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皮膚病(尋常性乾癬、アトピー)専門神戸寶元堂薬局ブログ

尋常性乾癬、掌蹠膿疱症、アトピー治療専門の寶元堂薬局です。

猛暑を盛りきるためにその2

2025-07-13 07:54:30 | 出張相談

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その2.「食べる」ことで体を整える

暑さで食欲が落ちると、消化機能が低下し、さらに津液や気を生み出せなくなります。そこで、夏でも無理なく食べられる「薬膳素材」と、漢方処方を組み合わせ、内側から体を整えましょう。

1.夏におすすめの薬膳素材

食材 作用 取り入れ方
はと麦 利水(むくみ解消)、肌荒れ改善 はと麦ご飯、はと麦入りお粥
冬瓜 利水、暑熱をさます 冬瓜スープ、煮物
緑豆 解毒、利水 緑豆スープ(砂糖少なめ)
とうもろこしのひげ 利尿、むくみ解消 ひげ茶
紅棗(なつめ) 補気、安神 なつめ茶、デザート

2.食べる漢方処方例

  • 補中益気湯(ほちゅうえっきとう):脾気を補い、胃腸の働きを高める。夏バテ予防に。

  • 五苓散(ごれいさん):利水・去湿を促し、むくみや頭痛を改善。

  • 平胃散(へいいさん):飲食の冷えや胃もたれに。消化不良を解消。

薬膳素材と合わせて、煎じ薬や市販のエキスを朝夕に取り入れることで、食事だけでは補いきれない部分をカバーできます。

3.調理のポイント

  • スープ・お粥ベース:水分を多く含む調理法で消化負担を軽く。

  • 香味野菜の活用:生姜、ネギ、紫蘇などで風味をプラスし、食欲増進。

  • 薄味・塩分控えめ:塩分過多はむくみを助長。ナトリウム・カリウムのバランスが大切。

    漢方専門寶元堂薬局楽天市場店

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酷暑を乗り切るためのポイントその1

2025-07-12 07:47:06 | 出張相談

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その1.「水分補給」を漢方的に考える

猛暑期、最も基本となるのが「水分補給」です。しかし、ただ大量に水やスポーツドリンクを飲むだけでは、体内の“気”や“津液(しんえき)=体内の潤い成分”は十分に補えません。漢方では、脱水症状や熱中症の予防には「気」と「津液」の両方を同時に補うことが重要と考えます。

1.「気」と「津液」の役割

  • 気(き):生命エネルギーの源。体を動かす力、体温を保つ力、消化吸収を担う力など、多くの機能に不可欠。

  • 津液(しんえき):体内の水分全般。血液や体液、汗や唾液、潤いとしての皮膚や粘膜を支える。

暑さで大量に汗をかくと、まず「津液」が失われ、その次いで「気」が消耗します。津液がなければ体の冷却や関節の潤滑が滞り、気がなくなると倦怠感、立ちくらみ、消化不良などを招きます。

2.おすすめ漢方茶「五味子茶」

五つの味を併せ持つ“五味子(ごみし)”は、甘・酸・苦・辛・鹹(しおからい)の五味をそれぞれ「気を補う」「津液を止める」「熱を冷ます」「気を巡らせる」「老廃物を排出する」作用に結びつけ、総合的な補給を可能にします。【五味子茶の淹れ方】

  1. 乾燥五味子の実をティースプーン山盛り1杯(約5g)程度、ポットに入れる。

  2. 熱湯250mlを注ぎ、10分ほど蒸らす。

  3. そのまま温かく飲むか、冷まして冷蔵庫で冷やしても◎。
    ※甘味が欲しい場合は氷砂糖やはちみつ少量を加える。

3.五味子茶で得られる効果

  • 津液の補給:有機酸やペクチン質が水分保持を助け、粘膜や肌を守る。

  • 気の補充:消化器(脾)の働きを整え、エネルギー源を生み出す。

  • ミネラル補給:カリウムやマグネシウムなどが含まれ、筋肉のけいれん予防にも。

  • 熱冷まし:苦味が体内の余分な熱を取り除き、ほてりや動悸を和らげる。

4.1日の取り入れ方

  • 朝起き抜け:冷房などで夜間の冷えが残りがちな朝、五味子茶で軽く潤い補給。

  • 午前の休憩:特に屋外作業や運動の前後に1杯。

  • 昼食後:塩分や水分と併せて“気”の補給を。

  • 夕方の疲れ対策:はちみつ入りでリラックス効果も。

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暑さと乾燥で失われた「気」と「津液」を同時にチャージできる“五味子茶(ごみしちゃ)”

2025-07-11 04:34:00 | 出張相談

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梅雨が明け、本格的な夏の暑さがやってくると、つい「塩分補給をしっかり!」と意識しがちですが、実はそれだけでは熱中症予防には不十分です。漢方では、体を潤す「津液(しんえき)」と、生命エネルギーである「気(き)」を同時に補うことが重要とされます。そこでおすすめなのが、暑さと乾燥で失われた「気」と「津液」を同時にチャージできる“五味子茶(ごみしちゃ)”です。

