天網恢恢疎にして漏らさず

映画レビューを中心に(基本ネタバレバレです)スキーやグルメ他、日々どうでもいいような事をダラダラと綴っています。

【映画2023】「聖地には蜘蛛が巣を張る」@26作目

2023年04月27日 | 映画感想
「聖地には蜘蛛が巣を張る」

なんなんだこのタイトルは!?と思ったんだけど、原題は「HOLY SPIDER」(聖なる蜘蛛、または聖地の蜘蛛か?)まあ原題でも意味がよく分からんよなぁ^^;
本作は2000~2001年にイランの宗教都市マシュハドで起こった「連続娼婦殺人事件」が下敷きになっている作品だそうです。そんな事件あったんだ…知らなかったなー

あらすじ
イランの聖地マシュハドで売春婦連続殺人事件が発生する。「街を浄化する」という信念のもと、犯行を重ねる殺人鬼“スパイダー・キラー”に人々は恐怖を抱く一方で、犯人を英雄視する市民も少なからずいた。そんな中、事件を覆い隠そうとする圧力を受けながらも、女性ジャーナリストのラヒミ(ザール・アミール=エブラヒミ)は臆することなく事件を追い始める。ある夜、彼女は家族と暮らす平凡な男の狂気を目の当たりにする。(Yahoo!Movieから丸パク)

タイトルにもある「蜘蛛(SPIDER)」はどうやら娼婦の事を指しているようで、本作の事件概要はほぼほぼ事実と同じらしい。本作の犯人の役名・サイードは実際のこの事件の犯人の名前と同じだそうです。映画ではこの事件を追う女性ジャーナリスト・ラヒミの様子と犯行を繰り返すサイードの様子を交互に見せて行きますが、実際はラヒミに当たる女性ジャーナリストはいなかったもののこの事件を追うジャーナリストは少なからず居たようですし、逮捕後に犯人に直接インタビューをした女性は居たそうです。

という訳で、この手のシリアルキラー物では「誰が犯人なのか」という謎解き系が圧倒的に多いと思うんですが、本作では最初っから犯人が提示されていてその上で女性ジャーナリストがどうアプローチしてこの事件の真相に近付いていくのか…それから逮捕後の犯人と家族と周囲を取り巻く環境だったり被害者家族SIDEの事だったり、そして宗教と政治のパワーバランスや権力者とのコネクションだったり、まあ世間的に思うトコロの「イスラム教国家ってさー」みたいなネガティブな部分もモリモリっと出て来ます。
因みに本作はイランが舞台になっていますが制作は何故かデンマーク+ドイツ+スウェーデン+フランスの合作。イラン入ってないーっていうかイランが入ってる訳ないネタw
多分本作がイランで上映される事はないんだろうなぁーと思います。ちょっと調べてみたらやっぱりイラン国内ではロケの許可出なくてヨルダンで撮影したんだそーです^^;

そもそもイスラム教というと「男尊女卑」のイメージ強いですよね。実際アフガニスタンとかまだまともに女性が学校に通えてないような国もありますし…でもイランはそこまで酷くはないみたいで女性でも結構高学歴な人もいるし社会進出も結構進んでいるらしいんですね。それにしても…街娼の数、多過ぎじゃね?(滝汗)
コーランではキリスト教みたいな「姦淫してはならない」みたいな戒律ってないんですかね?まー言うてもキリスト教の国だって娼婦ジャンジャンいるけどなぁw
…という訳で、聖地を汚す娼婦達を警察が取り締まらないなら俺様が天誅下してやるのぢゃーーー!と立ち上がった連続殺人犯・サイードですが、割とちゃんとしたお家の出みたいでキレイな奥さんと子供も居てフツーのマイホームパパなんですよね。何が彼を殺人に駆り立てたのか?は映画を観ていても今一つワカリマセンでした。

ただ、宗教って怖い~と思ったのはサイードが逮捕されてからですね。
たとえイスラム教の教義的に性売春はよろしくないとされていたとしても、だからと言って16人もの人間を勝手に私刑にするってどう考えても異常じゃないですか。それなのに犯人自身も奥さんも子供もシレッと「無実です!」って言い切ってるもんね。それどころか「よくやった!」「早く保釈しろ!」みたいにまるでサイードを英雄視する輩も少なからずいた模様で、なんか…どんな凶悪犯罪でもイスラムの教義に則って~って絡めれば全部うやむやかよ!みたいな空恐ろしさを感じましたよ。集団心理って怖いわぁ~

大体からしてさ、どうして娼婦だけが殺されなければならないのか、と思いますね。娼婦買ってる男の方は悪くないのかよと。買うヤツがいなきゃ需要と供給の関係で売る事も出来ないんだろうから取り締まるなら買う方も積極的に取り締まらないと娼婦なんて撲滅出来ないよね…と、まあこういう部分もイスラム社会の男尊女卑感が出ますよね。
明らかに「売る女が悪い。買う男に罪はない」って考えが透けて見えるのが頭に来るっつーかね。
このいかにも「男は女から搾取するのが当たり前」みたいな感じが、女性ジャーナリストのラヒミにも向けられるシーンも出て来ます。ラヒミは元居た新聞社?でも上司からセクハラを受けて、それを告発した事で会社をクビになったという経緯が語られているんだけど、それが何故か世間的には(ヤロー達の間では)「淫乱で上司やら片っ端から寝まくって会社にいられなくなって辞めたオンナ」というレッテルが貼られていて「だから誰とでも簡単に寝てくれる」みたいな扱いを受けたりしています。
どこまで行っても世界中この手のセクハラって無くならないんですかねー日本ってまだマシな方なのかな?いやマシとか酷いじゃなくてやったらあかんのよセクハラは💢

という訳で、「これだからイスラム教国家は」みたいな斜め目線になりそーな内容なんですが、イマドキはなんでもかんでも宗教心理に絡めりゃー勝ちでもなさそうですから。
実際映画の最後もとりあえず溜飲下がるとまではいかないものの「まあ、そりゃ流石に…ねえ」って感じで終わってましたし。
個人的にイスラム国家の国って結構興味あって何カ国かは訪れているんですが…現地行くとね、皆んな結構感じいいんだよね~なんだろうこのギャップは💦

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