白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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力のサバキ(幽玄の間棋譜紹介)

2016年10月07日 23時39分19秒 | 幽玄の間
皆様こんばんは。
昨日の記事で200回目の投稿となりました
気付いたのはさっきですが
特に何があるわけでもありませんが、サボらずやってきたという実感は得られますね
今度は300回目指して頑張っていくとしましょう。

<お知らせ>
明日は永代塾囲碁サロンで13時から17時半頃まで指導碁を行います。
ご都合の合う方はぜひお越しください!
毎度告知が遅くて申し訳ありません

さて、本日も幽玄の間で中継された棋譜をご紹介したいと思います。
本日もテーマはサバキですが、上級編になるでしょうか?





1図(テーマ図)
沼舘沙輝哉四段(黒)と武宮正樹九段の対局です。
武宮九段が白1と切っていきましたが、黒2、4と強く対応されました。
左辺は黒石ばかりで、戦力的には明らかに白不利です。
白はどう動いたでしょうか?





2図(変化図)
命が危ないという事で、つい白1、3と左辺で生きに行きたくなる方が多いでしょう。
しかし黒4とかぶせられ、白はいかにも窮屈です。





3図(続・変化図)
窮屈だからといって死ぬわけではありません。
白7までなんとか生きました。
しかし黒8となって外が真っ黒、白△はボロボロに・・・
白即負けの図です。





4図(実戦)
実戦は白1、3!
黒△も強くないという事で、黒の上下を分断していきました。
苦しい状況でただ生きる事だけ考えていると一方的になります。
たとえ攻められていても、相手にもどこかに弱みがあるものです。
それを衝いていくのが表題の力のサバキです。





5図(実戦)
黒1と切られましたが、白も2、4と上下を切っていきます。
黒の上下の弱みが浮かび上がってきました。





6図(実戦)
黒1、3で上の黒は安全になりましたが、白8まで左下の黒が危なくなってきました。
一見黒Aで大丈夫に見えるかもしれませんが・・・





7図(変化図)
黒1には白2、4で白AとBが見合いになります。
これは黒まずい図です。





8図(実戦)
結局黒1から振り替わりになりました。
白の方が沢山取られたようですが、テーマ図と比べてみてください。
不利な状況からスタートして、そこそこに分かれたのですから白成功です。

如何でしたか?
今回は上級編でしたが、石を助ける事に拘らないのがサバキの基本です。
それだけでもできていれば武宮九段レベルまでは行かずとも、良いサバキに繋がるでしょう。