五味子はその名のとおり、甘・酸・苦・辛・鹹(しおからい)の五つの味をもつベリー状の生薬で、百薬の長とも呼ばれます。酸味は津液を止める作用、甘味は気を補う作用、苦味は体内の余分な熱をさます作用、辛味は気を巡らせる作用、鹹味は老廃物を排出する作用に結びついていると漢方理論では考えられます。これらの作用が合わさることで、汗で失われた水分を補いながら、身体を巡るエネルギーを生み出し、全身に行き渡らせる働きが期待できるのです。

まず「気」の補充について。夏の強い紫外線と蒸し暑さは、エネルギーを消耗させ、疲労感やだるさを招きます。五味子に含まれるリグナン類や有機酸は、消化器の働きを整え、脾(消化吸収をつかさどる臓)の機能を高めることで「気」を生み出す源をサポートします。同時に、ほてりや動悸が気になるときには、その苦味が熱をさまし、穏やかに心身を落ち着かせる働きがあります。

一方、五味子に含まれる有機酸やペクチン質は、体内の水分保持を助け、脱水から肌や粘膜を守る役割を果たします。また、マグネシウムやカリウムなどのミネラルもバランスよく含むため、ただの塩分補給では難しいミネラルの補填が可能です。汗とともに流れやすいカリウムが補われることで、筋肉のけいれんやだるさを緩和しやすくなります。

では具体的な取り入れ方を見ていきましょう。まず、薬局や通販で手に入る五味子の実をティーポットに大さじ1杯ほど入れ、熱湯を注いで10分ほど蒸らします。色づいたら、そのまま温かく飲んでもよいですし、冷蔵庫で冷やしてアイスティーにしても美味しくいただけます。甘みが足りないと感じる場合は、氷砂糖やハチミツを少量加えると、さらに飲みやすくなり、水分摂取量も自然と増やせます。

1日に2~3杯を目安に、朝の目覚めや昼間の涼まないとき、就寝前のリラックスタイムなど、こまめに飲むことで、熱中症予防のベースがつくられます。特に屋外での作業やスポーツ、旅行などで汗をかく前後には、五味子茶で“先回り”して補給しておくと安心です。

注意点としては、五味子は胃酸過多の人には刺激が強く感じられる場合があるため、胃が弱い方は少量から試してください。また、鮮度の落ちた実は発酵して風味が落ちることがあるため、購入後は密封容器で湿気を避け、なるべく早めに使い切るよう心がけてください。妊娠中や持病で薬を服用中の方は、漢方医や薬剤師に相談の上、取り入れることをおすすめします。

近年の猛暑は、単純な塩分・水分補給だけでは追いつかないことが多く、漢方的な視点で「気」と「津液」の両方を補うアプローチが注目されています。五味子茶は、そのままの形で手軽に取り入れられる健康茶として、忙しい現代人の夏バテ・熱中症対策にぴったりの一杯です。甘酸っぱい香りとまろやかな後味で、日常的に楽しみながら体調を整え、暑い夏を元気に乗り切りましょう。

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水太り、肥満に「防己黄耆湯(ぼういおうぎとう)」

2025-07-10 10:23:34 | 出張相談

梅雨が明け、本格的な暑さとともに「むくみ」や「水太り」を感じる方が増えます。気温や湿度が高いと、体内の水分がうまくめぐらず皮下や手足にたまってしまい、だるさや重だるい感覚、さらには体重増加に悩まされることも。そんなときに頼りになるのが、漢方の「防己黄耆湯(ぼういおうぎとう)」です。

防己黄耆湯は、身体の表面近くにたまった余分な水分(表湿)を取り除きながら、下半身を中心にめぐりを整える処方。主役の防已(ぼうい)は、利水・去湿(むくみをとる)作用に優れ、黄耆(おうぎ)は気を補ってめぐりを改善します。この組み合わせが、体を温めることなく“体の外側”にたまった不要な水を掃き出し、かつ気力をアップして代謝を促すポイントです。

まず、防已はサトイモ科のつる植物の根から採れ、古くから消化器や泌尿器まわりのむくみ除去に使われてきました。体に必要な水分は残しつつ、余分なものを尿として出すことで、すっきり感をもたらします。一方の黄耆は、補気薬として代表的。夏場に疲れやすい気虚(エネルギー不足)の状態を改善し、胃腸の働きを底上げします。胃腸がしっかり動かないと余分な水分や老廃物をきちんと排泄できず、むくみやすくなるため、黄耆の補気作用は相性抜群です。

この処方にはさらに、朮(じゅつ)・沢瀉(たくしゃ)・防風(ぼうふう)・甘草(かんぞう)も含まれ、いずれも利水や補気をサポート。朮は脾(消化器系)のはたらきを助けて水分調節を促し、沢瀉は下半身のむくみ改善に寄与。防風は外邪を追い払い、冷えや風通しの悪さを解消。甘草は処方全体を調和し、体への負担を和らげます。

実際の服用シーンを想像してみましょう。朝の目覚めにふくらはぎが重だるく、日中は足首や手がぱんぱん。そんなときに防己黄耆湯を朝夕に分けて服用すると、数日でトイレが快調になり、気づけばむくみが軽減。さらに、疲れやすかった体がすっきり動きやすくなり、家事や散歩が楽しくなる方も多いです。もちろん、即効性には個人差がありますが、継続することで基礎的な水巡り力が高まりやすくなります。

