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皮膚病(尋常性乾癬、アトピー)専門神戸寶元堂薬局ブログ

尋常性乾癬、掌蹠膿疱症、アトピー治療専門の寶元堂薬局です。

漢方薬の名前に隠された意味 ——『補中益気湯』って何?——

2025-07-22 07:19:29 | 出張相談

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漢方薬の名前に隠された意味

——『補中益気湯』って何?——

「漢方薬って、名前が長くて覚えにくい…」
「“湯”って付くけど、お風呂じゃないの?」
そんな声をよく耳にします。確かに、漢方薬の名前は独特で、一見すると難しく感じるかもしれません。しかし、その一つひとつには、処方の目的や働き、体へのアプローチ方法がしっかりと反映されているのです。

今回は、疲労回復や虚弱体質の改善によく使われる『補中益気湯(ほちゅうえっきとう)』という処方を例に、漢方薬の名前に込められた意味をひもといてみましょう。


『補中益気湯』の名前を分解してみる

漢方薬の名前には、以下のような「構造」が隠されています。

補中益気湯(ほちゅうえっきとう)=補 + 中 + 益 + 気 + 湯

それぞれの文字に、処方の目的や役割が込められています。


【補】=「補う」

まず最初の「補」。これは“足りないものを補う”という意味です。漢方では、体のエネルギー源である「気(き)」や、血液の「血(けつ)」、体を潤す「津液(しんえき)」などが不足すると、さまざまな不調が現れると考えます。

『補中益気湯』は特に“気”の不足=「気虚(ききょ)」に着目した処方。つまり、この「補」は、“消耗した体のエネルギーを補う”という意味を持っています。


【中】=「中焦(ちゅうしょう)」=胃腸

次の「中」は、“中焦”を表しています。漢方では、人体を「上焦(肺や心)・中焦(脾胃=胃腸)・下焦(腎や膀胱)」の3つのエリアに分けて考えます。

中焦とは、消化吸収の中心である「脾(ひ)」と「胃(い)」の機能を指し、「補中」は“胃腸の働きを補う”ことを意味します。

つまり『補中益気湯』は、「胃腸の働きを補って、体の基礎を立て直す」処方であることが、この二文字だけでも伝わってきます。


【益気】=「気を増す・高める」

「益」は“増やす・利益を与える”の意。「益気」とは、“気を増やす・元気をつける”という意味になります。

「気」とは、漢方でいう生命活動のエネルギー。体を温め、動かし、外敵から守る力です。気が不足すると、疲れやすく、免疫力が下がり、風邪をひきやすくなります。

つまり「益気」とは、体の根本的な元気=“生命力”を底上げする働きを表現しています。


【湯】=煎じ薬・温めて飲む

最後の「湯」は、漢方薬でよく見られる語尾で、「煎じて温かく飲む薬」を意味します。
『補中益気湯』も、本来は9種類の生薬を煎じて飲む処方ですが、現在ではエキス顆粒として手軽に服用できる製剤も広く使われています。


『補中益気湯』はどんなときに使うの?

ここまで読み解くと、『補中益気湯』という薬は「胃腸を補い、気を増やして体力を回復させる温かい薬」であることが見えてきます。では、実際にはどのような症状に使われるのでしょうか?

以下のような場面でよく用いられます:

  • 食後に疲れて眠くなる

  • 胃腸が弱く、少し食べるとすぐもたれる

  • 慢性的な倦怠感・疲労感がある

  • 風邪をひきやすく、回復に時間がかかる

  • 声に力がなく、話すのも疲れる

  • 産後や術後など、体力が落ちているとき

また、医療現場では、自律神経の乱れによる倦怠感や、夏バテ、起立性調節障害、慢性疲労症候群などにも応用されることがあります。


含まれる代表的な生薬

『補中益気湯』には、以下のような生薬が配合されています:

  • 黄耆(おうぎ)・人参(にんじん):気を補い、元気をつける

  • 白朮(びゃくじゅつ)・甘草(かんぞう):脾胃を補って消化吸収力を高める

  • 当帰(とうき)・陳皮(ちんぴ):血を補い、気血の巡りを助ける

  • 升麻(しょうま)・柴胡(さいこ):気を上に持ち上げる(「内臓下垂」や「脱肛」などに応用)

