「--Katabatic Wind-- ずっと南の、白い大地をわたる風」は、長年の夢を叶えて南極観測隊に参加することが決まった渡井さんを応援しようとはじめたものでしたが、いつのまにか、渡井さんだけでなく47次隊全員を応援する気持ちになっていきました。
毎日綴る中で、自然科学に対する興味がどんどん湧いてきて、調べる楽しさ、分かる嬉しさを実感できました。
それ以上に、渡井さんから、47次隊から得た最も大きなものは「寄り添うこと」でした。
ちょっと意味が分からないと思うので、もう少し詳しく書いてみたいと思います。
まだまだ越冬の前半だったと思うのですが、渡井さんからのメールで「枡さん(47夏隊)は南極を愛しているからね」という言葉があり、それがずっと心に残っていました。
そのときは「愛している」という意味がうまく理解できなかったのです。
※枡さんが活動を伝えてきたサイト:「南極~地球の未来を見つめる大陸からのメッセージ」)
南極だよりをもらいながら、47次隊の他の隊員さんたちの言葉に耳を(目を?)傾けてきました。
たくさんある心に残っている言葉の中からいくつかを挙げてみます。
「どうしてここにいるの? 何食べているの? 冬はどうしているの? 敵は誰なの? 仲間はいるの? 数えきれない質問を浴びせますが、相手はそう容易く答えてくれません。彼らと、じっくりつきあうしかないのですね。」(福井さん:福井 学の低温研便り「ブリザード」より)
「これまでの測定結果から考えて正常な動きをしていないと思われる部品があった。
低濃度標準ガス用の電磁弁だ。
これがどうやらたまーに閉まりきらないことがあるらしいとデータが言っている。
この電磁弁は一日に50回くらいon/offする働きものだ。
1年では2万回近くにもなる。
これを予備部品と交換した。」(渡井さん:「CO2計オーバーホール」より)
「越冬生活最後の日の24時は観測棟で迎えます。
これまで面倒をみてきた測器達に感謝の声をかけながら、
最後のメンテナンスを行いたいのです。
どうやら無事に48次隊に万全の状況で引継ぎできそうです。」(渡井さん:「1月31日から2月1日へ。」より)
「今日も午後から見晴らしや基地側の金属タンクを見回り、
おかげさまで漏油事故もなく無事に過ごせました。
担当していた装軌車も1台ずつ見て回り、
一声ずつ声をかけてきました。」(47海保機関科さん:「1月31日から2月1日へ。」より)
「名盤を見上げるみんなはなかなかいい顔してるな,と思った.
この連中とならもう一度越冬してもいい.」(澤柿さん:Kaki-blog「越冬最後の日」より)
「寄り添う」ということは、
どれだけその人(もの、こと)たちを見ているのか、
理解しようとしているのか、
大切に思っているのか、
そういうことにかかっている気がします。
沼の底にいる微生物に「どうして君はそこにいるんだい?」と話しかけられるのも、
観測装置の小さなつぶやきを見逃さないのも、
1年間一緒に働いてきた装軌車や装置に最後は声をかけて終わりたいというのも、
この仲間とは、もう一年過ごしてもいいと言えるのも、
研究の対象に、
仕事の相棒に、
そして、一緒にすごした仲間に、
「寄り添っている」ということなんだろうな、そして、それは越冬の前半には理解できなかった「愛している」ということなのかな、と思うようになりました。
それは私の仕事にも通じるものでした(おそらくどの仕事でもそうだと思います)。
私の仕事はまさに子どもたちに、その親たちに寄り添う仕事だからです。
今までも天職だと思って仕事をしてきましたが、目の前の子どもたちをこれほどまでに愛おしく思ったことはなかったように思います。
話し出すと止まらなくなりそうなので書きませんが、この1年は自分自身の専門を生かした手ごたえのある仕事ができ、とても充実した日々を送ることができました。
また、足下の小さな自然に対しても今まで以上に目を向けるようになり、愛おしい気持ちが強くなりました。
この2年余りは、私にとっても得がたい体験であり、かけがえのないものだったとあらためて思います。
このブログを終わりにしてしまうのはなんだかもったいなく、まだまだ続けていたい気持ちもあるけれど、渡井さんからの第47次日本南極地域観測隊のたよりはもう届くことはありませんので、もう終わりにしなければなりません。
これからは自分の仕事をさらに充実させていくこと、そして、この2年余りに得た自然科学に対する興味をもっともっと広げ、身近な子どもたちに還していくことができればいいな、と考えています。
カタバ風が、南極大陸に絶え間なく吹くように、私の興味は尽きることがないでしょう。
日本の南極観測も「南極を愛している」方たちの手によって、ますます発展していくことを祈っています。