漢方的には「水気の停滞」がむくみや体重増加を招くと考えますので、日頃の食事も水はけを意識すると効果的。白湯を小まめに飲む、塩分のとりすぎを控える、そばやとうもろこし、黒豆といった利水食材をメニューに加えると、防己黄耆湯の作用がサポートされます。また、入浴は熱すぎない38~40度程度のぬるめ湯に、首や手首・足首を中心にじんわり温めるのがおすすめ。血行が促進され、むくみの解消を後押しします。

ただし、防己黄耆湯は身体を温めずに水を動かす処方のため、体内に余分な熱がある人(のぼせやほてりが強い人)や、元来から体力が強い方には処方が合わない場合があります。また、妊娠中の方や極度に汗をかきやすい体質の方、元気がありすぎると感じる方も、ほかの漢方が適していることがありますので、専門家とご相談を。市販の漢方薬を試す場合も、説明書をよく読み、用法・用量を守り安心して服用してください。

防己黄耆湯は、むくみを繰り返す「水太り型」の肥満予防にも役立つ漢方です。夏の暑さで体内が乱れがちなときこそ、漢方の知恵で自然な排水&補気ケアを取り入れて、軽やかな毎日を手に入れましょう。冬に向けての体調づくりにもつながるので、まずは1~2週間を目安に続けてみてください。身体がじんわりクリアになり、見た目も気分もすっきり整います。

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夏の疲れを癒す「食べ物の力」

2025-07-09 07:35:38 | 出張相談

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夏の疲れを癒す「食べ物の力」

―食で整える、夏のからだと気力―

暑さが続く夏、気がつけば「なんとなくだるい」「疲れが抜けない」「食欲がわかない」といった体調の乱れに悩まされる方も多いのではないでしょうか。
それもそのはず――夏は体がエネルギーを消耗しやすく、暑さによって「気(エネルギー)」と「津液(体の潤い)」が失われやすい季節です。

そんなときは、薬に頼る前に、まずは毎日の食事でからだを立て直すことが基本です。今回は、夏の疲れに効果的な食べ物を漢方・薬膳の視点から紹介します。


■ 夏の疲れの正体は?

漢方では、夏の疲れの主な原因を以下のように捉えています。

● 気虚(ききょ)

…暑さや汗で「気(エネルギー)」が消耗され、だるさ・食欲不振・倦怠感が現れる状態

● 陰虚(いんきょ)

…汗をかきすぎて「津液(潤い)」が不足し、喉の渇き・寝汗・のぼせ・口の乾きなどが出やすい

● 脾虚(ひきょ)

…冷たい物の摂りすぎや消化力の低下で、胃腸の働きが弱まり、食欲不振や下痢、むくみに

つまり、気と潤い、胃腸の力を取り戻すことが、夏の疲れを解消するカギなのです。


■ 夏の疲れにおすすめの食材

◆ 1. 鶏むね肉・ささみ(補気・滋養)

低脂肪・高タンパクで消化がよく、気を補ってくれる定番の「補気食材」。
鶏むね肉に含まれるイミダペプチドは、疲労回復にも効果的とされています。

→ 蒸し鶏、冷やし中華、薬味たっぷりの鶏だしスープなどがおすすめ。


◆ 2. 山芋・長芋(脾を補い、潤す)

漢方でいう“山薬(さんやく)”にあたり、気を補いつつ、胃腸もいたわり、潤いももたらします。消化にもやさしく、夏の疲れやすい胃腸にぴったりです。

→ すりおろしてとろろに、刻んで梅肉和え、みそ汁の具にも◎


◆ 3. はと麦・小豆(むくみ対策)

汗とともに体内の水分バランスが崩れる夏は、むくみやだるさが出やすくなります。
はと麦や小豆は利水作用があり、体の中にたまった“湿(しつ)”を取り除く働きがあります。

→ はと麦ごはん、小豆とかぼちゃのいとこ煮、むくみ対策茶に


◆ 4. とうもろこし(利尿・健脾)

夏が旬のとうもろこしは、胃腸を元気にしつつ、利尿作用もある優れた食材。実はヒゲ(南蛮毛)にも利尿・むくみ改善作用があります。

→ ゆでてそのまま、コーンスープ、ヒゲを乾燥させてお茶にしても◎


◆ 5. 梅干し・酢(酸味で気を引き締める)

酸味は、汗で漏れやすくなった“気”を引き締め、潤いを保つ働きがあります。夏の疲れや食欲不振には、酸味がほどよく効いた食材がおすすめ。

→ 梅しそ冷ややっこ、酢の物、レモンのはちみつ漬けなどで摂取


◆ 6. 冬瓜・きゅうり(体の余分な熱を冷ます)

体にこもった熱を取り、潤いを与えてくれる野菜。冬瓜は胃腸にもやさしく、きゅうりは清熱・利尿作用が強いので、むくみや熱感に適しています。

→ 冬瓜と鶏の煮物、きゅうりとみょうがの和え物などに


◆ 7. 黒ごま・なつめ(気血を補い、滋養)

