大白法 平成30年1月16日(第973号)
教 学 ノ ー ト
㊴ 霊 山
霊山とは、霊鷲山の略称で、インドのビハール州にある山です。
山頂が鷲の形をしていることや、鷲が多く棲んでいたことからこの名前が付けられたようです。
ここは、古代に栄えた摩(ま)竭(か)陀(だ)国(こく)の首都・王(おう)舎(しゃ)城(じょう)の東北にあって、法華経が説かれた場所でもあることから、仏様がお住まいになる清浄な国土(常寂光土)を意味し、霊山浄土とも言います。
日蓮大聖人様は御書の『南条殿御返事』に、
「教主釈尊の一大事の秘法を霊鷲山にして相伝し、日蓮が肉団の胸中に秘して隠し持てり(中略)かゝる不思議なる法華経の行者の住処なれば、いかでか霊山浄土に劣るべき」
(御書 1569㌻)
と仰せです。
一大事の秘法を胸の中に収める日蓮大聖人様のいらっしゃる所こそ霊山浄土です。ですから、大聖人様の御魂魄である本門戒壇の大御本尊様がいらっしゃる総本山大石寺が末法の私たちにとっての霊山浄土です。
同じく御書の『御義口伝』には、
「霊山とは御本尊並びに今(いま)日蓮等の類(たぐい)南無妙法蓮華経と唱へ奉る者の住処」
(同 1770㌻)
と仰せです。
つまり、総本山大石寺はもちろん霊山浄土ですし、代々の御法主上人猊下が御(ご)書(しょ)写(しゃ)あそばされた御本尊様が安置されている日蓮正宗の寺院や、皆さんのお家も霊山浄土なのです。正しい御本尊様を信じて「南無妙法蓮華経」と唱える私たちがいる場所は、御本尊様のお力によって霊山浄土となるのです。
似たような言葉に念仏の経典である阿弥陀経には「西方極楽浄土」という世界が説かれていますが、今の世の中では「私たちが住むこの汚れた苦しい世界を捨てて、極楽浄土に行き幸せになろう」という誤った解釈が広まっています。これは、現実の苦しみから逃げようとする、間違った教えてあり、現実が厳しいから楽な世界へ行こうという教えでは、いつまで経っても幸せになれるはずはありません。
大聖人様の仏法は、どんなに苦しい時でも「南無妙法蓮華経」と唱えて困難を乗り越え、現実に住むその場を霊山浄土としていくのです。
「只一心に信心おはして霊山を期(ご)し給へ」
(同 723㌻)
との御金言の通り、一心に信心修行に励むことで必ず御仏智を戴き、幸せへの道が開かれることを確信しましょう。
🖊 ポイント
御法主日如上人猊下は、
「須弥山に近づく鳥は金色となる」
(御書 1054㌻)
と仰せの如く、(中略)総本山に登山参詣する功徳は凡智をもってしては計り知れない大きなものがあり、過去遠々劫の罪障を消滅し、三業の悪を転じて法身・般若・解脱の三徳を成ずる」
(大白法 757号)
と仰せです。今年は何回登山できるでしょう、計画を立てましょうね。