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夢を生きる方々に学生がインタビュー

快晴堂 杉浦 正 社長

2008-12-22 07:00:00 | インタビュー記事
●日時 2008年11月28日(金)10:00~12:00
●場所 快晴堂 
●快晴堂のホームページは こちら
●インタビュアー 塾長 三潴 克彦 (みつま かつひこ
  
●杉浦 正(すぎうら ただし)氏 【雅号:快晴軒 天晴】
プロフィール
1955年夏、愛知県岡崎市に生まれる。小学生の頃、旅先
での絵描きの老人との出逢いに影響を受け、絵を描き始める。
大学卒業後は、スポーツ用品店オリンピックに入社。
その後、企業CI・キャラクター・ロゴ制作など、デザイナーとして
活動を続け、多くの企業に作品を提供。
30才のころ出逢った須永博士先生の、人との対話の中から
即興で生まれる自由奔放で気ままな、かつ温かみのある作品
に魅了され、書・絵を中心とした独自の制作活動に入る。
現在は有限会社快晴堂を設立し、壁画を中心とした店舗演出・
イベントコーディネイト・広告制作など、従来の各種商業デザイン
の活動に加え、カレンダー・絵皿・色紙・絵葉書など一般の人たち
とふれあうことを目的とした制作活動も行う。
「一生夏」「タダシ・ヘンダソン」としての作品も多数。

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快晴堂を設立されて5年。天晴(あっぱれ)先生として
大活躍中の杉浦正氏。名刺の肩書きは『絵師』
目に見えないものを形にして世に出すおもしろさを熱く
語ってくださいました。
    
   
  
◆現在のお仕事について教えてください
  
ひとことで言えないですけど、基本的には「企業デザイン」
デザインというのは、いろいろなものについてまわります。
昔で言うCIですね。バブルの頃は、お金をかけて
企業イメージを上げることが多かったけど、今は、
パッケージデザインとかブランド化とか、そういうの
が大事ですね。
  
    
◆作品はどんなお店にありますか
   
そうですね。数でいえば何百軒になると思います。
居酒屋さんであったり。レンタルショップだったり。
 
ここにある看板は、米乃家(よねのや)さんという
お団子屋さんのものです。 
看板には、毎回、生で、本当に手で書いているんです。
お店出すたびに。そういう、こだわりはないとね。
「手書き」って言うのは、人間の目にすごく入ってくるんです。
 
米乃家さんは、創業昭和23年の老舗なんですが、
フランチャイズ展開で、500万から1000万円で開業できる
ビジネスモデルを作ったんです。
お団子屋さんは、営業時間が、朝9時から夜は遅くても8時くらい
までだから、定年退職した方たちにもやっていただきやすいんです。
今、西は彦根から東は千葉の成田まで40店舗あって、ひと月に
3店舗ずつオープンしています。

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甘いもののファンって多くて老若男女が買いに来てくれる。
昨日も1店舗オープンしていますが、相当、売上ありました。
団子屋があると、つい買いたくなりますよね。
コンスタントに売上が読めます。2年くらいで償却できますよ。
  
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それから、『や台や』さんも長いです。10年前から関わって
います。今年で10周年なんだけど『や台や』さんの1号店が
押切にできたときからです。
それから1年後に、『や台ずし』ができました。もともとアトム
ボーイにいた方が、アトムボーイは【未来】のおすし屋さんだから
今度は逆に【過去】で行こうってことで『や台ずし』です。
   
いちばんうれしいのは、「商売を始めるので、流行る方法を
教えてください」という依頼。
  
     
◆看板はどこで書くのですか
  
ここ、今、座っているところで書いてるんです。
大きいもののときは、ここじゃ入らないから2回に分けて
書きますけど。
  
 
◆他にはないくらい大きな看板もありますね
 
ふすまに描くこともあります。
(ふすま5枚に連ねて描いた富士山の絵を見せてくださいました)
迫力があるよね。大きいほうが得意だし、好きですね。
   
 
◆快晴堂さんの主力商品は何ですか
 
主力商品は、やっぱりカレンダーですね。
15年前に、当時お手伝いしていた建築会社が、年末の
ご挨拶周りのときに持っていくために、ぜひカレンダーを
作ってほしいって言われたのがきっかけです。
メインに飾ってもらえるようにいろんなサイズを模索しました。
 
僕が、目を付けたのは、トイレなんですよ。
当時はまだ、トイレ用のいいカレンダーがなかった。
 
僕はトイレじゃなくて「勘考場」って言っているんですが、 
トイレに1年間飾ってあって、毎日見ていると、潜在意識に
入っていくんですよ。反復で。
会社なら社員、お店ならお客様、家庭なら家族全員、
子供たちにも、読んでもらえます。
大事な「挨拶」や「笑顔」について自然に伝わっていく 。
 