特に「気を持ち上げる」力があるのがこの処方の特徴で、体が重くてだるいときや、精神的な“落ち込み”にも働きかけます。


漢方薬の名前を知ると、もっと身近になる

『補中益気湯』という名前は、一見難しそうですが、その意味をひもといてみると、
「胃腸を元気にして、体力を回復させる薬」
という、とても実用的な処方であることがわかります。

漢方薬の名前には、使う目的や効能がそのまま込められているものが多く、「意味」を理解することで、あなたに合った薬が見つけやすくなるかもしれません。

疲れが取れない、元気が出ないと感じたら——
“補中益気”の力を借りて、内側から元気を立て直してみてはいかがでしょうか?

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“なんとなくだるい”を放置しない

2025-07-21 06:10:16 | 出張相談

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“なんとなくだるい”を放置しない

——漢方で読み解く「未病(みびょう)」のサイン——

「最近なんとなくだるい」「朝スッキリ起きられない」「疲れが取れにくい」——病院に行くほどではないけれど、日常のパフォーマンスが落ちている。そんな“未病”の状態に心当たりはありませんか?

西洋医学では“検査数値に異常がない”とされても、漢方ではそうした体の「なんとなく不調」こそが重要なサインと考えます。放っておけばやがて本格的な病気に繋がるかもしれない「未病」。漢方的に読み解くと、体はすでにあなたに信号を送っているのかもしれません。

この記事では、「なんとなくだるい」状態に焦点を当て、漢方の視点からその原因と対処法をわかりやすくご紹介します。


「未病」とは何か?——“健康”と“病気”の間にあるグレーゾーン

「未病(みびょう)」という言葉は、古代中国の医書『黄帝内経』にも登場する概念で、「まだ病には至っていないけれど、病気へ向かいつつある状態」と定義されています。

つまり、未病とは「症状はあるけれど、病名はつかない」「検査では異常が出ないが、つらい不調がある」といったグレーゾーンです。
この段階でケアすることで、重い病気を未然に防ぐことができる——それが漢方の基本的な考え方です。


“なんとなくだるい”は、体のバランスが崩れているサイン

漢方では、体の状態を「気・血・水(き・けつ・すい)」の3要素でとらえます。この3つがバランスよく巡っている状態が健康ですが、どれか一つでも滞ったり不足したりすると、不調が現れます。

“なんとなくだるい”と感じるときに多い未病タイプは、以下の3つです:


① 「気虚(ききょ)」タイプ——元気の不足

体を動かすエネルギー源である「気」が足りていない状態です。疲れやすく、朝がつらい、やる気が出ない、食後に眠くなるといった症状が多く見られます。

よくあるサイン:

  • 朝の寝起きが悪い

  • 食後にすぐ眠くなる

  • 立ちくらみしやすい

  • 声が小さくなる

  • 冷房がつらい

対処法:
補気作用のある「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」「六君子湯(りっくんしとう)」などがおすすめです。朝ごはんをしっかり摂り、無理のない範囲で体を動かして気を巡らせましょう。


② 「血虚(けっきょ)」タイプ——体を養う栄養不足

血は体に栄養と潤いを届ける存在。これが不足すると、肌や髪の艶がなくなり、集中力や気力も落ちます。女性に多いタイプで、めまいや動悸、目の疲れが目立つことも。

よくあるサイン:

  • 顔色が青白い

  • めまいや立ちくらみ

  • 不眠や夢が多い

  • 髪が抜けやすい

  • 生理が遅れがち・量が少ない

対処法:
養血効果のある「四物湯(しもつとう)」「帰脾湯(きひとう)」などが適しています。鉄分・たんぱく質を意識した食事(黒ごま・レバー・プルーンなど)も大切です。


③ 「水滞(すいたい)」タイプ——水の巡りが悪い

体内に不要な「水分」が溜まりやすくなるタイプ。むくみや重だるさ、頭のぼんやり感、天気痛などを訴える人が多く、梅雨や夏場に悪化しやすい傾向があります。

よくあるサイン:

  • 体が重く感じる

  • 手足がむくみやすい

  • 頭がすっきりしない

  • 天気が悪いと不調になる

  • 胃もたれしやすい

対処法:
体の余分な水を排出する「五苓散(ごれいさん)」「防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)」などが使われます。はと麦、小豆、とうもろこしのひげなどを使った薬膳茶もおすすめです。


「未病」の段階だからこそ、できることがある

「なんとなく不調」な時期にこそ、体をいたわるチャンスです。多くの人が「まだ病院に行くほどじゃない」とそのままやり過ごしてしまいがちですが、未病を放置すれば、次第に慢性症状や重大な病気へと進行してしまう可能性があります。

漢方の魅力は、こうしたグレーゾーンの不調に対しても丁寧にアプローチできる点です。「気・血・水」のバランスを整えることを日々意識することで、病気に“なりにくい体”を育てていくのが漢方の目的です。


あなたの「なんとなく」を、言葉にしてみよう

「ただ疲れてるだけかも」「年齢のせい」と決めつけてしまわず、自分の体に問いかけてみてください。
・いつから感じるようになった?
・どの時間帯がつらい?
・季節や天候と関係ある?
・食欲や睡眠に変化は?

このような気づきが、体調改善への第一歩です。体の声に耳を傾け、今の自分に合った養生法を見つけていきましょう。


「だるい」は我慢しないでいいサイン

毎日を頑張っているあなたにこそ、「なんとなくだるい」は見逃してほしくないサインです。病気になる前の段階でケアを始めることが、心と体を守る最善の方法です。

漢方や薬膳、生活習慣の見直しを通じて、少しずつ体を整えていきませんか?「未病のうちに整える」——それは、健やかな未来の自分への最高の贈り物かもしれません。

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はと麦・小豆・とうもろこし髭茶で、むくみ知らずの毎日を

2025-07-20 06:06:00 | 出張相談

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はと麦・小豆・とうもろこし髭茶で、むくみ知らずの毎日を

毎朝、鏡を見るたびにまぶたが腫れぼったい。夕方になると靴がきつく感じる。そんな「むくみ」の悩みは、年齢や季節に関係なく、多くの人が抱える日常的なトラブルです。特に梅雨時や夏場の高湿度、またエアコンによる冷えで体内の水分代謝が乱れやすくなるこの季節には、体の中に「余分な水=湿(しつ)」がたまりがち。漢方では、この「湿邪(しつじゃ)」こそが、むくみやだるさの原因と考えられています。

では、そんなむくみ体質とどう向き合えばよいのでしょうか?実は、身近な食材を使った「薬膳茶」が、体の水はけをスムーズにし、すっきりとした体調を保つサポートをしてくれます。今回は、むくみ対策にぴったりの「はと麦・小豆・とうもろこしのひげ茶」をご紹介します。


「水はけのよい体」を目指す漢方的アプローチ

漢方では、体の中の水分は「津液(しんえき)」と呼ばれ、必要な潤いを保つ一方で、余分な水がうまく排出されないと「湿」となり、体の重だるさやむくみを引き起こします。この「湿」を外に出す力のことを「利水(りすい)」といい、利水の働きを高める食材は日常的に取り入れやすいのが特徴です。

とくに、はと麦・小豆・とうもろこしのひげは、いずれもこの「利水作用」が優れており、昔からむくみ予防の代表格として親しまれてきました。利尿剤のように一気に水分を出すのではなく、体に必要な水分は保ちつつ、余分な水だけを静かに排出してくれるのが、これら自然素材の魅力です。


むくみ解消の三大素材の力

1.はと麦(ヨクイニン)
はと麦は中国最古の薬物書『神農本草経』にも登場する歴史ある食材で、「脾(ひ)」=胃腸を整えて水の巡りを良くする作用があります。皮膚の調子を整える効果も知られており、「美肌の薬」としても人気。はと麦を続けて摂ることで、内側から余分な水分や老廃物の排出を促し、体の巡りがスムーズになります。

