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散日拾遺

日々の雑感、読書記録、自由連想その他いろいろ。
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涼しい朝、T君は出張から帰り、内田樹は新聞で吠える

2013-05-09 07:28:51 | 日記

T君は海外出張していたのだ。

ライラックなどの写真の件で御礼を言ったら、下記の返信が来た。

 

*****

 

1日から5日まで、ドバイとカイロに出張してきました。
ドバイというのはグローバライゼーションの最先端のようなところで、エミレーツ航空と24時間空港で中東、アフリカのGATEwayを目指す人工都市。世界一の800mのタワーや世界最大のショッピングセンター、そしてホテルだらけの多民族都市でアラブ人はわずか20%だそうです。どこに普通の人が住んでいるのかと思う、生活感の全くないところでした。

一方カイロは民主化と原理主義がせめぎ合い、街にはゴミがあふれる先発後進都市で、1千万都市なのに街のいたるところで馬車が走ってます。

いろんな意味で対照的なアラブの街を見て、いろいろ考えさせられました。もちろん、カイロを応援したい。

 

*****

 

へぇ~、そうなんだ。

ドバイを地図で見ると、ホルムズ海峡直近、一朝有事の際は800mのタワーがいい攻撃目標になっちゃうだろう、大変だなと思ったが、考えてみればここはブッシュ親子と世界最強のアメリカ軍が、背後にしっかり付いているんだね。このタワーを建てたのはどこの国の建設会社かな。

 

カイロを応援したいというT君を、もちろん応援したい。

ガンバレ!

 

昨日、2013年5月8日の朝刊、内田樹が「壊れゆく日本という国」と題してオピニオンを展開している。

いつもながらのキレの良さで、「ことあるごとに『日本から出て行く』と脅しをかけて、そのつど政府から(ということは日本国民から)便益を引き出す」企業のグローバル化を痛烈に皮肉っている。

 

環境保護コスト、製造コスト、流通コスト、人材育成コスト、あらゆるコストを外部化して国民国家に押しつけ、利益だけを確保しようとするのがグローバル企業の基本戦略だと総括するのだが、中でもあまりにごもっともで苦笑したのは、「グローバル化と排外主義的なナショナリズムの亢進が、矛盾しているように見えて実は同じコインの裏表」という指摘だ。

 

国際競争力のあるグローバル企業は「日本経済の旗艦」である。だから一億心を合わせて企業活動を支援せねばならない。そういう話になっている。(中略)これらの本質的に反国民的な要求を国民に「のませる」ためには「そうしなければ、日本は勝てないのだ」という情緒的な煽りがどうしても必要になる。(中略)だから、安倍自民党は中国韓国を外交的に挑発することにきわめて勤勉なのである・・・・・

 

この件と、一つ前のブログで書いた「男の子達の意味飢餓」がくっつくとエラいことになるだろうが、それはアタマのいい人々の構想の中では、たぶん既にくっついているのだ。

 

エラいことだ。

 

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経済音痴なのでその部分の当否は言えないが、大きな認識については内田樹と全面的に同感だ。

ひとつだけ追記を付すなら、「国民の利益の保護増進を至上命題とする」という意味での国民国家が、かつてこの国に存在したことがあるかどうかを疑問に思う。

それすらなかったその上に、似非の「グローバル化」が乗っかってくる。

モダンを通過しないポストモダンと、同型であり同根である。

 

 


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1 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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Unknown (勝沼)
2013-05-09 19:55:12
 朝日のオピニオンはネット上でも内田樹のブログから全文を読むことができます。

http://blog.tatsuru.com/2013/05/08_1230.php

 私の先日の「競争社会をつくるから家族で助け合ってね」も内田樹のグローバリズムに対する考えを参考にして出た言葉です。
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