だから、トイレのカレンダーは、普通のカレンダーより
宣伝効果が高い。企業のロゴ入れたらいいし、お店の
割引券なんかもつけたら面白い。
年末の時期になると、来年の内容が気になってきて
リピートに繋がる。あったものが、なくなるのは寂しいんです。
  
企業さんにとっては、訪問の機会にもなりますよね。
保険屋さんのような業種にいいと思うんですよ。
11月から始まるカレンダーになっているので、他社さんより
先駆けて訪問できます。
   
絵も話題になりました。昔、こういう市電乗ったよね~なんて。
数字も全て手書きなんです。
  
うちは、セールスもいないし、リピートだけなんですが、
去年7万部近くいったのかな。うちのヒット商品なんです。
     
       
◆他にはどんな商品がありますか
   
もうすぐ、フォントを出します。12月1日、全国発売です。
今年はこれがやりたかった。何万字と書きました!
大きくしたり小さくしたりして、メニュー書いたりしてもらえる
でしょ?おいしそうに見えると思いますよ。
  
 
◆こういったお仕事は何年くらいなさっているんですか
  
企業デザインの仕事は20年以上になります。
あまり大きい会社は興味がない(笑)
ユニークな経営者の下について「じゃあ社長あれやりますか?」
「おう、いいな!」という感じで、常に一緒にやっていくのが好きです。
でかい会社は性に合わない。お呼びもないですけどね(笑)
  
今まで、何百人と「社長」に会ってきて、もちろん今も続いている
人もいれば、そうでない人もいます。
割とすぐ喧嘩しちゃうほうだし(笑)
 
   
◆意見の食い違いで、喧嘩ですか?
  
そうです。経営者とね。
売上は、商品で成り立つでしょう?見える商品もあれば見えない
商品もあります。粗利益率の違う商品があって、将来的に
どの商品を伸ばしていくか、シェアで何%取るか、商品発想の
経営計画を作ったんです。
でも、「やっぱり量なんだ」っていう時代だったじゃないですか。
たとえば1000店舗出さなきゃだめなんだっていうね。
そういうところで、意見が合わなかったりしちゃうんです。
 
僕の仕事は最初は目に見えないけど、それがだんだん形に
なって、そのときお客さんが感動してくれる。それが嬉しいですね。
 
 
◆字を書き始めたきっかけを教えてください
 
ある日突然やってみたんですよ。お礼状書こうと思って。
ペンだと長々と書かなきゃだめなので、筆で「昨日はどうも
ありがとうございました」とだけ書いたんです。
 
これがけっこう絵になって「あ、これは面白い」と思って、
書き始めたのがきっかけですね。20年ぐらい前です。
   
こういう字はね、ちょっとコツをつかめば、誰でも書けるんです。
そうですね、1年くらいあれば。
だから経営者、社長もやる人はやりますよ。自分で書くように
なる。過去に何人か教えたことがあります。カレンダーも。
最初は真似ていただいて。書けるようになると楽しい。
ただ、好きでないと継続できないですね。継続すれば絶対でき
ちゃうんですよね。
ある日、突然できるようになるんです。そうすると、人生観変わり
ますよ。
コバックの小林社長は、至るところに自分で書いてますよ(笑)
    
誰でもできます。才能じゃないです。
もちろん、続ける才能だとか字と字の間の取り方だとか、
レイアウトだとかっていうのはあるけども。
でも、みんな書ける。だから、素晴らしいと思います。
  
  
◆「続ける」ことも才能ですね
  
ローマは一日にしてならず、ですね。続ければうまくなるんです。
僕は「オリンピック」という会社にいたときから、30年くらいこういう
ことをやってるんです。
当時はね、POPを書いていたんです。パソコンがなかったから、
すべて手書きで、極太マジックで、「スキー3点セット!」とか。
そんなのばっかり書いていました。
 
 
◆飲食店以外にはどんなところをお手伝いなさっているんですか
  
いろいろですよ。自動車修理関係、重機のレンタルの会社、看板
専門ショップ、稲沢のレンタルファーム・・・。
 
僕には、これからは、必ず1社1キャラクターを作るべきだという
考えがあります。
ロゴもキャラクターも、絶対、あったほうがいいんです。
キャラクターは、印象に残ります。
 
この9月に、だんごの歌を作ったんですよ。
「だ~んご、だんご、だんご・・・♪」って、オリジナルの曲。
(※昭和の時代の白黒テレビから流れてくると似合うような
懐かしい曲調です)
これでね、好調なんです。この歌一曲で、売上が全然違う。
子供たちがすぐ覚えて、集まってきてくれるんです。
やっぱりBGMもオリジナルを作らなきゃ。
  
 
◆哲学も思想も、何も語らなくても、歌って伝わりますよね
  
そうそう。それに、メガヒットっていうのは、子供たちのおやつ
から出てきます。
『泳げたいやきくん』とか『だんご三兄弟』とか。
だから、『たこやきロックンロール』とか『みたらし慕情』とか、
いいよな、と思って(笑)
 
今、作ってるんです。「だ~んご、だんご、だんご」だけだ
と飽きちゃうから。
 
 
◆杉浦さん、仕事をおもしろがってますね?
 
