天網恢恢疎にして漏らさず

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【映画2024】「ラストマイル」@46作目

2024年08月27日 | 映画感想

「ラストマイル」

 

大ヒットドラマ「アンナチュラル」「MIU404」を手掛けた塚原あゆ子監督と脚本の野木亜紀子氏が再びタッグを組んで、敢えてこの2ドラマと同じ世界線で起こった別事件をモチーフに展開するサスペンス。というフレコミなので当然だけど劇中にチョロチョロとアンナチュラルやMIU404のメンバーがカメオ出演と言うかまあ一応内容に絡んでチョイ役で登場したりします。因みに自分はアンナチュラルは見ていたけどMIU404は未見です。

 

あらすじ

ブラックフライデー前夜の11月、ビッグイベントにより流通業界が繁忙期を迎えようとする中、有名なショッピングサイトから配送された段ボールが爆発する事件が起きる。さらに事件は全国へと拡大し、日本中が混乱に陥る。巨大物流倉庫のセンター長に着任したばかりの舟渡エレナ(満島ひかり)は、チームマネージャーの梨本孔(岡田将生)と共に、未曽有の事態の収拾に追われる。(Yahoo!検索情報から丸パク)


まあ平たく言ってしまえば2つのドラマは全く知らなくても何の問題も無く、むしろ本作があの2タイトルドラマと関連が有るのだと全く知らない(そしてドラマの存在自体を知らない)人が観ると「えれぇ~脇役までウルトラスーパー主役級役者使いまくってて豪華過ぎて吹くわw」レベルなのではなかろうかと。
そして本作の舞台になっているのは巨大(巨悪)ネット通販最大手企業Amazon!そーいえば数年前にAmazon専属契約だったヤマト運輸がAmazonの無茶振りに耐えられなくて専属切ったって話題になってたもんねぇ~って、ヲイヲイ! 劇中にAmazonのアの字も出て来てねーわ勝手に決め付けんなw…という訳で、あくまでも本作は架空のAmazonっぽい外資系ネット通販サイト(だからぁ~)の巨大倉庫が主な舞台。そしてその通販の荷物を運ぶ物流業界の闇が本作の重要なテーマになっていました。

前々から物流業界の根本的人手不足と、即日配達だの翌日配達だの配達時間帯指定だの細か過ぎて対応仕切れない問題とか散々言われていますよね…もうさー翌日配達指定とか時間指定とかやめればいいのにね、それだけでも物流業界随分楽になるんじゃないかと思うんだーだって自分ら子供の頃って宅配便だって郵便物だって出した翌日に必ず届くなんて事なかったよねーいつから「翌日には必ず届く」が当たり前になったんだろう?…と、アマプラ会員のBBAがエラソーに言ってますよーヲイヲイ!(滝汗
いや、あの、確かに自分長らくアマプラ会員なんですが…ソレは買ったもん翌日直ぐ持ってこい!じゃなくて定期購入してるモノがあるのでそれだとアマプラ会員になっておいた方が何かとお便利なので(モゴモゴ)…言い訳多くてスンマソン

軽く脱線気味になりましたが、そんな訳でこれからブラックフライデーセールで1年で一番売上ぶちかましてやりますぜぇー!と息巻いていたAmazonどこぞの通販サイトのお荷物がアトランダムに爆発し始めてさあ大変!コレは偶然?それとも事故?はたまたテロ?みたいなカオスになるというお話なんですが…脚本が良く練れているなぁ~という印象です。本当にこの制作チームは盤石というか信頼関係バッチリでいいバディなんでしょうね。

出演メインキャストが一通り出揃ったトコロで先ず驚いたのが第一容疑者として名前が挙がってきた青年を…中村倫也さんが演じていた事!しかもあの状態で!は?どういう事でしょうか彼が本作に出演するのって公開前からアナウンスされてましたっけ?少なくとも予告編には全く出て来ませんよね?だから自分全く知らなくて中村倫也さんの顔写真が出て来たトコロで「はぁぁぁあ!?マジすかこれー!」って声上げそうになってもうたわ💦
しかも…台詞極端に少ないし動いている彼の姿もほんの数シーンしかないんだけど、とにかくとても重要なキーマンとして登場しています。いやびっくらコキましたw

で、中村倫也さん演じる青年の周囲にいるきな臭い女の影…が、敢えてミスリードするように演出されていてなかなか上手いな、と思いましたよ。何故か彼のデータをコッソリ削除したり誰かと意味深に電話しているシーン等も入れて「コイツ、ただ偶然たまたまこのタイミングで転勤してきたんぢゃねーな」というのをプンプン臭わせて来る辺りあざといw
そして「前職はブラック企業だったんでぇ~」とのほほんしてる岡田将生さん演じる「コウ」が実はホワイトハッカーだったとかいうウルトラ後出しジャンケンみたいな素性の告白、嫌いじゃないですぅ~て言うか岡田将生さんって本当にいい役者さんになったなーってここ数年で強く感じています。今年だと「ゴールド・ボーイ」という映画に出てたの観たけど…もうね、演じる役でまるで違った顔に見えてしまうの…でも悪だろうが正義だろうがとにかく目眩がする程の美形なんだけど!!

爆弾仕掛けのトリックはこの業界に身を置いている人なら割とすんなり「あーこの方法なら出来ちゃうかー」って納得出来るんだろうけど、ド素人のBBAには「ん?は?あー確かにAmazonの出品って企業だったり個人代行みたいなのもあるっちゃーあったか。あの辺りって流通経路当然違うわな…で?」みたいな、しばらく混乱しましたわ💦
返品のシステムとか色々あの業界の裏側も知れてこの部分はまたそれはそれで勉強にもなったし個人的には楽しめましたね。

で、この大事件と併走してあるシングルマザーの家庭の事情だったり、細々と自営の運送業をしている父子(老いた父親に、最近勤めていた会社が倒産して実家に身を寄せるようになった40絡みの息子)の奮闘だったり、Amazonショッピングサイトから散々無茶振りされまくって身も心も擦り切れまくっている運送会社の中間管理職の苦悩だったり、多方向の人間ドラマを細かく挿入してクライマックスで事件の全容が明らかになるのとほぼ同時にこれらのドラマがそれぞれキレイに着地していくという、いやー脚本本当に秀逸でした。

正直、TVドラマのファンの方には自分が肩入れしてるドラマの面子がちょこっと華を添える程度にしか登場しない事に落胆してしまうのかもしれませんね。でも普通にサスペンス+ヒューマンドラマとして本作は非常に良く出来た、邦画らしい繊細な演出の作品だったなーと思いましたね。個人的に満足度の高い作品でした!


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