶないので 今日は「杉 梢端枯損」を検索してみた。

すると ちゃーんと 大気汚染と森林衰退の関係について 全国各地をたくさんの大学が協力して一大プロジェクトを作って研究して頂いているではないか。

広島大学 森林衰退研究センター 

広島大学をはじめ、神奈川大学 東京農大 名古屋大 熊本県立大 等 すごい人数の方が取組まれている。

瀬戸内海沿岸山林研究グループ
丹沢・大山研究グループ
乗鞍岳研究グループ
九州山岳地域研究グループ

乗鞍は 大学の頃てっぺんで夏休みにバイトをしていたのでとても 気になる。
数年前 スカイラインが車で通れなくなった。
たぶん この研究の成果が後押ししていると思う。

九州では、日本からの排出の影響がない屋久島の被害を調べる事で大陸由縁の大気汚染を調べられている。

こんな文章があった。

従来の森林衰退対策上の問題と改善の方向:
従来の森林衰退の対策は、主に病害虫の対策に限定されていた。しかしながら、本研究によって近年の大気汚染物質がアカマツ個体の物質生産に影響を及ぼし、結果として個体の衰弱を引き起こすことが総合的に解明され、慢性化する大気汚染の影響の重要性を指摘した。また、これらの成果は、森林管理や病虫害抑制のための農薬散布の実施形態を再検討するとともに,主に自動車から排出される窒素酸化物を中心とした汚染物質の排出規制に対する施策を早急に具体化することが望まれる。

戦略的基礎研究推進事業 研究領域
「環境低負荷型の社会システム」
研究課題「森林衰退に係わる大気汚染物質の計測、動態、制御に関する研究」
研究実施終了報告
研究期間 平成8年4月~平成13年3月
研究代表者 佐久川 弘 (広島大学・総合科学部・教授)


すべては 読めていないが どうしてこの研究が山を守らなくてはいけない私たちに届いてこなかったのだろう。

79ページに及ぶ報告書の 最後に研究して頂いた皆さんの写真があった。
了解もなく申し訳ないけれど 公開されているので この場をお借りして


みなさん ありがとうございました。

ついでといっちゃ なんですが 国立環境研究所にこんなグラフがありました。


空気中の硫酸粒子の広がり(1年間平均した結果)の15年間の変化

北京:大気汚染5年来最悪、青空計画の実現は困難

今は 何年? もちろん上のグラフより進行している事は言うまでもない。

あー資金と時間があればなー。
一刻も早く 酸性化した土壌をなんとかしたい。
まだ 間に合う。中国の環境対策がなんとかなるまで
おらが山を 持ちこたえさせなくては…。

あっ アルカリ成分をまけばいいなんて 安易に 石灰まいちゃだめですよぉー。
微生物を殺しちゃうらしい。
うちの近所に石灰石を採ってる山があって もちろん山を削って出すんです。
森林を治すのに、それはないですよねぇー。

持続可能で環境負荷がないのは やっぱり 炭なのよねぇ。

硫黄酸化物による樹木の立ち枯れ 2(仮)

