Fred Herschのソロピアノ。ライブ作品。
繊細にして豪快。計算が無い、読めない展開。
しかし曲からは大きく離れている訳ではない。
きれいにまとめようとかミスなく弾こうとか、そういう考えが無いんではないかと。
上手くまとめるかフリーに行くかという2択が存在しない、中間を泳ぐ本当にありのままの演奏。
そのありのままが闇に突っ走ること無く、荒れることも無く美しいのだから、Herschの音楽観が美しいのだと感じる。美しいピアノソロを演奏しようというんではなく、演奏したいと思った音楽が美しかっという。
そうした姿勢で紡いでいく音の流れの中で、奇跡的に一緒に潜って行ける瞬間がある。フレーズがいいとか間がいいとかそういうもんじゃなく、一緒に追っていく流れの中で気付ける所が。
この部分が出てくるとこの音楽はスケールが既にひとまわりふたまわり違う所にいるんじゃないかと、上手いけれど浅い即興では辿り着けない次元のものだと思ってしまう。
おそらく弾いている本人は演奏中のその瞬間瞬間は登り詰めていけていることを確信しているが、終わってみると何をやったか憶えていない、ただ確信だけが残っているという感覚ではないかと思います。本当の歌です。Herschは他の作品にもこういう瞬間が多々あります(これは無い人は全く無いです)。
美旋律ながらも片手間では気付き切れない懐の深い音楽ですが、「7」は最高に粋で体がウズウズしてくる、楽しいテイクです。そして「8」で興奮を安堵に変えて終わらせてくれるのがまた粋です。
お好み度:●●●●● ●●●●○
1.Lark
2.Nearness Of You
3.Evidence
4.At The Close Of The Day
5.O Grande Amor
6.Peacocks
7.Don't Blame Me
8.Valentine
Fred Hersch-piano
2006年作品
私がHerschの日本でのライブに行ったときに演奏されて曲の中に"Lark"があり,あまりの美しさにびっくりしてしまい,同曲が入っているこのアルバムをすぐにゲットした思い出があります。
Herschのソロって大体どれもが素敵な出来ですが,その中でも本作は結構好きな方に入ります。
それにしても,なんでVenusなのやら。ジャケは真っ当にして欲しいものです。
Larkは格好良すぎですね。ピアノのための曲ですよね。しかしおかげさまでHerschハマりっぱなしです。新しい世界が開けたという感じです。
Venusは半分期待もしています。うまくいけば良いなぁ。そういえば初めてHersch音源を所有したのは「memories」という徳間ジャパンのお洒落系ソロピアノオムニバスでした。当時はKenny Barron目当てだったので最近気付いたのですが、改めて聴いてみたらいつもの感じではありました。こういう感じになるんじゃないかなどと思っています。
TBありがとうございます。
Ki-maさんもハーシュ・ファンですか。
ハーシュいいですよね。でも意外に
彼を聴いたことない人は多いです、僕のまわりにも。
一度彼を聴くとけっこうハマりますよね。
ki-maさんがおっしゃる通り、新たなジャズ・ピアノの世界が開けるような快感がありますね。
ビーナス盤は楽しみでです。僕らを落胆させないような素晴らし作品であることを願うばかりです。
ということでこちらからもTBさせていただきます。では、また。
コメントありがとうございます。herschは以前から知ってはいましたが特に気に止めていませんでした。ちゃんと向き合うことで開けた世界です。健康面が心配ですが今後最もチェックしていきたい人になりました。