2015年8月4日(火)
・ 寂寞 「せきばく」「じゃくまく」 ・・・ ひっそりとしてさびしいさま
「 ー として人影もない街」「俊三は ー たる深夜の枕に独り目を開いて」(木下尚江『良人の自白』)
・ 索莫・索漠・索寞 「さくばく」 ・・・ 心を慰めるものもなくさびしいさま。荒涼としたさま。
「ろくな家具もない ー とした部屋」「 ー とした気持ち」
(大辞林)
寂寞については、「漠」や「莫」で置き換えられないのかな・・・
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一ヶ月ほども前のことだが、電車の中でギョッとすることがあった。
乗り込んだ車両にちょうど一人分の空席があったので、座ろうとしてフリーズした。座席に黒いものがとぐろを巻いている。どう見ても髪の毛なんだが、抜け毛の塊かと思いきや、その一端は確かに臨席の女性につながっている。
長い長い髪の端が、隣の座席まではみ出してとぐろを巻いていたのである。持ち主はすました顔で、ヘッドフォンで耳をふさぎ、膝に広げたMacBookか何かで無心に作業していらせられる。
どうしようかと思ったが、それで着席を断念するのも妙に悔しい。そおっと髪の塊を横にどけ、尻に敷かないよう小さくなって座る。気づくかなと思ったが、気づかない。
次の駅で、女性は立っていった。ラフなジーンズ姿で化粧気がまるでない。髪は確かに度外れに長く、長身の背後で膝裏まで垂れている。ここまで伸ばすのに、何歳の時から何年かかったろう?なぜ切らないんだろう?いつか切るんだろうか?
女性の髪にはけっこう気を使うんですよ。何しろ触るわけにいかない、サッカーボールと同じで手で触ったらこっちに反則が付くからね。満員電車で顔の前に突き出されたポニーテールなんか、ちょっとした拷問だ。バス・電車内で勢いよく髪を裏返す(ってわかる?)、その毛先に頬を叩かれたことが、人生に二回あり、あんまりびっくりして文句を言い損ね、後でめちゃくちゃ腹が立った。しかしこんなのは、これまでに経験がない、よ。
その後しばらく、その日は気分が悪かった。