散日拾遺

日々の雑感、読書記録、自由連想その他いろいろ。
コメント歓迎、ただし仕事関連のお問い合わせには対応していません。

金生麗水 玉出崑岡 ~ 千字文 006

2014-02-01 12:29:39 | 日記
2014年2月1日(土)

◯ 金生麗水 玉出崑岡(キンショウレイスイ ギョクシュツコンコウ)
黄金は麗水に産し、玉璧は崑崙山から産出する。

 麗水は今の雲南省にあった川の名で、砂金が川の表面に浮かび出るような具合だったという。その金の質が中国随一であったらしい。
 崑岡は南楚の地にある谷で、やはり美玉の産地だった。

 「李注」は、姓を卞(べん)名を和(か)という男の悲劇を記している。玉を見わける名人であったが、名玉の素材を磨かれない状態で献上したところ、これを受けた楚の文王、ついで武王に見る眼がなかったために、王を欺くものとして左足と右足を順次切られ、故郷の山のふもとで血の涙を流して泣いたというのだ。話の出典は不明とある。
 和はしかし、武王を襲った成王にもまた玉璞(ぎょくはく、未だ研かれざる玉)を献じた。痛ましいことだが、そのように命じられたのだろうか。成王がこれを玉人に研かせたところ果たして美しい玉が現われ、値段が付けられないほどであった。成王は後にこれを趙の国王に譲って、趙王の娘を妻に得たそうな。
 成王もまた暗愚であったなら、卞和にはどんな運命が待っていたことだろうか。