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講義 流体力学 2008-3

2008-05-07 | Mech Eng
 連休の合間の流体力学の講義3回目,概要は以下のとおり.


 偉人 パスカル
 流体の静力学
 パスカルの原理
 圧力と高さ,深さ
 絶対圧力とケージ圧力
 圧力の測定
 本日の出席票
 
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[偉人 パスカル]
 ブレーズ・パスカル(Blaise Pascal, 1623年6月19日 - 1662年8月19日)
 流体のパスカルの原理や,数学のパスカルの定理に名を残す.
 フランスの数学者,物理学者,哲学者,思想家,宗教家

 流体力学に関連する業績:
 「パスカルの原理」(流体の圧力の平衡についての理論)の提唱1653年

 その他の自然科学の業績:
  歯車式計算機「パスカリーヌ」の設計開発
  「パスカルの定理」
  「パスカルの三角形」
  「確率論」の創始
  サイクロイドの求積問題

 一般には,著述集「パンセ」(1670)で,よく知られている.

 http://ja.wikipedia.org/wiki/パスカル
 http://ja.wikipedia.org/wiki/パスカルの原理
 http://ja.wikipedia.org/wiki/パスカルの定理


 [流体の静力学 1]
 教科書の pp.23-41 の部分について解説した.
 欠席したものは,例題,練習問題も含めて自習すること.

 [パスカルの原理]
  静止している(非圧縮性)流体中の一点における圧力は,あらゆる方向に等しい.
  風船にかかる圧力からの理解:
  風船に加わる圧力はどこも大気圧と釣り合っている.
  風船に圧力を加え(多くの空気を入れると)風船は膨らむが,
  中の空気の圧力とを風船の表面積で割ったものはいつも大気圧である.

 [圧力と高さ,深さ]
 重力場における静止流体の圧力
  ある位置の静止流体の圧力は,ある位置でのその上にある流体の重さによる.
  その重さは,
  
   密度 x 体積 x 重力加速度

   = 質量 x 重力加速度

  圧力は,単位面積当りなので,液体の高さ(深さ)が増えると
  圧力をも増える.

  水槽のような容器で,液面から深さ h (m) のところに働く
  力F (N) を考える.液体の重さは,下向きに

   F = ρg h A

   ここで,ρ: 液体の密度, g : 重力加速度, h : 深さ, A: 面積

  圧力 p は,液体と重さと釣り合って,

   p = F / A = ρgh  

  つまり,密度が一定の場合には,圧力は,深さ(高さ)の関数と言える.

 水に満たされた一辺1mの立方体の容器を想定する.
 容器の底の圧力は,
  F = ρg h A (N)
  p = F / A = ρgh (Pa)
 ここで,
  ρ: 液体の密度 1000kg/m3 (1atm, 4°)
  g : 重力加速度 9.81 m/s,
  h : 深さ 1m
  A:面積 1m2
 とすると,
  1000kg/m3 x 9.81 m/s x 1m = 9810kgf/m2 = 9810 (Pa)


 海面上の空気の圧力
  流体の密度が高さに対して変化する場合.(大気の密度は上空に行くほど低くなる) 
  高さz (m) の大気の圧力 p (Pa) は,以下のような自然対数の式になる

        -( ρ0 g z / p0 )
   p = p0 e

   p0: 海面の大気圧 (Pa), ρ0 海面の空気密度 (kg/m3)
   g: 重力加速度 9.81m/s

 [絶対圧力とケージ圧力]
 絶対圧力 (absolute pressure)
  真空を,0 Pa とした圧力.例えば,地表において,
  標準的な大気圧 1013 h Pa を加味した圧力である.

 ゲージ圧力 (gage pressure) 
  その場所での大気圧を基準とした圧力である.
  自動車やバイクのタイヤの圧力が,230 kPa といえば,それはゲージ圧である.
 すなわち,絶対圧力 = ゲージ圧力 + 大気圧

 [圧力の測定]
 マノメータ ( manometer) 液柱計
 ガラス間をU字型にまげて,その中に密度の大きな液体を入れ,その水面の
 高さを読み取るもの.

 示差圧力計 (multiple-fluid manometer)
 2つの流体の圧力の大きさの差を測定する圧力計.
 U 字管に水銀などを詰め,両開放端に圧力をかけ,液柱の高さの差を測る.

 このごろの圧力計
 現在実用されている圧力測定法は,大きく弾性式と非弾性式に分けられる.
 弾性式は,ブルドン管,ベローズ,ダイアフラムといった弾性をもった受圧
 素子を使用し,この素子が圧力を受けて生じた変位や歪を測定する.
 あるいは,その歪みや変異を電気的に計測する.
 現在使用されている圧力計や差圧計のほとんどは,この弾性式である.
 非弾性式としては液柱式と重錘式が主な方式である.
 これらは,現在,通常の圧力測定法の主流ではないが,圧力の標準器としては
 現在も重要な地位を占めている.

 ブルドン管ゲージ (Bourdon gauge)
 ブルドン管ゲージ内部には、曲げて先を塞いだ金属管が内蔵されている.
 圧がかかると曲がりが伸びるため.その度合いに連動させて針を回転させて
 圧力を表示する.

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 [演習]
 出席の確認を兼ねて以下の演習を行った.

 教科書 26.p の演習の変形問題
 Q1) ビストンA のおもりを 20kg にするとBのおもりは何kgになるか?

 Q2) ピストンAが一辺20cmの正方形の角柱,ビストンBが一辺50cmの
 正方形の角柱としたとき,Aのおもりを10kgとすると,Bのおもりの重さ
 は何kgか?

 Q3) ピストンAが一辺10cmの正方形の角柱,ビストンBが一辺50cmの
 正方形の角柱としたとき,Aのおもりを10kgとすると,Bのおもりの重さ
 は何kgか?

 深さと圧力
 Q4) 水に満たされた一辺1mの深さ10mの直方体の容器を想定する.深さ以外は,
 講義でのべた例(1辺1mの立方体)例と同じとすると,容器の底の圧力は,
 何 Pa か?

 Q5) 30.p の例題
 30.p の例題には間違いがある.さてどこでしょう?
 回答例には,途中の計算が省かれています.途中の式の展開と計算をやって
 みましょう.(関数電卓を用いても良い)

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 過去3回の講義で,一度も出席していない学生諸君は,次回以降皆勤をめざして
 出席されることを希望します.

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