高橋靖子の「千駄ヶ谷スタイリスト日記」

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ミック・ロンソンの命日

2005-05-12 | Weblog
4月29日は、ミック・ロンソンの命日。初めて観たデヴィッド・ボウイのコンサート(ロンドン、ロイヤル・フェスティバル・ホール、72年)で、ミック・ロンソン、デヴィッド・ボウイ、ルー・リードの3人がステージに並んだ時はひっくり返るほど素敵だった。
どの曲だったか、思い出せないけど、ステージの中央で、3人そろって前進と後退を繰り返すと、観衆は興奮して声を上げ、私自身もドキドキして立ち上がってしまった。
金髪のミックは膝までの白いソックスをはき、私には現代のモーツアルトのように見えた。

ミックを検索すると、
「デヴィッド・ボウイがもっとも華やかなグラム・ロック・スターだった頃、そばには常にレスポールをかき鳴らす儚げな佇まいの金髪のギタリストがいた」とある。
私の印象では、その頃ミックはピシッと筋肉質で、動作はきびきびしていたから、男性らしい優雅さはあっても、決して儚げではなかった。
身体のラインをぴったり包んだシャツを、第3ボタンぐらいまであけて着たりしていたと思う。
後に、ツアー中のある日、デヴィッドとミックがいっしょに曲作りをしているのを垣間見たことがある。
デヴィッドがソファに寝そべり、ミックは床に腰を下ろして、頭をくっつけるようにして、ふたりでなにやら紙に書き記していた。
その姿は小学生が仲良く宿題を考え合っているような感じだった。
誰かが、「ミックは学校でクラッシックの勉強をしていたから、デヴィッドにとって貴重なブレインなんだ」と言っていた(ような気がする)。

日本のツアーで、私はミックと結構仲良しになり、楽屋には「ミック・ロンソン ラブス ヤッコ」と落書きをされたりしたけど、 残念ながら何のマチガイも起こらなかった。
それどころか、すでにちゃんとあるストーリーが進行していたのかもしれない。
そのとき私といっしょに黒子となってステージ上でデヴィッドの衣装の引き抜きをしたヘアメイクの女性と後に結婚したと聞いている。

写真 (撮影・Yacco) 新幹線で移動中のミック・ロンソン(左)。4月29日は彼の命日(享年46)