疲れた体にエネルギーを補う「気血双補」の食材。黒ごまは腎を養い、なつめは胃腸を守りながら、心を落ち着ける効果もあります。

→ 黒ごま豆腐、なつめ入りの薬膳スープ、おかゆのトッピングに


■ 食べ方のポイント

  1. 冷やしすぎないこと
     冷たい物は胃腸を冷やし、消化機能を弱めてしまいます。夏でも常温や温かい料理を意識しましょう。

  2. 香味野菜を活用する
     しそ、みょうが、生姜、ねぎなどは気を巡らせ、胃腸の働きを助けてくれます。

  3. 1日3食+水分補給をこまめに
     夏の疲労回復には、こまめな栄養補給が鍵。無理にたくさん食べなくても、少量を回数分けて食べると胃腸にもやさしいです。


■夏こそ「養生ごはん」で体を整える

夏の不調は、ただの「気のせい」ではありません。
暑さ、汗、冷房、湿気――それらが少しずつ体のバランスを崩し、知らぬ間に“夏疲れ”を引き起こします。

そんなときこそ、毎日の食事を見直すことが最良のケアになります。
体の中に熱がこもり、気や潤いが不足している今こそ、「補い、巡らせ、潤す」食材で、やさしく体を整えてみてはいかがでしょうか?

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「体温より高い気温では汗が効かない」 ―“猛暑”を超えた今、知っておきたい危険と対策―

2025-07-08 07:09:27 | 出張相談

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「体温より高い気温では汗が効かない」

―“猛暑”を超えた今、知っておきたい危険と対策―

「今日は体温より暑いですね」
――最近、そんな会話が日常的に聞こえてくるようになりました。
夏の気温が35℃を超えるのは当たり前、40℃前後まで上がる日も珍しくなくなった日本の夏。もはや「暑い」を通り越し、「体にこたえる」という言葉がぴったりです。

実は、この“体温超え”の暑さには、私たちの体温調節システムが機能しなくなるという深刻な問題が潜んでいます。

キーワードは、「汗が効かなくなる」。
今回は、なぜ体温以上の気温が危険なのか、どう対処すればいいのか、漢方の視点も交えて詳しく解説します。


■ 人の体温調節は「汗」で決まる

人間の体は、体温が上がりすぎないように「汗をかいて、蒸発させる」ことで体温を調整しています。
このとき、皮膚表面の汗が蒸発する際に熱が奪われる「気化熱」が、体温を下げてくれるのです。

しかし――この仕組みは、「空気中の温度と湿度」に大きく左右されます。


■ 体温より暑いと、汗は“蒸発しない”

たとえば、気温が36℃のとき、体温が同じくらいであれば、汗はゆっくり蒸発し、体温を少し下げてくれます。

ですが、気温が**38℃、39℃、さらには40℃**になると、空気中に熱がたくさんあるため、汗が蒸発しにくくなるのです。つまり、体が汗をかいても、

  • 蒸発できず →

  • 熱が逃げず →

  • 体温が上がり続ける →

  • どんどん汗をかいて体液も失う

という“悪循環”に陥ります。
この状態では、汗をかけばかくほど脱水し、体温が下がらないという最悪のループが起きてしまいます。


■ 気づかないうちに“内熱”がこもる危険性

特に怖いのは、「汗をかいているから大丈夫」と思い込んでしまうこと。
体温が下がらず、**内臓に熱がこもる「深部体温の上昇」**が進むと、次のような症状が出てきます:

  • ぼーっとする、意識が薄れる

  • 吐き気、めまい

  • 脈が速くなる、顔が真っ赤

  • 急に汗が出なくなる(重症化のサイン)

これは、熱中症の中でも「熱射病」と呼ばれる重篤な状態に近づいている可能性があり、命に関わる緊急事態です。


■ 漢方の視点:「清熱」「養陰」「益気」がカギ

漢方では、体温以上の暑さで起こる不調を「暑邪(しょじゃ)」による影響と捉えます。

この暑邪が体に入ると、

  • 気(き):体のエネルギーを消耗し

  • **津液(しんえき):潤い(水分)**を奪い

  • さらには内臓に熱がこもる

という状態に。まさに現代の猛暑による体調不良そのものです。

これに対応する漢方の考え方は大きく3つ:

① 清熱(せいねつ):余分な熱を冷ます

→ 白虎加人参湯、竜胆瀉肝湯など

② 養陰(よういん):失われた潤いを補う

→ 麦門冬湯、生脈散など

③ 益気(えっき):消耗した気を補う

→ 補中益気湯、清暑益気湯など

なかでも「生脈散」や「清暑益気湯」は、発汗による脱水と疲労に対して、**気と津液を同時に補う“夏の回復薬”**として重宝されています。


■ 体温超えの日に実践したい対策

漢方薬だけでなく、日常の中で取り入れられる対策も多数あります。

● 無理な外出は避ける

とくに気温が35℃を超える日は、熱がこもりやすい午後の外出は最小限に。

● 冷房は我慢しない

エアコンを避けることが美徳と思われがちですが、体温より高い気温下では冷房こそ命を守る道具です。

● 水分+塩分補給をこまめに

汗が蒸発しにくい日こそ、脱水が急速に進みます。こまめに「水だけでなく、塩分」も補うこと。

● 熱をこもらせない服装・素材選び

通気性のいい綿や麻素材を選び、日傘や帽子で直射日光を避けましょう。

● 清熱作用のある食材を意識

スイカ、きゅうり、緑豆、冬瓜、トマト、しそ、ミントなどは体の熱を優しく冷ましてくれます。


■ 「汗をかけば安心」は間違い

「汗をかいてるから、ちゃんと熱を出せてる」
――その思い込みが、命取りになる時代になってきました。

体温より高い外気の中では、汗が蒸発しない=体温が下がらない=体力をどんどん消耗するという悪循環に陥ります。

そんなときこそ、クーラー、水分、そして気と潤いを補う漢方の力を借りながら、「汗に頼らない体温管理」を意識していきましょう。

今の夏は、すでに“異常”が日常です。
「体の声」と「気温の数字」、どちらも正しく受け止めて、賢く乗り切りましょう。

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炎暑のイライラ・キレやすさは「肝火上炎」かも?

2025-07-07 06:22:14 | 出張相談

炎暑のイライラ・キレやすさは「肝火上炎」かも?

―夏の情緒不安定と漢方ケア―

夏になると、気温が高いだけでなく、人の“気”も高ぶりやすくなります。
「ちょっとしたことでイライラする」「怒りっぽくなった」「家族に当たってしまう」――そんな“情緒の乱れ”を感じたことはありませんか?

実はこれは、夏の気候と体のエネルギーの関係が大きく関係しているのです。


■ 気温と“情緒”の関係性

近年の夏は異常な暑さが続き、日中は40℃近くになることも珍しくありません。こうした外気の極端な高温は、体だけでなく心にもストレスを与えます。

暑さにより体温が上がり、自律神経が乱れると、気分の浮き沈みや情緒不安定、キレやすさ、不眠、焦燥感などが起こりやすくなります。これは単なる気のせいではなく、体の中の“火”のエネルギーが過剰になっている状態と考えることができます。


■ 漢方の視点:「肝火上炎(かんかじょうえん)」とは?

漢方では、夏のイライラや怒りっぽさは「肝火上炎(かんかじょうえん)」という状態で説明されます。

「肝」は、西洋医学の肝臓とは異なり、気血の流れや情緒のコントロール、自律神経の働きを司る臓腑。
「火」は過剰なエネルギーや熱を指し、「肝火が上にのぼる」と書いて「肝火上炎」。つまり、感情が熱くなりすぎてコントロールが効かなくなる状態です。

この状態では、以下のような症状が現れやすくなります。

  • イライラしやすい・怒りっぽい

  • 顔が赤くなる・目が充血する

  • 口が苦い・口臭が気になる

  • 頭痛や耳鳴り・不眠

  • ため息・緊張・不安感

夏は「陽気」が盛んになる季節ですが、それが過剰になると、体内で火が暴れ出し、心にも影響を及ぼします。これが、夏の“情緒の乱れ”の正体です。


■ 「抑肝散(よくかんさん)」で気の高ぶりをなだめる

このような“肝のたかぶり”には、**「抑肝散(よくかんさん)」**という処方が効果を発揮します。

もともとは「夜泣き・かんしゃく」の子どものための薬として有名でしたが、近年は大人のストレスや神経過敏、自律神経の不調にも広く使われています。

【抑肝散が適する状態】

  • 興奮しやすい

  • 落ち着かない・集中できない

  • 眠りが浅く、夢を多く見る

  • 不安・緊張・怒りが入り混じる

抑肝散は、肝の「気」を鎮めることで、神経の過敏さをゆるやかに落ち着かせてくれる処方です。


■ 「竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)」で熱を冷ます

もしイライラが激しく、体の熱っぽさや炎症をともなう場合は、**「竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)」**が適応となります。

この処方は、「火をしっかり冷ます」ことを得意とする清熱剤で、特に体内の下焦(膀胱や肝胆)にこもった熱を排出する力があります。

【竜胆瀉肝湯が適する状態】

  • 怒りっぽく、口が苦い

  • 顔が赤く、目が充血しやすい

  • 口臭・のどの渇き

  • 尿が濃くて少ない、排尿時の違和感

  • ニキビ・湿疹などの炎症体質

つまり、抑肝散が「精神的なたかぶり」を整えるのに対し、竜胆瀉肝湯は「身体にたまった熱」を冷ます働きをします。


■ 夏の“火”をコントロールする暮らしの工夫

漢方薬だけでなく、日常生活の中で「肝火」を穏やかに保つ工夫も大切です。

🍃おすすめの食養生

  • 苦味・酸味のある食材(セロリ、ゴーヤ、しそ、レモン、梅干しなど)は、肝の働きを整えます

  • 香りのある食材(ミント、菊花、ジャスミンなど)で気の流れをスムーズに

  • 冷たいものの摂りすぎ、辛いもの・アルコールは肝火を悪化させやすいので控えめに

🌿日常のポイント

  • 寝不足は「火」を助長するため、十分な睡眠を

  • こもった熱を逃がすには、早朝や夕方の軽い散歩がおすすめ

  • 深呼吸、アロマ、瞑想などで心を静める時間を持つことも効果的です


■ イライラは「気のせい」ではない

「自分が怒りっぽくなっただけかな?」
「家族が最近やたらとピリピリしてる……」
それ、夏の“肝火”のせいかもしれません。

漢方では、心と体、季節と気の巡りが密接に関係していると考えます。特に夏は“陽”が最も強まり、火のエネルギーがあふれる季節。それにより「肝火上炎」が起きやすくなるのです。

