『速さ』とは?
「おれ、相当足が速いよ。」
「本当か? じゃあ、50m走のタイムは?」
走る速さを考えるとき、この様に『ある距離を走る時間』で、比較することがあります。
一定の距離を走る時間が短ければ、その人は速く走る『速さ』があると言うことになります。
この様に,『一定の距離を進む時間』で『速さ』を表す方法が、一つ目として考えられます。
運動会などで、50m走や100m走などは、一定の距離を短時間で走った人が速いことが、子供にも体験的に理解できます。
次に、道を歩いていると、車の制限速度の看板を見かけます。
『ここは住宅街 制限速度30km厳守』
無論これは、正確に書くと『時速30km厳守』ということです。
時速30kmとは、『1時間に30km進む速さ』と言うことになります。
この様に『一定の時間に進む距離』で、『速さ』を表す方法が二つ目としてあります。
小学校で学習する速さの問題では、特殊な問題を除き『一定の距離を進む時間』で速さを表す問題より(こちらの問題の方が難しい)、『一定の時間に進む距離』で速さを表すことが一般的です。
一面のヒガンバナ
ここで、一定の時間とは、どの程度の時間でしょうか。
1年・1日・1時間・1分・1秒…、こうした時間の長さを『単位時間』と呼びます。
したがって『速さ』は『単位時間当たりに進んだ道のりで表す』と言っても良いでしょう。
光の速さは、一般的には秒速30万km…(1秒間に30万km進む速さ)を用います。
時には遠く離れた銀河までの距離を表すのに1光年という単位(1光年とは、光が1年かけて進む距離)を用います。
東海道新幹線の最高速度は、時速270km…(1時間に270km進む速さ)です。
人の歩く速さは、およそ時速4km~6kmくらいであると言われています。
この様に、日常でも『単位時間当たりに進んだ道のり』で速さを表すのが一般的です。
また、速さの単位の表し方は『時速30km』、『毎時30km』、『30km毎時』、『30km/時』(30km毎時と読む)などがあります。
指定がなければ、いずれの表し方でもかまいません。
問題に単位が指定されている場合は、それに従います。
これも山の帰り道、民家で見かけた白色のヒガンバナ(園芸品種)
『速さの単位』の変換
『踏切で待っている私の前を、時速90kmの電車が0.0025時間で通過しました。』
何か、変ですね。これは、使っている単位の尺度がおかしいからです。
まず、時間の単位です。
0.0025時間のように、数字を小数を使って表すことは、日常では避けるべきです。
時間を分に直す…0.0025×60=0.15分
分を秒に直す…0.15×60=9秒
この様に、時間の単位変換を行い、できるだけ『整数値』で表します。
『時間の単位変換』については、私のブログ2008.04.09の『小学生の算数の学習…どうして子供は時間の単位が苦手なのか(1)』と2008. 04.14『その(2)』 を参照して下さい。
『踏切で待っている私の前を、時速90kmの電車が9秒で通過しました。』
これなら、どのくらいの時間待たされたか、感覚的に理解できるはずです。
次に、もしこの条件から、私がこの列車の長さを知りたくなったら、どの様に考えたらよいのでしょう。
『時速90kmの速さで、9時間で進む道のり』ならば、意味が分かるのですが、
『時速90kmの速さで、9秒で進む道のり』では、速さの単位と時間の単位がそろっていないために、分かりづらくなっています。
そこで『速さの単位』を、この問題解決に『適した単位に変換』する必要があります。
私の前を通り過ぎる電車の通過時間は9秒ですから、速さの単位も秒速とすると上手く計算できます。
これは何か?…ミョウガの花
いつも食べている部分は、ミョウガの『花穂』と呼ばれる部分
芽ではないことを、私は初めて知りました
…山の帰り道・農家のおばあさんから教わり、そして頂いたミョウガのお土産
『90km/時を秒速に直す』
1時間は60分ですから、1分間に進む道のりを求めるには、
90÷60=1.5(km/分)
1.5km=1.5×1000=1500m→1500m/分
次に分速を秒速に直すには、1分は60秒ですから、
1500÷60=25(m/秒)となります。
実際の計算では、一本式で表し、分数計算します。
『1時間は3600秒』を覚えておいて、それを用いなさいと指導している方もいますが、分数計算では、かえって約分しづらいので、あまり良い教え方ではありません。
90÷60÷60×1000=(90×1000)/(60×60)
として、秒速とするとともに、長さの単位もkmからmに、1本の式で表し、約分して求めます。(注:ブログの分数表記のため、カッコが付いています。)
『踏切で待っている私の前を、秒速25mの電車が9秒で通過しました。』
どうですか、これなら式をたてて列車の長さを求めることが出来そうですね。
求める列車の長さは、
25×9=225(m)です。…このような問題を通過算と呼んでいます。
速さに関する特珠算は、順を追ってこのブログでその教え方と要点を伝授しましょう。
キバナコスモスが秋を彩る
速さの単位変換の練習
(1)時速54km=分速( )km=秒速( )m
まず、時速を分速に直します。
1時間は、60分ですので、時速とは60分で進む距離で速さを表しています。
したがって、分速に直すには、時速を60で割ります。
54÷60=0.9(km/分)
長さの単位の指定がなければ、kmをmに直して、
0.9×1000=900(m/分)
普段の計算では、どちらを使っても結構です。
次に、分速を秒速に直します。
分速とは、60秒で進む距離で速さを表していると考えても良いわけですから、
秒速に直すためには、分速を60で割ります。
0.9×1000÷60=15(m/秒)となります。
(2)秒速18m=分速( )m=時速( )km
今度は、単位が大きくなる場合です。
秒速を分速に直すためには、分速とは1分間すなわち60秒で進む距離で速さを表していることを考えます。
すると、秒速の60倍が分速ですので、
18×60=1080(m/分)…求める分速
次に同様に分速を時速に直すには、分速を60倍して求めます。
1080×60÷1000=64.8(km/時)…求める時速
この様に、速さとは何か。
速さの単位をどの様に変換するのか。
速さの問題を解く前に、必ず理解させておく必要があります。
次回『小学生の算数の学習』では、『速さの公式』の教え方について考えます。
興味ある方は、以下のブログを参考にご覧下さい。
『速さの問題(2)』…『速さの公式』の教え方
『速さの問題(3)』…『速さ・道のり・時間』の相関関係の教え方
マッキーの教室:公立小学校で行った「速さの導入授業」
マッキーの学習指導法:速さのコメントに回答
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子どもを持つ親の立場の者です。
かけ算の順序についてです。
http://blog.goo.ne.jp/hps_tokyo/e/da0ebdcf67d59feaf04391460b1b4f4a
の記事を読ませていただきましたところ、マッキー様は
>「かけ算の順序に拘る教え方をする人、及びそれを擁護する人」という
>対象を示す言い回しは正確ではなく、「考え方を式にしっかりと表すこ
>とを指導する教師」と「答えが出せれば式の表記はどうでも良いと考え
>る教師」との対比で表すべきで、「かけ算の順序」という焦点をぼかし
>た言い回しは避けなければなりません。
と仰っておられますので、
「考え方を式にしっかりと表す → 正しい順序の式を書く」
というお考えなのだと理解しました。
さて、ここで質問がございます。
【質問】
2008年10月06日の記事の中で、
「1.5㎞ を m に直す」という換算を
1.5×1000=1500
としておられます。
ここを、児童が
1000×1.5=1500
と書いたら、そちらの教室では バツ 又は
「考え方を式にしっかりと表わせていない」
と判断されるのでしょうか?
よろしくお願いします。