散日拾遺

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他愛のないやりとり/亀のいる風景

2015-12-13 07:54:32 | 日記

2015年12月12日(土)

 「まったくあんたは、この寒いのに裸みたいなカッコしてクシャミして、そんなに薄着して『風邪ひいたから出勤しない』とか言っても、聞かないからね!」

 「え、じゃあ服を着たら、風邪ひいて休んでもいいんだよね?やった~!」

 他愛もなく笑いこけてしまった。診察室で語られた、とある母娘の会話である。どこの家庭でもあることだろう。

 こういう他愛なさが生活の行間を埋め、おかげで僕らは歩みを進めることができる。

***

 11月のある木曜日にやってきた患者さんに近況を訊ねたら、大事にしていたカメが死んだ話をしてくれた。エジプトリクガメだったと思う。それともギリシャリクガメ?最近とんと記憶が・・・どちらも実在するからややこしいのだ。左がエジプト、右がギリシャ。エジプトリクガメは事実エジプトが主たる生息地だが、ギリシャリクガメはイタリアに多く分布するという。どちらも絶滅危惧種、レベルCR(critically endangered)である。

  

 ともかくFさんは、自分のメタボ管理では生活指導から逃げ回る高校生のように保健師に手を焼かせ続けていながら、3年来の家族の一員であるリクのためには手間も出費も惜しまず医者にかけた。最初は寄生虫症、ついで膀胱結石を煩い(痛かっただろうな、リク君)、最後は緑膿菌感染症が命取りになったという。いつも思うんだけれど、ペットクリニックの獣医さんっていうのは大したものだ。いっぽう、生物種が違ってもかかる病気は大凡共通であることにも驚く。「われら動物みな兄弟」は、畑正憲のエッセイのタイトルだったな。

 愛亀の不在は耐えがたく、Fさんちではリク君を見送った後、再度あらたなエジプトリクガメ(ギリシャリクガメ?)を家族に迎えた。今度はモモちゃんという名前をもらっている。ミヒャエル・エンデの『モモ』、類いまれなる傾聴の天分に恵まれた女の子モモは、確か大きなカメをお供につれていたような気が・・・

 ね、本の表紙にもあるでしょ?

   


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