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夏の脱力感に――生脈散(しょうみゃくさん)とは

2025-07-06 06:16:40 | 出張相談

夏の脱力感に――生脈散(しょうみゃくさん)とは

「汗をかいてぐったり」に効く漢方の知恵

夏になると、こんなお悩みはありませんか?

  • 暑さで汗をかいたあと、体がだるい

  • めまいや立ちくらみがする

  • 喉が渇くのに、水を飲んでもスッキリしない

  • 心臓がドキドキして不安になる

  • 夜、寝汗が多くて疲れが取れない

これらの症状は、夏の暑さで「気(き)」と「津液(しんえき:体の潤い)」を一緒に失ってしまった状態――いわば**“夏の消耗症状”**です。

このようなときに役立つのが、「生脈散(しょうみゃくさん)」という漢方薬です。暑さに負けてぐったりしている体を、内側から立て直してくれる処方で、夏バテ・熱中症後・虚弱体質の方の体力回復にも広く使われてきました。

今回は、生脈散の特徴・効果・使われる場面を、漢方の視点から詳しく解説します。


■ 生脈散の由来と意味

生脈散は、**中国・金元時代(13世紀頃)の名医「李東垣(りとうえん)」**によって考案されたとされる処方で、元々は「気陰両虚(きいんりょうきょ)」――つまり、「エネルギーと潤いの両方が足りない人」のための薬です。

処方名の「生脈」とは、「脈(命のはたらき)を生じる=生命力をよみがえらせる」という意味。
「命の散(ちり)を生き返らせる薬」、そんな願いが込められた名前です。


■ 生脈散の構成生薬と効能

生脈散は、わずか3つの生薬から成る非常にシンプルな処方です。

① 人参(にんじん)

  • 「気」を補い、体力を高める

  • 脾(胃腸)のはたらきを強化し、全身のエネルギーをつくる

② 麦門冬(ばくもんどう)

  • 体の「津液(潤い)」を養う

  • 喉の渇き、乾いた咳、寝汗など「陰虚(いんきょ)」の症状を改善

③ 五味子(ごみし)

  • 五つの味をもつ果実。汗や精気の“漏れ”を防ぐ

  • 心肺を保護し、咳や動悸、寝汗を抑える

この3つが**「補気・養陰・収斂」**というバランスを取りながら働き、気と津液を同時に補い、汗で失われた体力を回復させるのが特徴です。


■ どんなときに使う?

生脈散は、次のような状況でよく使われます。

◆ 夏の脱力感・熱中症後のケアに

汗をかいた後、だるい・喉が乾く・力が入らないという症状にぴったりです。
冷房の中で長時間過ごしていて、外に出た瞬間にフラッとしたときにも有効です。

◆ スポーツ後の回復に

運動後の疲労、めまい、動悸など「消耗しすぎた状態」にも使われます。スポーツドリンク感覚で飲まれることもあります(※医師の指導がある場合)。

◆ 虚弱体質・高齢者・病後の体力回復

長引く風邪や病気の後、または高齢者で体力の消耗が激しい場合にも。寝汗がひどい、少し動くと息切れがする、といった症状に効果的です。

◆ 喉の渇き・乾いた咳

麦門冬と五味子が呼吸器の乾燥にも働くため、喉がイガイガする、乾いた咳が続くといったケースにも応用されます。


■ 西洋医学では補えない「気」と「津液」の回復

西洋医学では、脱水や体力低下に対しては「水分・電解質補給」や点滴が主になりますが、漢方ではそれに加えて**“気(生命力)”や“潤い(陰分)”そのものを補う”**という発想があります。

生脈散は、体の水分とエネルギーを同時に補える、いわば**「漢方の点滴」**のような存在です。
汗をかきすぎて体が空っぽのように感じるとき、生脈散はその空洞にやさしく力を与えてくれる処方なのです。


■ こんな人におすすめ

  • 暑さに弱く、夏は毎年ぐったりする

  • 汗っかきで、すぐに体力を消耗する

  • 夜に寝汗をかいて疲れが取れない

  • 少しの運動で息切れ、めまいがする

  • 水分を摂っても、だるさが解消しない

※ただし、胃腸が極端に弱い人、冷えが強すぎる人、過剰なむくみがある人には合わない場合もあります。使用には専門家の判断が望ましいです。


■ 夏を乗り切る「養生の味方」

夏は、思っている以上に“体の中身”が奪われやすい季節です。
汗をかいて失われるのは水分だけでなく、「気」や「潤い」も一緒。これが、だるさや食欲不振、倦怠感、寝汗、のぼせといった夏特有の不調の原因となります。