記事を綴るのは上記のように得るものも大きいのですが、毎日アップというのはけっこう大変で、何度もやめたいと思ったことがありました。
でも、ここに足を運んでくださったたくさんの方々の励ましのおかげで、47次隊の活動終了までやりきることができました。
皆さまには、どうやってお礼を申し上げていいのか分からないほどです。
本当にありがとうございました。
末筆になりましたが、皆さまの今後のますますのご活躍を心よりお祈り申し上げます。
追伸:
ここに書ききれなかった自然科学への興味は、スタイルを変えてこちら(The Sense of Wonder)でぼちぼち綴っていこうと思います。
渡井さんとの共有ブログなので、引き続き南極観測も話題にのぼる可能性ありです。
毎日綴る中で、自然科学に対する興味がどんどん湧いてきて、調べる楽しさ、分かる嬉しさを実感できました。
それ以上に、渡井さんから、47次隊から得た最も大きなものは「寄り添うこと」でした。
ちょっと意味が分からないと思うので、もう少し詳しく書いてみたいと思います。
まだまだ越冬の前半だったと思うのですが、渡井さんからのメールで「枡さん(47夏隊)は南極を愛しているからね」という言葉があり、それがずっと心に残っていました。
そのときは「愛している」という意味がうまく理解できなかったのです。
※枡さんが活動を伝えてきたサイト:「南極~地球の未来を見つめる大陸からのメッセージ」)
南極だよりをもらいながら、47次隊の他の隊員さんたちの言葉に耳を(目を?)傾けてきました。
たくさんある心に残っている言葉の中からいくつかを挙げてみます。
「どうしてここにいるの? 何食べているの? 冬はどうしているの? 敵は誰なの? 仲間はいるの? 数えきれない質問を浴びせますが、相手はそう容易く答えてくれません。彼らと、じっくりつきあうしかないのですね。」(福井さん:福井 学の低温研便り「ブリザード」より)
「これまでの測定結果から考えて正常な動きをしていないと思われる部品があった。
低濃度標準ガス用の電磁弁だ。
これがどうやらたまーに閉まりきらないことがあるらしいとデータが言っている。
この電磁弁は一日に50回くらいon/offする働きものだ。
1年では2万回近くにもなる。
これを予備部品と交換した。」(渡井さん:「CO2計オーバーホール」より)
「越冬生活最後の日の24時は観測棟で迎えます。
これまで面倒をみてきた測器達に感謝の声をかけながら、
最後のメンテナンスを行いたいのです。
どうやら無事に48次隊に万全の状況で引継ぎできそうです。」(渡井さん:「1月31日から2月1日へ。」より)
「今日も午後から見晴らしや基地側の金属タンクを見回り、
おかげさまで漏油事故もなく無事に過ごせました。
担当していた装軌車も1台ずつ見て回り、
一声ずつ声をかけてきました。」(47海保機関科さん:「1月31日から2月1日へ。」より)
「名盤を見上げるみんなはなかなかいい顔してるな,と思った.
この連中とならもう一度越冬してもいい.」(澤柿さん:Kaki-blog「越冬最後の日」より)
「寄り添う」ということは、
どれだけその人(もの、こと)たちを見ているのか、
理解しようとしているのか、
大切に思っているのか、
そういうことにかかっている気がします。
沼の底にいる微生物に「どうして君はそこにいるんだい?」と話しかけられるのも、
観測装置の小さなつぶやきを見逃さないのも、
1年間一緒に働いてきた装軌車や装置に最後は声をかけて終わりたいというのも、
この仲間とは、もう一年過ごしてもいいと言えるのも、
研究の対象に、
仕事の相棒に、
そして、一緒にすごした仲間に、
「寄り添っている」ということなんだろうな、そして、それは越冬の前半には理解できなかった「愛している」ということなのかな、と思うようになりました。
それは私の仕事にも通じるものでした(おそらくどの仕事でもそうだと思います)。
私の仕事はまさに子どもたちに、その親たちに寄り添う仕事だからです。
今までも天職だと思って仕事をしてきましたが、目の前の子どもたちをこれほどまでに愛おしく思ったことはなかったように思います。
話し出すと止まらなくなりそうなので書きませんが、この1年は自分自身の専門を生かした手ごたえのある仕事ができ、とても充実した日々を送ることができました。
また、足下の小さな自然に対しても今まで以上に目を向けるようになり、愛おしい気持ちが強くなりました。
この2年余りは、私にとっても得がたい体験であり、かけがえのないものだったとあらためて思います。
このブログを終わりにしてしまうのはなんだかもったいなく、まだまだ続けていたい気持ちもあるけれど、渡井さんからの第47次日本南極地域観測隊のたよりはもう届くことはありませんので、もう終わりにしなければなりません。