2.小豆(あずき)
小豆には利尿作用があり、体内の余分な水分を排出してくれる力があります。甘味がありながら、実は「涼性」の性質を持ち、夏の暑さによるほてりやのぼせにもおすすめです。食物繊維が豊富で腸内環境を整える働きもあり、「むくみ+便秘」のセットに悩む方にもぴったりです。

3.とうもろこしのひげ(南蛮毛)
とうもろこしの実ではなく、ヒゲ(絹糸)部分こそが薬膳素材!この「南蛮毛(なんばんもう)」には利尿・消炎作用があり、むくみだけでなく尿トラブルや膀胱炎のケアにも用いられます。ほんのり甘い香りで、単体でも美味しいお茶になりますが、他の素材と組み合わせることで相乗効果が期待できます。


はと麦・小豆・とうもろこし髭のブレンド茶レシピ

【材料】(約5日分)
・はと麦……30g
・小豆……20g
・とうもろこしのひげ……5g(乾燥)

【作り方】
① すべての材料を軽く洗う。
② 水1Lを沸かし、材料を加えて弱火で20〜30分煮出す。
③ 茶こしでこして、温かいうちにいただく(冷やしてもOK)。

※保存は冷蔵で2〜3日を目安に。作り置きしても便利です。

ほんのり香ばしくて、自然な甘みがあるため、無理なく毎日飲み続けられます。お砂糖は不要ですが、甘みが欲しい場合は棗(なつめ)や陳皮(みかんの皮)を加えると、より薬膳的に整います。


日々の習慣に取り入れて、体のめぐりを整える

このお茶は、飲み続けることで体内の水の循環を整え、むくみ体質の改善に役立ちます。もちろん、これだけで全てのむくみが消えるわけではありませんが、塩分の多い食事や運動不足、冷えなど、日常の「むくみ要因」を見直すきっかけにもなります。

朝の白湯代わりに、仕事中の水分補給に、また夜のリラックスタイムに。自分のライフスタイルに合わせて「利水茶」を取り入れてみましょう。体が軽くなると、気分も前向きに、足取りも軽くなります。


自然の力で、余分な“湿”とサヨナラを

むくみは、体からの小さなサインです。「ただの水太り」と軽視せず、体のバランスを整えるチャンスと捉えてみてください。はと麦・小豆・とうもろこしのひげという、自然がくれたシンプルな素材たちを味方に、今日から“むくみ知らず”の毎日をはじめましょう。

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150年前と今──「夜が涼しかった時代」と「眠れぬ熱帯夜」のはざまで

2025-07-18 08:16:13 | 出張相談

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150年前と今──「夜が涼しかった時代」と「眠れぬ熱帯夜」のはざまで

~気候の変化がもたらす、現代人の夏の“隠れ不調”~

かつて、日本の夏は「暑い」とはいえ、夜になれば心地よい風が吹き、戸を開ければ涼しさが感じられるものでした。エアコンも扇風機もない時代、自然の風とともに眠ることができた──そんな生活が、ごく普通に営まれていたのです。けれども、現代の夏はどうでしょうか。真夜中でも30℃近い気温が続き、クーラーなしでは眠れない。こうした夜の暑さ=「最低気温の上昇」が、私たちの身体にじわじわとダメージを与えていることをご存じでしょうか。

ここでは、150年前と現代の「8月の最低気温」に注目し、その違いと、そこから生まれる心身の不調について、漢方の視点からも紐解いていきます。


◆ 150年前の夏──夜は「涼しかった」

気象庁が東京で観測を開始したのは1875年(明治8年)ですが、この時期の8月の平均最低気温は約21〜22℃前後。日中は30℃近くまで上がることもありましたが、夜になると涼しい空気が流れ、体温が自然と下がりやすい環境が整っていました。

当時の人々は、今のような冷房機器を持っていません。打ち水やすだれ、風通しの良い木造家屋、川や井戸の水などを活用しながら、工夫して暑さをしのいでいました。それが可能だったのは、「夜にしっかりと涼しくなる」という気候のリズムがあったからです。

一方、現在の夏はどうでしょうか。


◆ 現代の夏──「熱帯夜」が当たり前に

2020年代の東京では、8月の平均最低気温は25〜27℃前後。つまり、150年前よりも夜間の気温が約4〜6℃高くなっているのです。特に近年は「熱帯夜」(最低気温が25℃以上)が10日以上続くことも珍しくなく、さらに28℃を下回らない「超熱帯夜」や、深夜でも30℃近い「真夜中熱中症」も話題になっています。