2007-09-22 | 壊れかけてる森林
しばらく、まとめられないので 大森先生の発表をそのままUPします。

3.樹木の表面積による硫酸の付着量の差
広葉樹と針葉樹の枝葉に付く水の量を比較すると、針葉樹は広葉樹の2倍から6倍も多い4)。針葉樹は常緑樹が多く、落葉樹は冬の間葉のない分、硫酸の付着面積は少なくなる。また、シラビソやコメツガのように水平の枝は、垂直の枝より2倍量の水が付く。硫酸を含む霧であれば、水の付着量に比例して、水分の蒸発後に残る硫酸の量は多くなる。さらに、水の付着量が多ければ、乾燥までの時間が長くなり、濡れている間は、乾燥している樹木より硫酸の収集量は多くなる。更に、針葉樹の樹皮は繊維状や層の重なりになっているため、上から流れてくる雨水を大量に吸収して、そこで再び濃縮する。その結果、針葉樹の下の土壌は広葉落葉樹より、酸性化が早くなり、同じ山でも針葉樹が先に枯れて、広葉樹は生き延びられる。
4.硫黄酸化物によって樹木が立ち枯れる理由
硫黄酸化物の中の二酸化硫黄(SO2)は強い還元力で細胞を破壊する。三酸化硫黄(SO3)は水に溶けると硫酸(H2SO4)になり、式1)に示すように、海から風で運ばれた塩化ナトリウム(NaCl)と大気中や土壌中にある二酸化マンガン(MnO2)の混合物に加わると塩素(Cl2)を発生する。塩素は漂白剤、殺菌剤に使用されるように、付着した細胞を破壊し、同時に生成する硫酸マンガン(MnSO4)は潮解性(溶解度136g/100g水)で、野菜に塩を掛けると水が出て、漬け物ができるように、接触している細胞から水分を奪い細胞を破壊する。マツ葉の根元や水平のシラビソの枝の下側の葉は、貯まった水滴の蒸発で硫酸の濃度が濃くなり、細胞が破壊されて褐色になっている。
2NaCl+MnO2+3H2SO4=2NaHSO4+MnSO4+Cl2+2H2O 1)
ここで生成した潮解性の硫酸マンガンは大気中の水分や降った雨に溶け流出拡散して測定されない。その結果、マツが全面枯れている男鹿半島の土は、ナトリウム(Na)の量を基準に硫酸の量を計算すると非海塩(測定値―計算値=非海塩=汚染物)の値の73倍量が流出していることが明らかになった。従来の非海塩の濃度で生育試験をしても枯れないから、マツの立ち枯れは松食い虫とされた。
硫酸は、雨が降ると葉の成分を溶かしながら根元に落ち2)、土壌中のアルミニウム(Al2O3)や鉄(FeO,Fe2O3)を溶けやすい硫酸化合物(Al2(SO4)3,FeSO4,Fe2(SO4)3)に変える。式2)に示すように、樹木は硫酸第一鉄(FeSO4)を水と一緒に吸収すると、鉄(Fe)は生長に欠かす事の出来ない形成層の中のリン酸(PO43-)を奪い、リン酸第一鉄(Fe3(PO4)2)になり、空気に会うと暗青色に変色する。
3FeSO4+2Na2HPO4=Fe3(PO4)2+2NaHSO4+Na2SO4               2)
暗青色に変化  ↓ O2
Fe PO4→ Fe2O3 赤褐色
3Al2(SO4)3+6Na2HPO4=6AlPO4+6NaHSO4+3Na2SO4         3)
此の反応は、硫酸第一鉄とリン酸の固有のもので、マツが酸化第一鉄(FeO)を含む土壌で生育し、土壌が硫酸で酸性化されて溶解性硫酸第一鉄となり水と吸収されると、マツ材は根元から先端まで暗青色になる。更に屋外に放置すると加水分解して酸化第二鉄(Fe2O3 nH2O)になり、赤褐色に変化する。このことで、鉄が過剰に吸収され、リン酸と結合したことが確認できる。鉄(Fe)とアルミニウム(Al)は同じ位の力でリン酸と結合し、土壌中にはFeよりAlの方が多く存在し、溶解しやすい。その結果、FeよりAlは吸収され、立ち枯れ木の成分の分析結果、AlはFeの5倍以上含まれ、式3)に示すようにAlもリン酸を奪うことが明かである。
化学物質は如何に微量でも化学的法則に従って反応し、その量に相当する量と反応する。立ち枯れたマツの年輪から見ると27年間にも及ぶ僅かな傷害の積み重ねの末、枯れている。硫黄酸化物は変化の全ての段階で樹木に傷害を与え、衰退させ、抵抗力を失い、病虫害に犯されて立ち枯れる。立ち枯れ防止は殺虫剤をまくより、世界中の硫黄酸化物の発生量を減らすことが必要である。
5.立ち枯れ防止策と二酸化炭素削減
樹木は、大気中の二酸化炭素(CO2)と水と土壌からカリウム(K)、カルシウムCa)、マグネシウム(Mg)、リン(P)等を吸収して太陽の光で光合成をして生長する。炭は、酸性土壌に撒けば、炭の中に残っているアルカリ金属化合物が雨に溶解して酸性土壌を中和し、残った金属は再び栄養源となり、炭は保水剤となり、微生物の住み家となり、土壌の活性化に役立ち、立ち枯れ防止剤になる。
昔の様に樹木を原料とした薪や炭を燃料とした場合は、地球上のCO2の割合は変化しないが、化石燃料の燃焼はCO2の割合を増加させる。増加したCO2を減少する方法は、樹木の立ち枯れを防止し、植林して森林を増加させ、間伐材や廃材を炭にすることが最も他のエネルギーを使用しない、確実で有効なCO2削減方法である。樹木を炭(C)にすると、炭は自然界では燃焼しない限り、炭1gは3.7gのCO2が固定できる。立ち枯れ木を放置して腐敗したり、廃材を焼却処分すると吸収したCO2は、再び大気中に戻る。
6.まとめ
樹木の減少は、温暖化を加速させ、気温の上昇に比例して空に上がった水分は集中豪雨や豪雪となり災害を起こし、一方、砂漠化による水不足、食糧難となる。海水温度の上昇は台風の発生、気温の上昇は極の氷の溶解による低地の水没、凍土上の家の陥没、凍土中の有機物の分解により、CO2の21倍も温室効果の高いメタン(CH4)とCO2の発生で温暖化を加速させ、限りなく環境難民の発生源となる。

