白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
ブログ移転しました→https://note.com/shiraishi_igo

3月12日の対局

2018年04月24日 22時41分08秒 | 対局
皆様こんばんは。
本日も対局を振り返ります。
3月12日、阿含桐山杯予選で小松英樹九段と対局しました。



1図(テーマ図)
私の黒番です。
白△まで、妙な分かれになりました。
次に白Aが気になるので・・・。





2図(実戦)
実戦は黒1と打ち、白△を取りにいきました。
しかし、これは足が遅かったと後悔しました。
白10まで、左辺で主導権を握られています。





3図(変化図1)
黒1と左辺に先回りしたいところでした。
当然白2、4と出てきますが、黒5と切って・・・。





4図(変化図2)
黒6までとなりそうですが、中央の白も弱いのでなんとか戦えそうです。
実戦は厳しさが足りませんでした。

この対局で今年3敗目となりました。

2月26日の対局

2018年04月23日 23時00分54秒 | 対局
皆様こんばんは。
ブログを休んでいる間にも対局がありました。
今年は負けが多いですが、勝っても負けてもブログのネタとして昇華できるのが救いでしょうか・・・。

本日振り返るのは阿含桐山杯予選、甲田明子三段との対局です。
甲田三段は同門の姉弟子に当たります。
阿含杯予選は持ち時間が1時間と短く、1日に2回打つこともありますが、この日は1局のみでした。



1図(テーマ図)
私の白番です。
黒△に対しては白Aと曲げ、黒Bと愚形につながらせたいところです。
ただ、白Aには黒Cで受けられ、次に黒Dと出られる手が気になります。
そこで・・・。





2図(実戦)
実戦は白△と、妙な所に置いてみました。
次に白Aと切るぞ、と言っていますから・・・。





3図(実戦)
実戦は黒1とつなぎましたが、白2以下のおまじないから、白8、10と黒を取りにいきました。
先述したように、黒Aと出る手がありそうですが・・・。





4図(変化図)
黒1、3と出てくれば、白4までぴったり受かります。
白△と黒△の交換で黒のダメを詰めており、黒Aに切れません(白Bで取られ)。

結果的には上手く技が決まり、中押し勝ちとなりました。
最善手かどうかはともかく、面白い手筋だったと思います。

グロービス杯結果

2018年04月22日 23時10分02秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
本日で「やさしく語る 碁の大局観」の校正作業を終えました。
ゲラを返送してしまえば私の作業は終了、後は完成を待つのみとなります。
発売は丁度1か月後の5月22日です。
力作なので、ぜひ多くの方にご覧頂きたいですね。

さて、本日はグロービス杯の準決勝、決勝、3位決定戦が行われました。
決勝に進出したのは、申旻埈七段(韓国)と許嘉陽六段(中国)でした。



1図(実戦)
申七段の黒番です。
4個所でAI流が出現しています。
右下の2間締まりだけは元々あった手ですが、AlphaGoの登場以降、出現頻度は100倍ぐらいになったかもしれません。





2図(実戦)
黒×が攻められていますが、ここで黒△と反撃!
安全圏にいるように見えた白を、無理矢理戦いの舞台に上げるような強手です。
この厳しい発想は見習いたいものですね。





3図(実戦)
黒△までと進んだ場面です。
黒は下辺と中央で利益を得た上、黒×にはまだ脈が残っています。
黒優勢でしょう。





4図(実戦)
しかし、この場面で白△のノゾキとは、嫌なところを衝いてくるものです。
黒Aとつないでいれば安全ですが、僅かに白が得をします。
そこで、実戦は黒が反発しましたが、先の見えない戦いに発展した感もあります。
強い棋士は、単に良い手を打てるだけでなく、勝負の駆け引きにも長けているのです。

今回は日本勢にとって非常に厳しい結果になってしまいましたが、雪辱の機会は与えられています。
来年は良い結果を出せることを期待しています。

神ギ問放映&グロービス杯2日目

2018年04月21日 21時59分36秒 | 日本棋院情報会員のススメ
皆様こんばんは。
本日、「さまぁ〜ずの神ギ問」の放映がありました。
私は見られませんでしたが・・・調べてみたところ、ここの見逃し無料というところで見られるようになるのでしょうか?
今は前回分の放送が配信されているようですね。