これからは自分の仕事をさらに充実させていくこと、そして、この2年余りに得た自然科学に対する興味をもっともっと広げ、身近な子どもたちに還していくことができればいいな、と考えています。
カタバ風が、南極大陸に絶え間なく吹くように、私の興味は尽きることがないでしょう。
日本の南極観測も「南極を愛している」方たちの手によって、ますます発展していくことを祈っています。
記事を綴るのは上記のように得るものも大きいのですが、毎日アップというのはけっこう大変で、何度もやめたいと思ったことがありました。
でも、ここに足を運んでくださったたくさんの方々の励ましのおかげで、47次隊の活動終了までやりきることができました。
皆さまには、どうやってお礼を申し上げていいのか分からないほどです。
本当にありがとうございました。
末筆になりましたが、皆さまの今後のますますのご活躍を心よりお祈り申し上げます。
追伸:
ここに書ききれなかった自然科学への興味は、スタイルを変えてこちら(The Sense of Wonder)でぼちぼち綴っていこうと思います。
渡井さんとの共有ブログなので、引き続き南極観測も話題にのぼる可能性ありです。
これからも自然科学に興味を持ち続けて,あらたにBlogを綴られるとのこと.今後も読む楽しみが続けられそうで,愛読者としてもうれしく思っています.
最近,JARE47のホームページを立ち上げました.アクセス方法は渡井さんに聞いていただくとして,ご来訪いただけると幸いです.
こんなに情報をリアルタイムで知ることが出来るようになって昭和の様子がわかったのはすばらしいことです。
今後もご活躍を楽しみにしています。
1年以上、毎日続けることはとても大変とおもいますし、
記事もイラストや写真や解説いっぱいで、恐れ入っておりました。
特に専門家とは違う?目線が、私にとっては興味深かったです。
今後も場所や内容を変えつつ?継続されるようで、楽しみにしております。
またよろしくお願いいたします。
み・くりさんのブログのおかげで、越冬中の様子をみっちゃんからのメールより早く、詳しく知る事が出来ました。本当にお疲れ様でしたm(_ _)m
新しいブログも楽しみにしていま~す(^0^)ノ"
ようやくこのブログも着地点をみることになり、ホッとしています。
最後は気の抜けた更新でどうしたものかと自分でも困っていたのですが、皆さんの支えもあって、どうにか終えることができました。
さわがきさんには、地学関連のことだけでなく、いろいろ支えていただき、本当にありがとうございました。
新しいほうは、katabatic windを終えて放心状態になっているのと、いったい何を書いていいのやら、やると言ったわりに方向性が定まらず手探り状態です。
ぼちぼちやりたいと思います。
JARE47サイト、教えてもらって見に行こうと思います。ありがとうございました。
うみんちゅさんには、ブログ開始の早い時期からいろいろ教えてくださり、私にとっては「謎の南極OBさま」だったのです(今でもです)。
最後まで、おつきあいいただいて、本当に嬉しく思っています。
いつか正体?を明かしていただけることを、楽しみに待っています。
今までありがとうございました。
海底圧力計のときには、お世話になりました。
それ以来、私もMANTAさんのブログは欠かさず見るようになり、分からないながらも楽しく学ばせていただいています。
ブログをやって、「何だろう?」と思ったときに、放置しないで調べるフットワークの軽さが身についたかな、と思います。
専門家の方々にとって当たり前のようなことも、私のような素人には驚きだったり、新鮮だったりするみたいです。
これからも、フットワークを軽くして「何だろう?」を解き明かしていけるといいな、と思っています。
ありがとうございました。
南斗遊星さんの存在は、とっても心強かったのです。
そして、アニメーションやらなにやら、とってもとってもお世話になりました。
アニメーションは結局モノになりませんでしたが、絵はだいぶ描けるようになりました。
南極は終わっても、スズメちゃんや他の鳥たちの話題でそちらにもおじゃましたいと思います。
ありがとうございました。
47海保機関科さんにも、ますままさんにもとってもお世話になり、ありがとうございました。
ブログを通して、隊員さんたちやご家族の方たちとたくさん交流できたことは、私の宝物になります。
こんな経験はこれから先もきっとできないですね。
海保のお仕事は、とても忙しくハードみたいですね。
どうかお体にお気をつけて、頑張ってください。
近くに行くときには、遠慮なく声をかけさせていただきますね。