文献
1) 国際連合食糧農業機関編 国際食糧農業協会訳、 (1996)樹木と森林の衰退―世界の概観 国際食糧農業協会発行、William M.Ciesla FAO Forest Resources Division and Edwin Donaubauer Federal Forest Research Centre Vienna, Austria.(1994)“Decline and dieback of trees and forests –A global overview”.
2) 大森禎子(1997)酸性雨による植物からの金属元素の溶出. 金属,67,11.
3) 岡村 忍・吉池雄藏・若松正明(1999)低濃度金属成分の電子レンジによる濃縮. 工業用水No.493,20.
4) 大森禎子・吉池雄藏(2001)樹木の立ち枯れ調査の簡易分析法. 分析化学50,465.


硫黄酸化物による樹木の立ち枯れ 1

2007-09-22 | 壊れかけてる森林
昨日のブログは 工場長から迫力があるとメールを頂き、奥矢作炭やき人さんからは気合が入っているとコメントを頂き…。
もう 少しクールダウンしないとね。毎日枯れていく山見てると ついついボルテージが上がってしまうの。すみません。

昨日は、「酸性雨」について書きましたが 実はpHだけで判断してはいけません。
例えば黄砂の砂はアルカリ性なので、酸性が中和されてpHの値は良いのですが その中に含まれる物質がなくなる訳ではありません。
又、「酸性雨」のpHが5だからといって土壌のpHが5になるという訳でもありません。

おさらいと予習
「酸性雨」には、硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)、塩化水素(HCl)などが含まれています。森林が枯れる原因は、いっぱいありますが 今回は硫黄酸化物(SOx)を中心に話をします。

「硫黄酸化物」
硫黄酸化物(いおうさんかぶつ、sulfur oxide)は硫黄の酸化物の総称。
 一酸化硫黄 (SO)、
 二酸化硫黄(亜硫酸ガス)(SO2)
 三酸化硫黄 (SO3) などが含まれる。
化学式から  SOx (ソックス)と略称される。

『ウィキペディア(Wikipedia)』によると、国立環境研究所の調査で 日本で観測される硫黄酸化物(SOx)のうち49%が中国起源のものとされ、続いて日本21%、火山13%、朝鮮12%とされています。
石炭や石油などの硫黄が含まれている化石燃料を燃やした時に発生します。二酸化炭素は、元々空気中に存在しますが 硫黄酸化物は火山の爆発以外は、産業革命以前は空気中に存在しない物質です。


以下、「奥矢作炭やき人」さんから頂いた元東邦大学の大森禎子先生がシンポジウムで発表された文献から引用させて頂きます。先生は とても小柄でチャーミングな女性らしいです☆

1. 酸性物質の濃縮現象
三酸化硫黄(SO3)は、雲や霧(水H2O)に溶けると硫酸りゅうさん(H2SO2)になります。
化学にうとい私でも、これを聞いただけでギョとしてしまいます。
硫酸は、無色なので見えませんが揮発しないので「台所の換気扇の羽が煙とほこりで真っ黒になる」がごとく、風で樹木に塗り重ねられ、水分のみ蒸発し、たとえ空気中に含まれる量が少なくても時間の経過で 濃縮と蓄積が繰り返されて濃度が高くなります。
そして、雨が降って葉や幹をつたい土壌に浸透していきます。
雨と一緒に降ってくるだけではなかったのですねぇ。
雲や霧がかかりやすい高い山のpHの酸性度が高いというのが これで納得できました。

2.風による硫酸の移動と塗り重ね
硫酸は、風が吹いている限り、接触した樹木に塗り重ねる。南米大陸最南端のフェゴ島では汚染源が無くても年間200日 西からの強風が吹くので枯れて倒れた西側の斜面からの水は、近くの湧き水の170倍の硫酸イオンが検出されたそうだ。

近所の松枯れも、風の強くあたる尾根のところに多い。
そうか、松は海風などの風除けに植えられる木だもんね。
海岸線で しかも日本海側から枯れ出したのも これで納得。
名神の多賀サービスエリア近辺は、冬のゲリア吹雪地帯で有名だ。
たぶん、琵琶湖 日本海 そして 中国からの風が鈴鹿山脈にバンバンあたっているんだろうなー。
又 いつか紹介しようと思うが 鈴鹿のササ枯れも西側の方 つまり琵琶湖側が枯れているとあった。

3.樹木の表面積による硫酸の付着量の差
4.硫黄酸化物によって樹木が立ち枯れる理由

と これからが本題だけど 長いので次回にします。

うーん。でも 日曜はブログは書かないので 先が知りたい方の為に ズボラして先生の文章を そのままペーストしたものを 次のブログにUPする事にしょう。