今回は最初に藤沢里菜女流三冠が登場したようです。
ちゃんと華のある棋士を出してくれて一安心です。
そこを一番心配していましたからね(笑)。

私の方は・・・どうだったのでしょうね?
皆様に楽しんで頂けたなら幸いです。


さて、本日はグロービス杯の2日目が行われました。
グロービス杯は第1回で日本代表がワンツーフィニッシュを決めた棋戦ですが、今回は誰も準決勝に残れず、残念な結果に終わりました。
一般の世界戦で優勝が狙えるレベルの棋士も参加しているとは言え、もうちょっと結果が欲しかったですね。

それでは、今回は日本勢で唯一決勝トーナメントに進出した、藤沢女流三冠の対局をご紹介しましょう。
相手は中国の天才棋士、謝科五段です。



1図(実戦)
藤沢女流三冠の黒番です。
白1、3のシチョウ当たりから、白5と逃げ出しました!
先に損をするのでリスクの高い打ち方ですが、構わずやっていくところは謝五段らしいですね。





2図(実戦)
左下は白△と白×が真っ二つに切られていて、典型的な裂かれ形です。
プロが初心者並の手を打ったと言えば、どれだけ酷いかご理解頂けるでしょうか?

一方、右上も黒△の命が危なくなり、これももちろん酷いことです。
白の謝五段は「自分も酷いけど、相手はもっと酷いでしょ?」と言っているわけです。
碁では「あなたにも良いものをあげるけど、自分も良いものを貰いますよ」という平和主義の打ち方も多く見られますが、謝五段の打ち方は非常に攻撃的ですね。





3図(実戦)
結果的には、黒は逆に白×を取って凌ぎました。
その代償として右下方面で損をしましたが、黒×も救出の余地が残っていますし、黒が上手くやったように見えます。

問題は黒△の処遇の判断です。
かなり弱く見えるので、私ならまず捨てることから考えてしまいそうですが・・・。





4図(実戦)
黒1から、堂々と担ぎ出しました!
危険もあるように見えますが、藤沢女流三冠はこういう空中戦での凌ぎが上手い印象があります。
私も酷い目に遭わされた経験が・・・。

結果、見事に凌ぎ切って勝ちを決めました。
決勝トーナメントでは韓国囲碁界ナンバー2の申真ソ八段に敗れましたが、今回は非常に良い経験ができましたね。

グロービス杯、開幕!

2018年04月20日 22時34分23秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
本日で緊急性のある仕事はほとんど終わり、残りは本の校正を残すのみとなりました。
今週は睡眠時間が普段の三分の一ぐらいになりましたが、案外なんとかなるものですね・・・。
でも、明日は昼まで寝ていようと思います(笑)。

さて、本日はグロービス杯が開幕しました。
棋譜は幽玄の間で中継されています。
正直、最近の碁はAI流ばかりで全くついていけない感じです。
今は試行錯誤している段階なのでしょうが、AIは強くなる一方なので、この風潮はいつまで続くのか・・・。

それはさておき、本日は申真ソ八段(黒)と六浦雄太七段の対局から、印象的だった場面をご紹介しましょう。



1図(テーマ図)
黒△とカミバサミした場面です。
一応左右がつながった顔をしているものの、薄い形をしているので、何かないものか?





2図(実戦)
ここで、六浦七段の放ったのは白1のツケ!
黒2を待ってから白3、5と切ったのを見て、「なるほど」を感じました。





3図(実戦)
黒1とつなげば、白2~6と黒地を破ろうというのですね。
なんとなく、昨日ご紹介した手と似ている感じもします。
例によって、黒もこういったハマリ図は選ばないのですが・・・(笑)。


初日の結果は、日本勢にとって厳しい結果でしたね。
明日以降の挽回に期待しましょう!