この背景には、地球温暖化による気温全体の上昇に加え、都市部に特有の「ヒートアイランド現象」があります。アスファルト、ビル、人工照明などによって昼間に吸収された熱が、夜になっても放出され続け、空気が冷えないのです。とくに東京や大阪などの大都市では、クーラーの排熱や車のエンジン熱が加わり、夜間の気温低下が極端に鈍くなっています。


◆ 夜が涼しくないと、人は“回復”できない

人の体は、夜に深い眠りにつくことで体温を下げ、心身の疲労を回復させます。ところが、夜間の気温が高すぎると、体温がうまく下がらず、自律神経が緊張したままとなり、睡眠の質が低下します。その結果、

  • 寝つきが悪い

  • 夜中に何度も目が覚める

  • 朝起きても疲れが取れていない

  • 日中にイライラ、だるさ、集中力の低下

といった“隠れ夏バテ”のような症状が現れるのです。

また、寝ている間にも汗をかき続けることで、身体から「気(エネルギー)」や「津液(水分)」が奪われ、のどの渇き、皮膚の乾燥、頭痛、動悸など、漢方でいう「気陰両虚(きいんりょうきょ)」の状態にもつながります。


◆ 昔と今の暮らし──同じ「夏」でも全く違う

150年前の日本では、夏といえば「昼は暑く、夜は涼しい」季節でした。夜の間にしっかりと体力を回復させることができ、農作業や町仕事に備えることができました。ところが今は、「昼も夜も暑い」が当たり前の気候。体がクールダウンするタイミングが失われたまま、翌日を迎えてしまうのです。

つまり、同じ「35℃の昼間」でも、夜が21℃まで下がるか、27℃のままかで、身体への負担はまったく違うということです。


◆ 今こそ「夜の養生」がカギに

漢方では、1日のうち「陰(休息・回復)」を養うべき時間帯は夜とされます。夜にしっかり眠れてこそ、日中の「陽(活動・気)」が生きる。けれども今の日本では、その陰がうまく補えない環境にあるのです。

そんな時、漢方では以下のような処方や生活の工夫が役立ちます。

  • 生脈散(しょうみゃくさん):大量の発汗により「気」と「津液」を同時に失っている人に。夏バテ、動悸、口の渇きに。

  • 酸棗仁湯(さんそうにんとう):寝苦しさによる不眠、夢が多い人に。心を鎮めて眠りを導く。

  • 知母・麦門冬などの「潤す」生薬:陰虚によるのぼせ、寝汗、皮膚のかさつきに。

  • 夜のエアコン設定の工夫:タイマーや除湿モードを使い、体温が下がりすぎないよう調整。

  • 冷たい食事・飲料の摂りすぎに注意:胃腸を弱らせると、より“気”の回復が遅れる。


◆ 結びに──昔に戻ることはできないけれど

150年前の夏は、自然とともに眠り、回復することができる季節でした。現代の夏は、便利さと引き換えに、「休息の質」を奪われています。私たちがすべきは、「昔はこうだった」と嘆くことではなく、「今の気候に合った休み方・過ごし方」を意識することです。

暑さは日中だけでなく、夜にも静かに体を蝕んでいます。だからこそ、「夜に体を休められる工夫」が、現代人の夏を乗り切るためのカギとなるのです。

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子どものイライラ・多動性障害に漢方という選択

2025-07-17 07:04:32 | 出張相談

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子どものイライラ・多動性障害に漢方という選択

〜漢方で育てる“落ち着き”と“安心”〜

「うちの子、最近すぐ怒るんです」「落ち着きがなくて、保育園でも注意されてしまって…」。そんな相談をよく耳にします。現代の子どもたちは、目まぐるしい情報社会の中で、知らず知らずにストレスをため込んでいます。その結果、イライラ、かんしゃく、不眠、夜泣き、注意散漫といった行動が目立つことがあります。これらは「多動性障害(ADHD)」や「情緒不安定」と診断されることもありますが、そういった症状に対して漢方薬がやさしくアプローチできる場合があります。

その代表格が「抑肝散加半夏陳皮湯(よくかんさんかはんげちんぴとう)」という処方です。

●なぜ今、子どもに「抑肝散」なのか?