おもしろいですよ!考えてたものが形になって、世に出て・・・。
売上=成績だから、やっぱり楽しい。
  
他にも、結婚式のときに、新郎新婦が両親に渡す、似顔絵の
色紙も引き受けています。感謝の言葉もその中に書くんです。
絵だけじゃなくて、字が入ると、これは嬉しいですよね。
絶対泣くよね(笑)
 
 
◆他にはどんな展望があるんですか
  
今、映像会社とタイアップして、企業の社史をDVDで作って商品
にしようという計画があるんです。創業者の言葉とか、苦労した
時代の話とか、会社の歴史をDVDに収めようと。
いろんなところで使えると思います。50周年記念イベントとか、
経営計画発表会のときとか。
これは、絶対、作るべきものだと思っています。 
  
 
◆採用活動にも使えそうですね
 
そうですね。企業展や会社説明会で流してもらうのもいいですね。
カンパニーヒストリーを○周年の単位に作ろう、というのが来年の
展望です。
  
 
◆長期的な展望、夢を聞かせてください
 
やっぱり原点の 【1社に1キャラクター】ですね。
僕は、キャラクターというのは、1000人の営業マンに匹敵する
強いものだと思います。
コバックからサンタクロースがなくなったらおかしいでしょ。
1社にひとつ、キャラクターをはめ込みたい。特に、中小企業は
そうですよ。
 
いろんなキャラクターがあると思いますよ。
「字」でもひとつのキャラクターだし。
  
それから、来年のカレンダーの表紙にも描いた「てるぼう」を、
絵本で出したいなと思ってるんです。
  
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◆杉浦さんは、生涯現役ですか
 
書けるうちは、生涯現役かな。生涯現役でないと食えないし(笑)
さっき言ったみたいに、形になるじゃないですか?
それがいちばん!
  
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◆夢や目標に向かってがんばっている人たちに一言お願いします
 
【楽しいから笑うんじゃない、笑うから楽しいんだ】
これがいちばん好きだし、やっぱり、よく書くんです。
  
もうひとつ、
【若いときに、恰好悪い経験を沢山した人ほど、恰好よい大人
になる】
  
苦労しとけよ。恰好悪いことたくさんしておけよ。
若いときは、恰好つけるな。
恰好良い仕事ばかりやりたがるな。
経験をよく積んだ人ほどかっこいい大人になれる。
  
そして、【継続は力なり】。おもしろくなければ続けられない。
おもしろくなきゃ、おもしろくする工夫をするんです。
  
   
 
◆お忙しい中、素晴らしいお話を本当にありがとうございました
   
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インタビュー中、「だ~んご、だんご、だんご♪」を幾度か
聞きました。天晴先生の携帯の着信音です。
おかげで、だんごの歌を覚えてしまいました!
すごい宣伝効果です。
 
インタビュー直後の先生の印象は『惜しみなく力を注ぐ』です。
全力で生きていらっしゃる感じが、ぐんぐん伝わってきました。 
恰好悪い経験が、自分を格好良くしてくれる!
将来の自分は今の自分が作っている!
感性を大事に、仕事をおもしろくする工夫をしながら、
喧嘩したっていいと思うものはいい!と主張する天晴先生は、
本当に、天晴れ!な、格好良い先生でした。
 
楽しいお話と「だんごの歌」を、本当にありがとうございました。
 
記事 片岡峰子(起業家育成塾)
 
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「若いときに、恰好悪い経験を沢山した人ほど、
                        恰好よい大人になる。」

本当にそう思います。自分の創業当時は格好悪いことばかりで、
今思い出しても冷や汗が出ます。
格好つけていても、わかる人には見抜かれますし、人のせいに
したり言い訳をしても、責任からは逃げられません。
      
まだまだ格好悪い自分ですが、人に喜んでもらえる仕事を成して、
格好悪い人生を堂々と歩いていきたい。
そんな気持ちにさせられたひとときでした。
杉浦社長、本当にありがとうございました。
   
起業家育成塾 三潴 克彦 (みつま かつひこ)
     

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