2013年9月23日(日)
ウソみたいな話だが、僕は次男の通った中高一貫校で、PTA会長を2年間、後援会理事長を2年間それぞれ務めた。
ただし少しも威張るような話ではない。
生徒といい保護者といい能力もモラルも一様に高く、校長・副校長らに人を得た時期だったから、こちらの仕事は限られている。誰がやろうと同じだったのだ。
現にこの学校では、2年ごとに適当な人間を保護者の中から選び出し、起用することを続けていた。
次男の高校進級直前、それまで口をきいたこともない担任から電話がかかってきたときにはタマゲた。
何で私ですか?前任者たちの顔ぶれを眺めて考えたものだ。
姓にア行が多い。五十音順か?
私大教員が続いている。ヒマで土日に出てきやすいと見られたか?
愚息がひどく素行不良ではないことぐらいは、裏書きされているのかもしれない。
まあ何でもいい。
たまの会議の司会や、会報への短文寄稿ぐらいで他に大したこともせず、いっぽうでは将棋の羽生名人を講演に招いて親しく話を聞くといった役得ありで、全国を見渡してもこんな気楽なPTA会長はなかったはずだ。
***
以上は前振り、本題は何かと言えば。
たしか一昨年あたり、強風の中でこの学校の大木が一本倒れるという事件があった。
ポプラだったか何だったか何しろ相当な巨木で、しかも表通りに面した塀沿いに立っていたのが、通りの方向に倒れたのである。
電線を何本か薙ぎ払い、道路の反対側の歩道に先端が激突する形、来合わせたタクシーの屋根に枝が当たって凹んだが、けが人がなくて済んだのは真に僥倖だった。
事後の調査で、この大木が病気にかかっていて折れやすくなっていたことが判明した。
見かけ倒しとは、このことである。
僕はこの時すでに任期を終え、次男も卒業していたが、他人事とは思えず驚き、かつ安堵したことだった。
台風18号による暴風雨が去った先週初め、ふとこのことを思い出して副校長にメールしてみた。
以下、そのやりとりである。
H先生:
お疲れ様でした。
ものすごい台風でしたが、御校の大木はこの度は無事でしたか?
拝復:
ご連絡、有難うございます。
大木は大丈夫でしたが、K田圃の稲の一部がやられました。
収穫量も心配ですが、その後の脱穀や精米に泥や砂利が混ざるのではないかと
危惧しております。
H先生:
そうでしたか。
そういうことも学びの一部なのでしょうね。
台風が来れば稲が傷み、収穫の量や質に影響が出るのだと。
農民の心や、収穫を待つ庶民の気もちを知ることができて、やはりK田圃は良いなあと思います。
ドイツ人農学者K博士の名を冠した田圃は、この学校の自慢の種だ。
毎年、田植えや稲刈りが生徒たちの貴重な経験になる。
保護者(というか母親)らが案山子づくりに創意を凝らし、毎年傑作をコンテストに送り出す。
収穫された米は卒業祝いの赤飯に化け、そのお相伴にあずかるのも「役得」のひとつだった。
都市部の学校だからこそ、小規模でも田畑をもつことには大きな意味がある。
少子化で小中学校が統廃合され跡地の利用法が問題になるが、ビオトープや農地を設けて地元の子どもに体験させるのも一法かもしれないな。
田圃がみな、無事でありますように。
ウソみたいな話だが、僕は次男の通った中高一貫校で、PTA会長を2年間、後援会理事長を2年間それぞれ務めた。
ただし少しも威張るような話ではない。
生徒といい保護者といい能力もモラルも一様に高く、校長・副校長らに人を得た時期だったから、こちらの仕事は限られている。誰がやろうと同じだったのだ。
現にこの学校では、2年ごとに適当な人間を保護者の中から選び出し、起用することを続けていた。
次男の高校進級直前、それまで口をきいたこともない担任から電話がかかってきたときにはタマゲた。
何で私ですか?前任者たちの顔ぶれを眺めて考えたものだ。
姓にア行が多い。五十音順か?
私大教員が続いている。ヒマで土日に出てきやすいと見られたか?
愚息がひどく素行不良ではないことぐらいは、裏書きされているのかもしれない。
まあ何でもいい。
たまの会議の司会や、会報への短文寄稿ぐらいで他に大したこともせず、いっぽうでは将棋の羽生名人を講演に招いて親しく話を聞くといった役得ありで、全国を見渡してもこんな気楽なPTA会長はなかったはずだ。
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以上は前振り、本題は何かと言えば。
たしか一昨年あたり、強風の中でこの学校の大木が一本倒れるという事件があった。
ポプラだったか何だったか何しろ相当な巨木で、しかも表通りに面した塀沿いに立っていたのが、通りの方向に倒れたのである。
電線を何本か薙ぎ払い、道路の反対側の歩道に先端が激突する形、来合わせたタクシーの屋根に枝が当たって凹んだが、けが人がなくて済んだのは真に僥倖だった。
事後の調査で、この大木が病気にかかっていて折れやすくなっていたことが判明した。
見かけ倒しとは、このことである。
僕はこの時すでに任期を終え、次男も卒業していたが、他人事とは思えず驚き、かつ安堵したことだった。
台風18号による暴風雨が去った先週初め、ふとこのことを思い出して副校長にメールしてみた。
以下、そのやりとりである。
H先生:
お疲れ様でした。
ものすごい台風でしたが、御校の大木はこの度は無事でしたか?
拝復:
ご連絡、有難うございます。
大木は大丈夫でしたが、K田圃の稲の一部がやられました。
収穫量も心配ですが、その後の脱穀や精米に泥や砂利が混ざるのではないかと
危惧しております。
H先生:
そうでしたか。
そういうことも学びの一部なのでしょうね。
台風が来れば稲が傷み、収穫の量や質に影響が出るのだと。
農民の心や、収穫を待つ庶民の気もちを知ることができて、やはりK田圃は良いなあと思います。
ドイツ人農学者K博士の名を冠した田圃は、この学校の自慢の種だ。
毎年、田植えや稲刈りが生徒たちの貴重な経験になる。
保護者(というか母親)らが案山子づくりに創意を凝らし、毎年傑作をコンテストに送り出す。
収穫された米は卒業祝いの赤飯に化け、そのお相伴にあずかるのも「役得」のひとつだった。
都市部の学校だからこそ、小規模でも田畑をもつことには大きな意味がある。
少子化で小中学校が統廃合され跡地の利用法が問題になるが、ビオトープや農地を設けて地元の子どもに体験させるのも一法かもしれないな。
田圃がみな、無事でありますように。