抑肝散は、もともと江戸時代に小児の夜泣きやひきつけ、癇(かん)の強さに使われてきた歴史ある処方です。名前の通り「肝を抑える=イライラや怒りを鎮める」働きを持ち、気分が高ぶりやすい子にぴったりの漢方です。子どもだけでなく、認知症の周辺症状(怒りっぽさ、不安、妄想)に使われることからも、その精神的な安定作用がうかがえます。

現代に生きる子どもたちは、テレビ、スマホ、塾、習い事など、外的な刺激が非常に多い生活環境にいます。本来なら十分に「気」を養うべき幼少期に、過剰な刺激やプレッシャーによって“気が上がって”しまい、落ち着きがなくなるのです。

抑肝散は、この高ぶった「肝気(かんき)」をやさしく鎮め、心と神経を落ち着かせてくれるのです。

●さらに効果を高める「加味」=半夏と陳皮

本来の「抑肝散」は、7つの生薬から成り立っています(釣藤鈎・当帰・川芎・白朮・茯苓・甘草・柴胡)。ここに「半夏」と「陳皮」という消化器系を整える生薬を加えたのが「抑肝散加半夏陳皮湯」です。

この加味は非常に重要です。というのも、子どもに多いのが「気の上衝(気が上にのぼりやすい)+胃腸の未熟さ」。つまり、「イライラしやすく」「食欲が安定しない」「吐き気や便秘を起こしやすい」といった体質です。

半夏(はんげ)は吐き気を抑え、気の逆上を防ぐ働きがあります。陳皮(ちんぴ)はみかんの皮から作られた生薬で、気の流れをスムーズにして胃腸の動きを整えます。この二つが加わることで、心と体の両方から「落ち着き」をサポートできるのです。

●ADHD(注意欠陥・多動性障害)との関係

西洋医学ではADHDは神経伝達物質の不均衡とされ、向精神薬(メチルフェニデートなど)が処方されることが多いです。しかし、副作用や長期使用への不安、服薬への抵抗感から、漢方的なアプローチを希望されるご家庭も少なくありません。

もちろん、漢方薬はADHDを「治す」わけではありませんが、「落ち着き」「集中力」「睡眠の質」といった生活の質を整えることで、日々の育児や学習を助ける可能性があります。

たとえば、

  • イライラしやすい

  • 寝つきが悪い

  • かんしゃくを起こしやすい

  • 食が細い

  • 多動で集中が続かない

といった特徴がある場合、「抑肝散加半夏陳皮湯」は非常にマッチしやすい処方といえます。

●実際の使用例(あくまで一例)

ある5歳の男の子。保育園で友達とよくケンカし、先生から「気性が荒い」と言われていたそうです。夜もなかなか寝つけず、親御さんも疲弊していました。問診の結果、典型的な「気の上衝」+「脾胃虚弱(胃腸の弱さ)」タイプと判断し、抑肝散加半夏陳皮湯を服用。2週間ほどで夜の寝つきが良くなり、イライラも少しずつ減ってきたとのこと。3ヶ月後には、園でも落ち着いて過ごせるようになったそうです。

もちろん個人差があり、すべてのケースに当てはまるわけではありませんが、このような実例は多数報告されています。

●お子さまの服用についての注意点

漢方薬は自然のものでありながら、れっきとした「薬」です。自己判断での服用は避け、できる限り漢方専門家の診断を受けてください。また、味やにおいが苦手な子も多いので、服用法の工夫も大切です。オブラートやゼリーで包んだり、甘めのお湯に溶かしたりして、無理のない形で続けていくことがポイントです。

また、抑肝散は「肝の高ぶり」を抑える薬なので、体質的に「冷えやすい」「疲れやすい」「胃腸が極端に弱い」お子さんには合わない場合もあります。そういった場合は、別の処方(帰脾湯や加味帰脾湯など)が適していることもあります。

