2023年11月7日(火)
立冬 旧暦十月節気(新暦11月7日頃)
立冬は冬に入る最初の二十四節気です。
北国の山で初冠雪を記録するなど、冬の知らせも聞こえてくる時期です。冷たい時雨や冬の季節風も吹きはじめます。
日暮れの早さが目立ち、陽光もどこか頼りなく心細さを感じます。暖房器具や冬物の洋服を用意するなど、冬支度へ気持ちが向かう時候なのでしょう。
『和の暦手帖』P.86-7
七十二候
立冬初候 山茶始開(つばきはじめてひらく)新暦11月7日~11日
立冬次候 地始凍 (ちはじめてこおる) 新暦11月12日~16日
立冬末候 金盞香 (きんせんかさく) 新暦11月17日~21日
気温に着目するなら現実とのズレも気になるが、日暮れの早さ、陽光の頼りなさは確かに実感される。四季の運行を決定づける根本的な要因が太陽との関係だとすれば、温暖化の中でも標準としての意味をもち続けられるかもしれない。
中国語ではツバキ類を総称して山茶と呼ぶとのことで、「山茶花(さんざか)の音位転換からサザンカとなった」といった説明を間に置けば分かる話である。
金盞香はキンセンカなのだろうか、やや西洋風の印象があり、実際にも地中海原産で南欧や北・中米で栽培されたもののようだから、ここに登場するのが少々意外である。
「音位転換」は metathesis の訳語だそうだが、Wikipedia が列挙するその実例が面白い。
【日本語】
- 子どもによくある言い間違い:たがも(卵)、すいせんかん(潜水艦)、がじゃいも(ジャガイモ)
→ これは僕も挙げられる。滞米中に当時二歳の次男が「ハンガーバー、ぶじゅんで食べる」「(後続の車が)ちゅぶかる!」など多くの例を残してくれた。今はめでたく国語の先生である。
- 方言:北陸の一部で「生菓子」を「ながまし」と呼ぶ。上記の「がじゃいも」は小笠原方言にもあるのだと。大人にも言い間違いは多々あることで、英語の某先生が「シミュレーション simulation」を「シュミレーション」と確信もって発音していたっけ。
- 日常語彙に定着した例:新しい(あらたし→あたらしい)、山茶花(さんざか→さざんか)、舌鼓(したつづみ→したづつみ)、秋葉原(あきばはら→あきはばら)
【英語】
- three - thirty(ri → ir)
- turbulence - trouble (ur → ru)
- miscellaneous - mix (sk → ks)
- tax - task (ks → sk)
- neuron - nerve (wr → rw)
英語の例はいずれも初耳、目から鱗である。当然、諸国語に広く見られるはずで、そういう目で見れば楽しみの増えることだろう。
Ω