生脈散は、そんな「気と津液のダブル消耗状態」に優しく寄り添い、体の中から整えてくれる漢方処方。とくに高齢者や虚弱体質の方、夏バテしやすい体質の方にとっては、夏を元気に乗り越えるための心強い養生薬となるでしょう。

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100年前と今、日本の気温はどう変わったのか

2025-07-04 11:39:28 | 出張相談

100年前と今、日本の気温はどう変わったのか

―気候変動と私たちの暮らし・身体への影響―

かつて日本の夏といえば「暑いけれど、風が通れば涼しい」「日陰に入ればほっとする」そんな印象を持つ方も多かったかもしれません。しかし近年の夏はどうでしょう。梅雨が明けたかと思えば連日の猛暑、35℃以上の“酷暑日”が当たり前、さらには40℃を超える日まで現れるようになりました。

実際に日本の気温は、この100年で大きく変わってきています。気象庁のデータによると、日本の平均気温は約1.3℃上昇しており、都市部ではさらに顕著な上昇が見られます。今回は「100年前と今の日本の気温の違い」について、気象データをもとに振り返りながら、それが暮らしや身体に与える影響についても考えてみましょう。


■ 100年前の日本の夏はどうだった?

今からちょうど100年前、1920年代の東京の8月の平均気温は約25.0℃前後でした。これに対し、2020年代の東京では8月の平均気温が約28.0℃を超えています。つまり、この100年で3℃近くも夏の気温が上昇していることになります。

また、気温35℃以上の“猛暑日”は、100年前はほとんど観測されていませんでした。現在では、毎年のように全国各地で猛暑日が続き、一部では40℃を超える日もあります。日本一の最高気温(41.1℃)は、2018年に埼玉県熊谷市で記録されました。

また、夜になっても気温が下がらない「熱帯夜(最低気温が25℃以上)」の数も大幅に増加。100年前にはほとんどなかったのに対し、今では東京や大阪では夏の3分の1以上が熱帯夜という状態です。


■ 原因は地球温暖化と都市化

この100年間の気温上昇には、大きく2つの原因があるとされています。

1. 地球温暖化(グローバル・ウォーミング)

世界全体の平均気温が産業革命以降で約1.1℃上昇しており、日本も例外ではありません。人間活動による二酸化炭素(CO₂)などの温室効果ガス排出が、地球全体の気温上昇を引き起こしています。

2. ヒートアイランド現象(都市の局地的温暖化)

都市化が進み、アスファルト・コンクリートに囲まれた街は、日中に熱を吸収し、夜になっても熱を放出し続けます。また、エアコンや車の排熱も影響し、都市部は田舎に比べて3〜5℃も高くなることがあるとされています。

この2つの要因が重なった結果、100年前とはまったく違う「日本の夏」が生まれてしまったのです。


■ 暮らしと体への影響は?

● 熱中症のリスクが格段に上昇

気温が1℃上がるごとに、熱中症の発生率は大きく増加するといわれています。高齢者、子ども、持病のある方にとっては命に関わる問題です。

● 睡眠の質が低下

熱帯夜が続くと体温が下がらず、眠りが浅くなります。睡眠の質の低下は、自律神経や免疫力の低下にもつながります。

● 冷房依存と冷え性の悪化

高温の屋外と強冷の屋内を行き来する生活は、冷え・むくみ・胃腸不調など、冷房病の原因にも。特に女性や子どもは影響を受けやすい傾向にあります。


■ 100年前にはなかった夏の“漢方ニーズ”

漢方医学はもともと四季のリズムに合わせて体を整えることを重視していますが、現代の気温の変化により、夏にも“冷え”や“陰虚”の症状が多く見られるようになりました。

たとえば:

  • 生脈散(しょうみゃくさん):汗をかきすぎた後の脱力感・口の渇きに。

  • 補中益気湯(ほちゅうえっきとう):夏バテによる倦怠感、冷房による胃腸機能の低下に。

100年前の夏では想定されなかったような「暑さと冷えの同時進行」や、「内臓の冷えと外側の熱さ」のギャップが、今の私たちの体に起きています。

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冷房で冷えすぎる現代人

2025-07-03 01:22:13 | 出張相談

冷房で冷えすぎる現代人

―“冷え×暑さ”のダブルパンチにご注意を―

年々、夏の気温は上昇し続け、7月ともなれば外の気温が40度を超える日も増えてきました。この「灼熱の屋外」と「極寒の屋内」を行き来する現代人は、想像以上に体のバランスを崩しやすくなっています。

冷房は命を守る大切な手段ですが、その一方で、長時間冷風にさらされたり、極端に室温が下げられた室内で過ごすことにより、頭痛・だるさ・食欲不振・むくみ・生理不順など、さまざまな不調が現れます。

これがいわゆる「冷房病」と呼ばれるもので、漢方では「寒熱錯雑(かんねつさくざつ)」という概念でとらえます。今回は、この「冷え×暑さ」のダブルパンチが引き起こす体の不調と、漢方的なケアについて詳しくお話ししましょう。