●子どもと家族に、安心を届ける漢方の力

イライラしやすい、落ち着きがない――そんな子どもたちを「性格の問題」と片づけるのではなく、「未熟な気の調整機能を支えてあげる」ことが大切です。漢方では、子どもは「臓腑が未発達な存在」と考え、丁寧にバランスを整えていきます。

抑肝散加半夏陳皮湯は、子どもたちが本来もつ穏やかな性質を引き出し、家庭や学校で安心して過ごせる毎日を支える心強い味方となるでしょう。

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その5.心身のバランスを整える

2025-07-16 07:27:04 | 出張相談

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その5.心身のバランスを整える

猛暑は体だけでなく、心にも負担をかけがち。「イライラ」「不眠」「集中力低下」には、心を穏やかにする養生が必要です。

1.ストレスケア漢方

  • 抑肝散(よくかんさん):肝の熱を冷まし、イライラや不安を緩和。

  • 甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう):神経過敏や寝つきの悪さを改善。

2.呼吸法・リラックス

  • 深呼吸:丹田に息を入れ、ゆっくり吐く。気の巡りを整える。

  • アロマ:ミントやレモングラスなど、清涼感ある香りで気分をリフレッシュ。

3.五感養生

  • 視覚:青もみじ、水面、風鈴の映像で涼感を演出。

  • 聴覚:小川のせせらぎ、風鈴の音。

  • 触覚:ひんやりシート、タオル(首・手首・足首に巻く)。

  • 味覚:梅干し、五味子茶、薬膳スープ。

  • 嗅覚:ミント、シトラス系のアロマオイル。

     
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その4.生活リズム&環境を整える

2025-07-15 08:11:13 | 出張相談

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その4.生活リズム&環境を整える

漢方的な養生は日々の生活リズムと環境調整も含みます。以下のポイントを心がけ、暑さの負担を軽減しましょう。

1.睡眠と休息

  • 昼寝の活用:15~20分程度の短い昼寝で気を補充。

  • 入眠儀式:就寝前に五味子茶や酸棗仁湯(さんそうにんとう)などを飲み、心を鎮める。

2.クーラーの使い方

  • 直接風を浴びない:足元や背中にあて、首・手首・足首を冷やしすぎない。

  • 温度差を5℃以内に:室内外の温度差が大きいと自律神経に負担。

3.軽い運動

  • 気の巡り促進:早朝や夕方の散歩、太極拳など。

  • 汗をかく習慣:ぬるめの入浴で軽く発汗し、汗腺を鍛える。

     
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その3.漢方薬で「むくみ・水太り」を解消

2025-07-14 07:59:05 | 出張相談

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その3.漢方薬で「むくみ・水太り」を解消

猛暑でむくみや水太りに悩むなら、漢方処方の力を借りましょう。「表湿(体表近くの余分な水分)」を取り除きつつ、気を補い巡りを整える処方が効果的です。

1.防己黄耆湯(ぼういおうぎとう)

  • 主な働き:防已の利水作用でむくみを取り、黄耆の補気作用で代謝機能をサポート。

  • 構成生薬:防已・黄耆・朮・沢瀉・防風・甘草

  • 適応:下半身のむくみ、だるさ、手足の冷えのぼせ、胃腸虚弱。

2.五苓散(ごれいさん)

  • 主な働き:利水去湿で頭痛、吐き気、下痢、むくみを緩和。

  • 構成生薬:沢瀉・猪苓・茯苓・桂皮・白朮

  • 適応:むくみ、汗をかいても尿が少ない、頭重感、悪心。

3.実践のコツ

  1. まずは2~3日、五苓散を服用して急性のむくみを解消。

  2. 下半身中心の慢性的なむくみには、防己黄耆湯を1~2週間続ける。

  3. 両方の使い分けや併用は漢方専門家に相談を。

     
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    漢方専門寶元堂薬局楽天市場店 開局致しました。 漢方薬1日分〜販売しております。お気軽にお買い求めいただけるようになっています。 まだまだ商品登録中ですが、 宜しかったら是非、覗いてみてください。

