--Katabatic Wind-- ずっと南の、白い大地をわたる風

応援していた第47次南極地域観測隊は、すべての活動を終了しました。
本当にお疲れさまでした。

ドーム先発隊S17到着!

2007-01-31 | 南極だより
「12分の12」
越冬12ヶ月分の12番目のフォルダに入れる「南極だより」はこの記事で最後になります。
隊員の皆さんは昭和基地での最後の夜をどのように過ごされるのでしょうか。
それでは、渡井さんからの南極だよりです。
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2007年1月30日(火)晴れ ドーム先発隊S17到着!

午前中はカタバ風が強くて観測ができなかったが、午後からは風も弱まりフライトができるようになった。
今日はオペレーションにもだいぶ慣れてきたということで、3フライトを行うこととする。
目標は上空1200m。
3フライトとも無事にデータを取得することができた。
データ解析はこれからである。

3回目のフライトを行っている最中、滑走路の南側遠くに見慣れない物が見える。
SM100だ。
ドーム隊の先発隊に違いない。
4台のSM100で隊列を組んでくる。
帰ってきたのは47次隊では斉藤さん、中島さん、上原さん、井熊さん、森章さん、48次隊では中沢さん、鄭さんだ。

S16で橇を切り離した後、S17にキャンプを張る。
3ヶ月ぶりの再会。
握手の後は思わず抱きしめ合う。

藤沢さんの渾身の料理、そして暖かい露天風呂。
おかえりなさい!


#すっごくちいさく見える。
どんなに拡大しても判別できません~


#おお、ドーム隊お帰りなさい

#なんだか、雪上車も堂々として見えます。

#久しぶりにSM100のそろい踏みを見ました。
やっぱり圧巻ですね。


#シェフ藤沢さんの料理は絶品なのだそう(渡井さん談)

#お帰りなさい。お疲れさまでした。

#ドーム隊7名(上の写真と合わせて)
清々しい、いい顔をしていて素敵です。


#大陸の夕日を見ながら露天風呂。
んー、ちょっとうらやましかったり・・


-----1月30日本日の作業など-----
・S17無人航空機(UAV)観測支援
 高度1200mまで到達(3フライト)
・ドーム隊お迎え

<日の出日の入>
日の出  02:26
日の入  22:38
<気象情報>
平均気温0.5℃
最高気温3.2℃(1141) 最低気温-3.1℃(2400)
平均風速3.5m/s
最大平均風速9.0m/s風向ENE(0730) 最大瞬間風速13.4m/s風向E(0641)
日照時間 7.7時間

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三脚への取り付け具が違っていたり、プログラムが北半球仕様になっていたり、カタバ風が強くて待機になったりと、もしや前途多難?!と思われたUAV(無人航空機)観測ですが、その後順調に行われているようで安心しました。
そして、高度も1200mまで上げたのですね。
カイトプレーンの飛行高度は3000mと書いてあります。
大気境界層の「対流混合層」上限の高度約2000mを超える「自由大気」まで上げる予定なのでしょうか。

本題に入りますが、
ドームふじ内陸旅行隊がとうとうS17まで帰ってきたのですね!!
(※ すでに今日の第一便で昭和基地に帰還しています)
お帰りなさい!!
無事帰還されたことを心から嬉しく思います。
冬の間一緒に生活した仲間が大きな仕事を終えて、長旅から帰ってきたのを遠くから見つけたときの喜びは、どれだけのものだったでしょう。
行きよりは荷物も少なくずっと下りなので、往路より日数はかからないとはいえ、何日もお風呂にも入れず雪上車の中で食事を取りながら走破してきたドーム隊へのプレゼントが、おいしい食事と露天風呂(昭和基地のように石けんでゴシゴシとは洗えないのでしょうけれど)という心遣いもいいなぁと思いました。

ドームふじ隊は、S17に来る前にS30で、ドームふじで掘削した氷床コアを「しらせ」に託してきたようです。
S30:見返り台のS16から26km(道のり)ほど内陸で標高は1015m.
高度が500mのS17では、せっかくの氷床コアが融けてしまい、試料としての質が落ちてしまうのだそうです。
エア・ハイドレート(クラスレート・ハイドレート)という雪と雪の間にあった空気が圧縮されてできた結晶は、高圧(氷床深部は数百気圧あるようです)で低温(-20℃位)で安定しているので、掘削して大気圧の状態になったときには圧力が減った分を温度を下げることで補わなければならないとのことでした。
また、昨年の掘削終了後に知ったのですが、筒状に掘り出したアイスコアは縦半分かまぼこ形に切断し、半分だけ持ち帰るとのこと。
第2期終了の今年も、やっぱりそうするのですよね?
途中でアクシデントがあって、コアにもしものことがあったら、大変ですものね。
無事に-50℃の温度の状態で低温研究所の低温室まで届きますように。

さて、そのドームふじの氷床掘削ですが、最後の報告が先日アップされました。
岩盤近くで地熱で融けたコアとの最終段階の闘いが、書かれています。
掘削過程につては専門用語が並んでいるのですが、コアの様子は私でも分かるくらい具体的に書かれており、氷床の底の方がどのような状態になっているのか、ぼんやりと想像ができます。
ドームふじでの4年にわたる掘削、お疲れさまでした。

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2 コメント

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ありがとうございました (47海保機関科)
2007-01-31 22:19:48
明日しらせへ行き、もう昭和基地には戻らない予定です。ここのところ慌しく忙しい毎日でした。この1年、昭和基地でこのブログを楽しみに見ていました。本当にありがとうございました。今日も午後から見晴らしや基地側の金属タンクを見回り、おかげさまで漏油事故もなく無事に過ごせました。担当していた装軌車も1台ずつ見て回り、一声ずつ声をかけてきました。いざ離れるとなると、やはり寂しいものですね。転勤には慣れているはずなんですが。ともあれ4月からは元の海上保安官に戻りますので、「海のもしもは118番」ですよ!
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47海保機関科さま (み・くり)
2007-02-01 00:44:18
1年間の越冬、本当にお疲れさまでした。
隊員の皆さんが毎日精を尽くしてお仕事をされていたから、大きな事故なく過ごせたのですね。
とてもすべてとはいきませんでしたが、皆さんの活動を知ることができて私はとても幸せでした。
また、ブログでは私の拙い文章におつきあいいただいて、またいろいろと教えてくださってありがとうございました。
昭和基地を離れたら、インターネットが使えなくなりますね。
ブログの記事は渡井さんにメールで送ることにしていますので、よろしかったらご覧ください。
このあと隊員の皆さんが無事に帰国されることをお祈りしています。

そのあとは・・
「海のもしもは118番」ですね?
了解です!!
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