■ 冷房病とは? ― 気温差で自律神経が混乱する

「外は猛暑、室内は冷蔵庫のような寒さ」。現代の夏はまさにこの繰り返しです。このような気温差に日々さらされていると、自律神経がフル稼働し、バランスを崩しやすくなります。

自律神経は、交感神経(緊張・活動)と副交感神経(リラックス・休息)の切り替えを担っており、体温調節・血流・消化・ホルモン分泌などあらゆる体の機能に関係しています。
極端な温度差はこのスイッチを混乱させ、次のような症状を招きます。

  • 頭痛・肩こり・倦怠感

  • 消化不良・下痢・便秘

  • 足先やお腹の冷え

  • 月経不順・PMS悪化

  • イライラ・不眠・気分の落ち込み

このように、冷房病は“冷え”だけの問題ではなく、体の内側のバランス(気・血・津液)を乱し、自律神経に大きな負担をかけているのです。


■ 漢方の視点:冷房病=「寒熱錯雑」

漢方では、冷房による不調は単なる「寒邪(かんじゃ=冷え)」ではありません。

夏は「暑邪(しょじゃ)」と呼ばれる強い熱のエネルギーが自然界にあふれていますが、現代人はこの暑邪から逃れるために、冷房という“人工の寒邪”の中で長時間過ごしています。つまり、体の外は熱いのに、内側は冷えているというねじれた状態。これを「寒熱錯雑(かんねつさくざつ)」と表現します。

また、夏は汗をかきやすく、「気」と「津液(体の潤い)」を消耗します。すると、体力や免疫力が落ちやすくなり、冷気に対する防御力も低下してしまうのです。

冷房で体が冷えると、血の巡りが悪くなり、内臓機能も低下。とくに女性は元々“冷えやすい体質”の方が多いため、注意が必要です。


■ 冷房で冷えた体におすすめの漢方薬

● 補中益気湯(ほちゅうえっきとう)

冷房による“だるさ”や“疲れやすさ”、“食欲不振”を感じたとき、もっとも頼りになる処方です。
体の中心(中=脾胃)を補い、気(エネルギー)を補うことで、自律神経や消化機能の乱れを立て直す役割を果たします。

症状の例:

  • 冷房の中で体がだるい、気力が出ない

  • 冷たいものを摂りすぎてお腹が張る・痛む

  • 食欲不振や下痢気味

  • 少し動くだけで息切れする

夏の疲れがたまり、クーラーで内臓が冷えたときに非常に相性のよい処方です。

● 桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)

冷房による“体の深部の冷え”に有効な処方。とくに冷えからくる関節痛・腰痛・こわばりなどに用いられます。

女性の「足元が冷えて眠れない」「クーラーで関節が痛む」といったケースに適応します。

● 真武湯(しんぶとう)

冷えによって水分代謝が滞り、むくみやめまい、下痢を繰り返す場合に使われる漢方薬。内臓を温めて水の巡りを整える力があり、夏の“冷え+水滞(すいたい)”に対応します。


■ 冷え対策の薬膳的セルフケア

冷房が避けられない現代では、「冷えない体をつくる」ことが重要です。以下は、漢方・薬膳的な視点からのセルフケア法です。

● ① 温める食材を意識的に摂る

夏でも「温性」の食材を取り入れることで、冷えを予防できます。

おすすめ食材:

  • 生姜(しょうが)…発汗・胃腸を温める

  • ネギ、ニラ、しそ…冷えを散らし、気血を巡らせる

  • 黒胡椒、シナモン…少量で内臓を温める

  • 山芋、もち米、かぼちゃ…気を補い、脾胃を守る

冷たい麺だけで食事を終えるのではなく、温かいスープや薬味を組み合わせて、**“冷やしすぎない工夫”**をしましょう。

● ② 冷えを防ぐ衣類と生活習慣

  • 室内では腹巻きやレッグウォーマーを活用し、特に「首・腹・足首」は冷やさないようにしましょう。

  • エアコンの設定温度は27~28度が理想。直接風が当たらない工夫も大切です。

  • 入浴はシャワーだけで済ませず、ぬるめのお湯に10〜15分程度浸かって体を芯から温めましょう。

● ③ 「陽気」を補う時間を持つ

漢方では、日光を浴びたり、深呼吸をしたりすることで“陽気(体を温めるエネルギー)”を高めると考えます。
早朝や夕方の涼しい時間に、軽い散歩やストレッチを取り入れて、「気の巡り」を整えましょう。


■ 夏こそ“冷え対策”が必要な理由

「夏なのに冷えるなんておかしい」と思われるかもしれませんが、実は夏は冷えのリスクが非常に高い季節です。体の表面は汗で熱を持っていても、内側は冷えている「外熱内寒」の状態が多く見られます。

とくに胃腸の冷えは、食欲不振や消化不良、下痢・便秘を招き、体力低下の原因になります。冷えに気づかず過ごしてしまうと、秋以降の体調にも悪影響を及ぼします。

夏バテ予防・美肌・免疫力維持のためにも、「クーラーで冷えた体をケアする」意識を持つことが、現代の夏を健やかに乗り切るカギです。

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