--Katabatic Wind-- ずっと南の、白い大地をわたる風

応援していた第47次南極地域観測隊は、すべての活動を終了しました。
本当にお疲れさまでした。

パネリスト到着

2007-01-08 | 南極だより
久しぶりに職場に行き、翌日からの準備をしました。
途中の高台からは丹沢の山並みとその向こうに富士山が見えます。
富士はもちろんですが、丹沢の標高が高いあたりにも雪が降ったあとが見えました。
東京にはまだ雪は降っていませんが、雪国では大雪になったそうで、雪山の遭難もいくつか報道されていました。
そろそろ山に行きたいです。低山ですけど。
それでは、渡井さんからの南極だよりです。
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2007年1月7日(日)曇りのち晴れ パネリスト到着

日本からの南極観測50周年記念フォーラムのパネリスト3名(毛利衛さん、今井通子さん、立松和平さん)と、案内役と取材の方3名、合わせて6名が今日11時57分S17に到着した。
昨日早朝のPOLAR2機到着に合わせて、観測機械セッティングのためにS17を訪れていた僕は偶然にも迎えることになる。

到着後はS17で始められようとしている航空機観測の解説や撮影などを行った。
午前中は風も強かったが、午後には弱まり穏やかないや暑いくらいの気候になっていた。

今井さんが拠点の中にほとんど入らず、外でなにするともなく360度広がる景色を眺めていたのが印象的だ。

パネリストの方々の到着が半日ほど遅れたため、S17から昭和へのヘリはパネリストの方々と同じ便になった。
いつもはカーゴドアから乗るのだが、今回はパッセンジャードアから。
厚遇のおこぼれを受ける。
1630過ぎのヘリコプターでS17を発ち1700前に昭和基地着。

日本を出てから5日で昭和基地に到着したことになる。
しらせでここにきた時間に比べればあっという間だが、毛利さんの弁によるととても長かったとのこと。
同行してきた本吉さん@極地研副所長によると、今回飛行機で入るのは初めてだがやはり長く感じたとのこと。
14000kmの距離はやはり尋常ではないのかもしれない。
#毛利さんによるとなんでも宇宙に行くより時間がかかるらしい。
#なるほどである。

5日間にもなると飛行機の乗り換えも大変なものだ。
成田からシンガポール、ヨハネスブルグ、ケープタウン、トロール基地、ノボザレフスカヤ基地、S17、そして昭和基地。

5日間。
受け入れ態勢が整って予算面に問題なければ、この程度の日数で昭和基地入りするのは可能なのである。
今回のフライトは特例であろうが、今後の観測隊の航空機使用に関して否応にも試金石となる。

夕食はパネリストの方々を交えての夕食。
パネリストの方々とともに47次越冬隊のメンバーも自己紹介を行った。


#着陸するバスラーターボ

#(左から)毛利さん、立松さん、今井さんが降り立つ

#47次の神山隊長が出迎える

-----本日の作業など-----
・S17観測拠点維持業務支援
・CO2, CH4, CO, O3濃度分析システムチェック

<日の出日の入>
日の出 なし  
日の入  なし  
<気象情報>
平均気温0.7℃
最高気温3.2℃(1553) 最低気温-2.6℃(0322)
平均風速3.9m/s
最大平均風速7.5m/s風向NE(0120) 最大瞬間風速9.6m/s風向NE(0121)
日照時間 10.8時間

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最も近づきにくいとされる地域にある昭和基地。
何度か昨夏も航空機が訪れているので、驚くというほどではないけれど、やはり1次隊のときを思うと(どうやら私の中では1次隊が基準になっているらしい)50年という年月はすごいと思います。
白い気体のバスラーターボで降り立った3氏の姿はかなり暖かそう。
日本も冬だとはいえ、船のように徐々にではなく急に南極に降り立つのだから、久しぶりのS17は暖かくて手袋なしでも大丈夫だったという渡井さんのようにはいかないのですよね。
南極に行くのに5日間、というのが長いのか短いのかは想像のしようがないけれど、飛行機に詰め込まれて移動、待機、移動で5日間だからやはり長いような気がします。
船ならプレ南極として「しらせ大学」や「安全講習」や「海洋観測」などが行われているし、暴風圏があったり、氷山が見えたりアザラシやペンギンに出会えたりとイベントが盛りだくさんですものね。
私が行くなら(行けないけど)やっぱり船がいいかな。
でも短い日程で仕事をしにいくとなれば、鈍行列車でのどかな旅というわけにもいかず、新幹線で移動して現地にいる時間を増やすわけですから、南極というところでも例外ではなくなるということなのですね。
パネラーの皆さんも現地滞在が1週間ということで、大忙しだとは思いますが、それぞれの分野を発揮して日本にいる私たちに発信してくれることを願っています。

私個人としては3氏の南極滞在に下記のような楽しみを抱いています。
南極観測のことを知ると、おのずと宇宙につながっていることがわかります。
昨年JAXAの的川先生のお話をお聞きしたばかりで、南極と宇宙ひいては地球・人間との関係を考える種をもらいました。
宇宙を見てきた毛利さんが南極で発信する内容は、きっと私たちがこの地球とともに生きていくヒントとなるのではないかと、とても期待しています。
また、立松さんのやわらかい感性で綴られる言葉は、南極の魅力を今までになかった表現にしてくれると思っています。
本好きの私は「言葉」の持つ力と重みは十分感じているところでもあります。
読み物として私の元に届くことを楽しみにしています。
そして、今井さんは同じ女性としてあこがれの存在です。
今井さんからすればひよっこの山好きとして、同じ医療の立場として。
それから今の職場も今井さんとはつながりがあります。
拠点にほとんど入らず雪原を見続けていたり、動く橇の上に立って写真を撮ったり(私もやってみたい!)、今井さんはどんなことを感じていたのでしょう?
それをどんな形で私たちに届けてくれるのでしょう?
本当なら、直接お話を伺いたいくらいです。

これから行われる南極観測50周年記念フォーラムのほとんどが平日のため、私は見に行くことができません。
報道で、のちの書籍などでゆっくり味わいたいと思います。

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