「マッキーのつれづれ日記」

進学教室の主宰が、豊富な経験を基に、教育や受験必勝法を伝授。また、時事問題・趣味の山登り・美術鑑賞などについて綴る。

マッキーの学習指導法:速さのコメントに回答

2012年09月14日 | 学習指導法



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今日は、最近私のブログに頂いたコメントの内容について回答し、合わせそこで取り上げた問題の別解について考えてみたいと思います。

コメントを寄せていただいた方を特定するような内容は、割愛してあります。


【コメントの内容】

2008.10.22のページを見ていました。


そこで、山に登る話が出てきました。
「ふもとから山頂まで歩き、行きは1.5km、帰りは4.5kmで歩くと、4時間かかった。さて、ふもとから山頂までの道のりは?」と言う例題の中に

1.5:4.5=1:3 と言う話から、比例配分すると言う話に飛んでいきました。 もっと分かりやすい方法はないのでしょうか??

いきなり 1.5×(3/4)=3 とされると思考が止まります。

(マッキー注釈:上の式の1.5は、ブログでは4となっていて、この方の写し違いと考えられます。)


(秋の七草の一つ、ハギの花が咲き始めました。)


【コメントの対象となったブログの内容部分】

マッキーが教える小学生の算数…『速さの問題(3)』…『速さ・道のり・時間』の相関関係の教え方 

(以下の文章は、2008年10月22日学習指導法の一部抜粋です。詳しくは、上の該当ブログをクリックして御覧ください。)

比例・反比例の関係を理解して解く…上級編

次のステップは、上の例で説明した2量関係の『正比例』と『反比例』を利用して、『速さの文章題を解くのに、比を用いて式を立てる』ことです。

この考え方を理解すると、問題を比較的簡単に解くことができます。

小学生にとっては上級編になりますが、無論中学受験生にとっては、確実に理解し使いこなせるようにしておかなければなりません。

問題を解く手段として、2量関係を理解した上で比を用いると、計算量が少なくてすむ問題が多いことが分かります。

では、2量関係を使って、速さの問題を解く例を、一つ挙げましょう。

『ある山のふもとから山の頂上まで往復しました。往きは時速1.5kmで登り、帰りは同じ道を時速4.5kmで下ったら、往復4時間かかりました。このときこの山のふもとから頂上までの道のりを求めなさい。』

この問題は、往路と復路は同じ道を通ったので、『道のり一定』です。

『道のりが一定』の時、『速さと時間の関係』はどうなっているでしょうか。

私はこの2量関係が出ると、生徒によくこんな質問をします。

「君たちの家から教室まで、道のりが一定だけれども、今日は2倍の速さで急いで教室に来たので、時間が2倍かかり遅れました…こんなことあるかな?」

「2倍の速さできたなら、時間は半分の1/2になるんじゃないのかな。」

生徒はこうして、体験的に『道のり一定の時、速さと時間は反比例する』ことを理解します。

問題に戻りましょう。

往きと帰りの速さの比は、1.5:4.5=1:3です。

すると、往きと帰りの時間の比は、速さの比の逆比の、3:1となります。

なぜなら、道のり一定の時、速さと時間は反比例するからです。

そこで、往復にかかった時間の4時間を、往きと帰りの時間の比の3:1で、比例配分します。

往きにかかった時間は、4×(3/4)=3(時間)

よって、『道のりは、速さかける時間だから』と言いながら、

求める道のりは、1.5×3=4.5(km)と出すことができます。

ではこの問題を、この2量関係を使わずに求めてみて下さい。
この解き方よりは、難しくなることが分かるでしょう。

ここでは、割合の表し方の一つである比について詳しく説明することはせずに、またの機会に譲っておきたいと思います。


(まだまだ暑い日々が続いています。お元気ですか?)


【コメントに対する回答】
 
この問題は、最初に指摘した通り、一般小6生にとっては、比例・反比例の知識と、比例式・比例配分・連比などの比の活用法の習熟度が低いので、解くことは難しい上級編に属す問題です。

繰り返しますが、小学校においては、こうした内容及び言葉を使わないので、多くの教師さえも「比例式」…3:4=□:8といったような式と、「比例の式」…比例の関係式Y=a×XまたはY/X=aという式を表す言葉の区別
さえつかない状態で、ましてや公立小学生にとって比を使って解くこのような問題は一般的とはいえません。

