『信心のしおり』からの転載
御本尊様へのお給仕
皆さん、こんにちは、どんどん寒くなってきましたが、元気に過ごしていますか。
十二月は一年の最後の月、 そして新年を迎える準備で忙しい月なので、一説には師匠も走るほど忙しいということで『師走』という呼び名もあります。皆さんも体調管理に気をつけて、元気に今年を締め括りましょう。
さて、今月は御本尊様へのお給仕についてお話したいと思います。
お給仕とは
一般に「給仕」とは、食事や身の回りのことで不自由がないようにお世話することを言います。 これに対して、仏道修行で「お給仕」というと、御本尊様にお仕えすることです。
毎朝、御本尊様が御安置されている仏壇を拭き清め、お水や仏飯をお供えし、樒の水を換え、また勤行の時に灯明をつけ、お線香を焚くことなどがお給仕となります。 これらの御本尊様へのお給仕は、すべてが仏道修行であり、御本尊様への御供養となるのです。
御本尊様にお仕えする
御本尊様は、私たちの成仏に欠かすことのできない功徳の根源です。
大聖人様は『経王殿御返事』 に、
「日蓮がたま(魂)しひをすみ(墨)に そめながしてかきて候ぞ、信じさせ給へ。(中略)日蓮がたましひは南無妙法蓮華経にすぎたるはなし」 (御書 六八五㌻)
と仰せです。御本尊様は大聖人様の御魂魄(ごこんぱく)(生命)であり、大聖人様そのものです。ですから、御本尊様を自宅に御安置することは、大聖人様を自宅にお迎えすることと同じなのです。家族で御本尊様にお給仕をしている姿を見たことがありますね。皆様も真心を込めてお伝えしましょう。
報恩感謝の気持ちで
御本尊様へのお給仕は毎日のことですから、 中には形式的になりがちだという人もいるかも知れませんね。しかし、お給仕の功徳が判れば、報恩感謝の気持ちで行えるようになります。
大聖人様は 『一生成仏抄』 に、
「御題目を唱え、法華経を読誦し、樒をお供えして、焼香することなども、すべて自分自身の心に納まるところの功徳善根であると信じるべきである (趣意)」(同 四六㌻)
と仰せです。御本尊様にお仕えすることで、そのまま私たち自身が功徳を積ませていただけるのです。
日興上人様のお給仕 ー如在の礼ー
第二祖日興上人様は、ご信徒からの御供養の品々を、必ず御本尊と共に御安置されてる大聖人様の御影像の前にお供えしておられました。このことは、返礼のお手紙から判ります。
「御経 日蓮聖人の見参に申し入りまいらせ候ぬ」
「仏 聖人の御見参に申し上げ」
などとお書きになられたお手紙がたくさんあります。 日興上人様は、御本尊様は大聖人様であるとの思いで、お給仕をされていたのです。これを「如在の礼」と言います。
私たちも御本尊様が御安置されているところには、 常に大聖人様がいらっしゃるとの思いで、真心からお給仕し、朝夕の勤行・唱題に励みましょう。
行体を磨こう
総本山第五十九世日亨上人は 『化儀抄』の九十条の註釈をされる中で、『行体』とは、日目上人様が大聖人様に常髄給仕されたように、仏様に毎日お仕えすることです。信心の実践に重きを置く日蓮正宗では行体が肝心です。 一に信、二に行、三に学という順序はあるけれども、行体が悪ければ、信(信心)や学(勉強)をがんばっても正しい結果は得られません。 布教活動が忙しい、また勉強や仕事が忙しいことを理由にして、御本尊様へのお給仕や勤行・唱題などの修行を、いい加減にしてはなりません(趣意)」
と仰せで、何よりも行体が大切であることを教えられています。
この行体は、毎日の積み重ねによって磨かれるものです。「継続は力なり」という言葉の通り、武道家が毎日稽古に精を出して技を磨くように、演奏家が毎日練習して腕を磨くように、 誰かに見られていなくても、毎日のお給仕や勤行・唱題に勤めることで、必ず自分の大きな徳(とく)となり力になるのです。
さらに言えば、御僧侶や私たちが、大聖人様の御教え、御法主上人猊下の御指南の通りに、御住職の御指導のもとに信心修行することも行体を磨くということなのです。
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今年も残りわずか。お正月に目標を立ててたくさん努力してきたと思います。この一年を振り返ってみましょう。 達成したことも、失敗したことも、なぜそうなったのかを考えることで、次の目標が見つかります。
年末には、お寺のお掃除や家の大掃除、お正月の準備などで忙しくなりますね。勤行・唱題を根本に生活し、清々しく新年を迎えましょう。