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猛暑を盛りきるためにその2

2025-07-13 07:54:30 | 出張相談

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その2.「食べる」ことで体を整える

暑さで食欲が落ちると、消化機能が低下し、さらに津液や気を生み出せなくなります。そこで、夏でも無理なく食べられる「薬膳素材」と、漢方処方を組み合わせ、内側から体を整えましょう。

1.夏におすすめの薬膳素材

食材 作用 取り入れ方
はと麦 利水(むくみ解消)、肌荒れ改善 はと麦ご飯、はと麦入りお粥
冬瓜 利水、暑熱をさます 冬瓜スープ、煮物
緑豆 解毒、利水 緑豆スープ(砂糖少なめ)
とうもろこしのひげ 利尿、むくみ解消 ひげ茶
紅棗(なつめ) 補気、安神 なつめ茶、デザート

2.食べる漢方処方例

  • 補中益気湯(ほちゅうえっきとう):脾気を補い、胃腸の働きを高める。夏バテ予防に。

  • 五苓散(ごれいさん):利水・去湿を促し、むくみや頭痛を改善。

  • 平胃散(へいいさん):飲食の冷えや胃もたれに。消化不良を解消。

薬膳素材と合わせて、煎じ薬や市販のエキスを朝夕に取り入れることで、食事だけでは補いきれない部分をカバーできます。

3.調理のポイント

  • スープ・お粥ベース:水分を多く含む調理法で消化負担を軽く。

  • 香味野菜の活用:生姜、ネギ、紫蘇などで風味をプラスし、食欲増進。

  • 薄味・塩分控えめ:塩分過多はむくみを助長。ナトリウム・カリウムのバランスが大切。

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酷暑を乗り切るためのポイントその1

2025-07-12 07:47:06 | 出張相談

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その1.「水分補給」を漢方的に考える

猛暑期、最も基本となるのが「水分補給」です。しかし、ただ大量に水やスポーツドリンクを飲むだけでは、体内の“気”や“津液(しんえき)=体内の潤い成分”は十分に補えません。漢方では、脱水症状や熱中症の予防には「気」と「津液」の両方を同時に補うことが重要と考えます。

1.「気」と「津液」の役割

  • 気(き):生命エネルギーの源。体を動かす力、体温を保つ力、消化吸収を担う力など、多くの機能に不可欠。

  • 津液(しんえき):体内の水分全般。血液や体液、汗や唾液、潤いとしての皮膚や粘膜を支える。

暑さで大量に汗をかくと、まず「津液」が失われ、その次いで「気」が消耗します。津液がなければ体の冷却や関節の潤滑が滞り、気がなくなると倦怠感、立ちくらみ、消化不良などを招きます。

2.おすすめ漢方茶「五味子茶」

五つの味を併せ持つ“五味子(ごみし)”は、甘・酸・苦・辛・鹹(しおからい)の五味をそれぞれ「気を補う」「津液を止める」「熱を冷ます」「気を巡らせる」「老廃物を排出する」作用に結びつけ、総合的な補給を可能にします。【五味子茶の淹れ方】

  1. 乾燥五味子の実をティースプーン山盛り1杯(約5g)程度、ポットに入れる。

  2. 熱湯250mlを注ぎ、10分ほど蒸らす。

  3. そのまま温かく飲むか、冷まして冷蔵庫で冷やしても◎。
    ※甘味が欲しい場合は氷砂糖やはちみつ少量を加える。

3.五味子茶で得られる効果

  • 津液の補給:有機酸やペクチン質が水分保持を助け、粘膜や肌を守る。

  • 気の補充:消化器(脾)の働きを整え、エネルギー源を生み出す。

  • ミネラル補給:カリウムやマグネシウムなどが含まれ、筋肉のけいれん予防にも。

  • 熱冷まし:苦味が体内の余分な熱を取り除き、ほてりや動悸を和らげる。

4.1日の取り入れ方

  • 朝起き抜け:冷房などで夜間の冷えが残りがちな朝、五味子茶で軽く潤い補給。

  • 午前の休憩:特に屋外作業や運動の前後に1杯。

  • 昼食後:塩分や水分と併せて“気”の補給を。

  • 夕方の疲れ対策:はちみつ入りでリラックス効果も。

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