“色の話いろいろ”

色には意味があり、使い方次第で印象が良くなります。
「イマイチ」が「素敵」に変わります。

京鹿の子、江戸鹿の子、半四郎鹿の子

2011-11-30 | 日本の伝統色(日本の色)
江戸時代に流行した鹿の子絞の流行色に、歌舞伎役者が関わっていたことを紹介します。


京鹿の子(きょうがのこ)・・・京都で絞り染めをした絹織物の総称。
 京都と江戸はライバル同士、“京”をつけて京都産の絞り染めの技術をアピール!!
 歌舞伎では京鹿子とくれば、「京鹿子娘道成寺」とすぐに演目名がでてきますよね。 
 絞り染めの文様が、子鹿の背のかわいい斑点文様に似ていることから鹿の子といいます。“かのこ”こういう言葉の表現、私は好きです。
 染料は高価な紅花(赤)で、大衆文化が花開いた江戸時代でも、お米の100倍の値段で取り引きされて京都へ送られて来たとか。あまりに贅沢な総鹿の子絞は、5代将軍・綱吉の時代に美服禁止令(1683)が発令されたほど。


江戸鹿の子(えどかのこ)または小太夫鹿の子(こだゆうかのこ)・・・江戸産の江戸鹿の子。
 江戸・元禄年間(1688~1703)のころ、歌舞伎役者の伊藤小太夫が舞台で着たことで流行しました。
 “京紫”“江戸紫”のように、わざわざ色名を変えたりして、江戸っ子も江戸をアピール!!
 贅沢禁止令に引っかからない“型染め”にし、染料は紫根(紫)にしましたが、その紫根も禁止になってしまいました。京鹿の子に対抗して江戸鹿の子はどうだ~っと工夫したのに・・・残念!!
 草木染めに使われる染料・紫根も紅花と並んで古来より高価で、庶民には手の届かなかった憧れの色に、手が届く時代になったのです。
 それから、当時、江戸でも紫根が栽培されていたようです。


半四郎鹿の子(はんしろうかのこ)・・浅葱色に染めた麻の葉文様の鹿の子絞。
 江戸・文化年間のころ(1804~1817)歌舞伎役者5代目・岩井半四郎が、舞台で浅葱麻の葉鹿の子絞の振り袖を来て登場したことで、特に女性たちが、襟元(半襟)や袖、裾からちょっと見えるように用いて、流行色・文様となりました。
 浅葱色(あさぎいろ)とは、日本の染め色の代表色とも言える藍(青)染めで浅く染めた色のこと。
 麻の葉文様は、丈夫でスクスクと育つ麻にあやかって、子供の産着に使われるようになり、女性の衣服にも用いるようになりました。
 ※ 浅葱色は絶対にこの色!?とは拘らずに、藍染め(青系の色)であれば半四郎鹿の子とおおまかに考えることをお勧めします。

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現在に伝わる絞り染めの産地
南部絞り(秋田県盛岡市)→草紫堂
有松・鳴海絞(愛知県名古屋市)→有松・鳴海会館
京鹿の子絞(京都府京都市)→京鹿の子絞振興協同組合
 ※ 絞り染めの美をご堪能下さいませ。



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