白い巨塔〈第5巻〉 (新潮文庫)山崎 豊子新潮社このアイテムの詳細を見る |
今回は、山崎豊子『白い巨塔〈第5巻〉』を紹介します。前半は、医事裁判控訴審と学術会議選挙の結果が出るまでの様子、そして後半は、財前教授の体に末期がんの症状が出て、それからの闘病生活の様子が描かれている。最後は感動的なんだが、ちょっと無念だったかな。
財前の死に方がちょっと悲惨かなと思った。P401の「なお、自ら癌治療の第一線にある者が、早期発見出来ず、手術不能の癌で死すことを恥じる」は無念だな。何も病状を知らされずに死ぬというのはむごいことだよね。それがやさしさかといえばぜんぜん違う。見舞う側のエゴだと思う。やっぱり、里見は鵜飼などと違って財前自身を本当に心配していたと思う。また、財前が信用できるのは里見だけだったんだろうなと思う。ところで、病院のベッドで財前は佐々木さんの死をどう思ったのかなと感じる。
財前の姿と里見の姿を対比させて、いろいろと思うところが多く、考えさせられる作品だと思う。医療従事者は患者としっかり向かい合うことが大事だと思うな。そして、技術向上に向けて努力することも忘れてはいけない。