一法学生の記録

2014年4月に慶應大学通信部に進んだ法学生の記録である
(更新)2017年4月に神戸大学法科大学院へ進学しました。

情報公開法とマイナンバー法

2015-10-22 19:40:18 | 憲法(J)
 『情報公開法』(岩波新書,1996)を読み進めているが、憲法の体系から言って、マイナンバー法が関与する憲法上の領域はどこにあり、情報公開法が関係している領域はどこにあるのかを、まずは検討しなければならない。

 マイナンバー法の目的は、行政事務の効率化と国民負担の公平性を確保することにあるが、憲法上の問題として言及されるのが自己情報コントロール権という、領域である。自己コントロール権は、自己情報に関するロックのプロパティ(固有権)に相当する。すなわち、ロックのプロパティとは、自己の生命、身体および財物等を自ら自由に処分できる権利であり、憲法13条に規定する諸権利および、個人の尊厳に関係してそうだ。

 一方で、情報公開法は憲法21条が規定する、言論の自由に根拠を持っており、健全な民主主義のシステムを維持するためには、主権者たる国民が判断するために必要な情報が提供されなければならないという、要請に根差した憲法上の権利であると、言えそうだ。いわゆるプライバシーの権利については、個人情報保護法あるいは、個人情報開示請求に見ることができ、情報公開法はあくまでも、公的情報へのアクセスを対象にしている。

 こうしてみると、レポートの課題であるマイナンバー法を検討する材料として、情報公開法の書物を読み進めても、あまり実益が無いのではないかと、思われる。

 以上