しかし、中学受験を前提とすると、この問題は速さの問題を比を使って解く基本的な問題と言えます。

すなわち、「道のり一定の時、速さと時間は反比例する」という考え方を、文章題の解法において使いこなせることが大切です。

この問題の最も重要なポイントは、道のりが一定ならば、速さの比が1:3の時、その比の逆比3:1が時間の比となるという事です。

したがって、この時間の比3:1で、かかった時間4時間を比例配分すれば、簡単に往きと帰りの時間が計算されます。

計算されるというより、力のある生徒なら、この問題を読んでいる過程で、暗算で速さの比1:3,そして時間の比3:1を出し、出てきた比の和3+1=4の数値が、与えらた条件の4時間と数値が一致しているので、計算せずに問題を読み終わる頃には、答えが出ている事も特異な例ではないでしょう。

しかし、一般の小学生では、比例と反比例はおよそ理解していても、その性質を活用することが難しく、また比例配分というキーワードを理解していませんので、中学受験を目指す生徒以外は、取り上げる算数の問題ではありません。

この問題は、あくまでも中学受験生を対象とし、比を使って速さの問題を解く必修問題として取り上げ解説したことを、理解して頂きたいと思います。


では次に、この問題を解くもっと分かりやすい方法はないのか?と言う質問に、お答えしたいと思います。

前回のブログでも紹介したように、速さの表し方は、単位時間あたりに進む道のりで表すことができます。

この方法以外に、一定の道のりを進むのにかかる時間で速さを表すこともできます。

例えば100m競争で、ボブ・ヘイズが東京オリンピックで10秒06で優勝し、カール・ルイスが9秒86で走り、今年ウサイン・ボルトがロンドンオリンピックで9秒63で優勝したといったように、一定の道のりを進むのにかかる時間で速さを比較することができます。

この速さの表し方である、一定の道のりを進むのにかかる時間という考え方を、今回の問題の解法に利用します。

時速1.5kmの速さは、1時間に1.5km進む速さのことで、このことから1km進むのにかかる時間は、60÷1.5=40(分)と表すことができます。

1kmの登りにかかる時間が40分であることが分かります。

同様に、時速4.5kmの速さは、1時間に4.5km進む速さですので、1kmを進む時間は60÷4.5=40/3(分)となります。

1kmの下りにかかる時間が、40/3=13と1/3(分)になることが計算できます。

この条件から、この山の登山路1kmを往復(登って下りてくる)するのにかかる時間は、40分+40/3(分)=160/3(分)となります。

このことから、求めた1kmを往復する時間160/3(分)の2倍の時間がかかれば、2kmを往復すしたことになりますし、時間が3倍かかれば、3kmを往復したことになります。

この問題では、往復にかかった時間が4時間=240分となっていますので、その240分が、1kmを往復するのに必要な時間である160/3(分)の何倍かを知れば、何kmを往復したかを知ることができます。

よって求める答えは、240÷160/3=4.5(km)と出すことができます。

この別解は、比例・反比例の考え方と、比例式・比例配分・連比といった比の活用法を学習していない一般の小学生に対して教える方法です。

ちょっとした工夫をして解答する方法を示しましたが、それでも中学受験の対象でない生徒にとっては、興味深い問題ではありますが、難問の部類に入る問題です。

算数・数学は、学習を深めれば深めるほどより簡単な解き方が見つかるもので、そういった意味では、比を使わない今回の解き方のほうが、随分と途中式も多く複雑となります。

ですから、かなり学習が進んだ受験生で、この別解の方法で解くことを知っていても、比を使った時のように、暗算で簡単に出すといったことが出来ないのがこの解き方です。

それでも、比の利用というレベルの高い考え方を使わない方法として、こうした解き方の工夫を指導すれば、比較的理解しやすい解き方(計算はたいへん)と言えます。


さて、このコメントを寄せて頂いたおなじ方から、「計算方法や解き方などを見ていて、途中で花の写真などが入っていると、集中力が途切れてしまいます」と言うアドバイスを頂きました。

ただ、このブログの仕様も、私の「つれづれ日記」の綴り方であり、たとえ私のブログが教育・教科の範疇の内容であっても、日々の私の暮らしがちょっぴり挿入されることをご理解いただき、これからもご覧頂きたいと念願しています。

今回のコメントに、正しく回答できたかは不明ですが、ぜひ疑問があればこの方のように遠慮なくコメントを頂ければ、できるだけそれに応えたいと思いますので、よろしくお願いします。


(過ぎゆく今年の夏…ちょっぴり寂しいね。)

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