京のおさんぽ

京の宿、石長松菊園・お宿いしちょうに働く個性豊かなスタッフが、四季おりおりに京の街を歩いて綴る徒然草。

千日詣り

2015-08-01 | 京都案内

毎日寺社にお詣りすることを1000日続ける代わりに、一度お参りすると1000日分の功徳があると、世の面倒くさがりの為に作られたのかどうかはわかりませんが、東京・浅草寺、大阪の藤井寺、四天王寺など知られているようです。京都では、愛宕山千日詣りと清水寺千日詣りがつとに有名です。 

愛宕山千日詣りは731日夜から81日の明け方にかけて愛宕山に登り、愛宕神社に参拝するとご利益があるとされます。

愛宕山は京都市の北西部にある924mの山で(因みに比叡山は848.3m)、山頂近くには火伏で知られる愛宕神社があり、京都の家庭の台所や飲み屋さんなどには「阿多古祀符 火廼要慎」のお札が張られているのをよく見ます。その昔、明智光秀が、信長への謀反を前に「ときはいま あめがしたしる さつきかな」とその気持ちをよんだことでも知られる創建千三百年を超す古社です。登り口は主に4つ、清滝からの表参道、清滝から空也滝をへて中腹の月の輪寺を経る月の輪口、水尾の里からの水尾口、周山からの愛宕道(首無地蔵ルート)がありますが、千日詣りは表参道から登ります。最初から急で、階段状の道が続き、けっこうこたえます。三つ詣りと言って3歳までに上ると一生火事に遭わないと謂われ、子を背中に背負い登る親子連れも多くみられます。お父さんが背負うことが多いようですが、交代でお母さんが背負う家族もいますし、兄弟姉妹、3世代で助け合い登る家族もいるようです。歩きながら「おのぼりや~す」「おくだりや~す」と声をかけますが、登り下りで元気さが違うのはしょうがないことでしょうか。20丁目を過ぎると若干ゆるやかになり、以後緩急を繰り返して神社につきます。神社手前に階段がありますが、ここまでくるとなんてことはありません。約2時間半でしょうか。健脚な方は2時間で登るとか。

本殿で参拝を終えた人は、この日しか買えない「火廼要慎」のお札を買い求める列に並びます。

 

本殿前では早くから登った人が仮眠をとっており、日が変わって着いた人は階段下の広場で休憩を取ることになります。

多くは夜9時ごろから登り始めて、休憩をはさんで3時か4時に降りてくる人が多いようです。実は、この時間が微妙で、唯一の公共交通機関の京都バスが動き始めるのが5時半ごろ。清滝のバスプールで並んで待つか、タクシーで嵐山まで降りるか、悩むところです。上で仮眠をとり、始発に合わせて降りるのもいいのですが、上は結構寒くなりますので、それなりの上着を持っていく必要があり、荷物がかさみます。結局、11時ごろから登って、3時半ごろに下り始めるのが始発に合わせやすいようです。

今年は、まったくの無風で、ポロシャツが乾かず濡れたまま下山することになりましたが、満月が印象的な千日詣りになりました。



KAZ