「PERFECT DAYS」
米アカデミー賞外国語映画賞ノミネートおめでとうございます!
…という訳で、今年のアカデミー賞は豊作ですなぁ!本作以外にも視覚効果賞で「ゴジラ-1.0(マイナスワン)」、そして長編アニメ映画賞に「君たちはどう生きるか」がノミネートされました。各映画関係者の皆様本当に本当におめでとうございます。出来ればオスカー像を手に出来ますように心からお祈り申し上げます。
と、まあそんな感じで、今回ノミニーされた作品の中で唯一本作未見だったんですね…うんずーっと観たいと思って常々上映時間はチェックしてたんだけど、公開初週見逃しちゃうとなかなか追えなくなっちゃうんだよね、だってホラ毎週次々観たい作品が公開されちゃうじゃん?←だからお前言い訳なげーのよ💦
そんなこんなで、今日たまたま旦那が「今日夕飯いらない」って言って仕事行ったから「チャーンス☆」と思ってようやく遅まきながら鑑賞に到った訳ですほんと長々サーセン
あらすじ
東京・渋谷でトイレの清掃員として働く平山(役所広司)は、変化に乏しいながらも充実した日々を送っていた。同じような日々を繰り返すだけのように見えるものの、彼にとっては毎日が新鮮で小さな喜びに満ちている。古本の文庫を読むことと、フィルムカメラで木々を撮影するのが趣味の平山は、いつも小さなカメラを持ち歩いていた。(Yahoo!検索情報から丸パク)
うむ。味わい深い系のヤツですな。
もっとイヤな言い方すると「ちょっと前に流行った【何も起こらない系】の亜種みたいなヤツな」って感じですか←ヲイお前
いやいやいや、この系統って実は凄く難しいと個人的には思ってるんだよ。何も起こらない系って実は何も起こらない訳じゃなくて常に何かは起こってるんだけど、それを何も起こってない風に演出しながらも観客を飽きさせずにスクリーンに釘付けにさせて、更になんかいい物見れたなー♪っていう満足感も与えないといけない訳で。
コレって脚本と演出と演者の力量が相当なレベルで組み合わさってないと成功しない激ムズ案件だと思うんですよね。
まーそんな訳で。
役所広司さんが下手な訳ないじゃんしかも仕事仲間(後輩)のちゃらんぽらんな兄ちゃん役が柄本時生さんだよナニコレもう確変確定なヤツやん!←お前マジ何言ってんの?
役所さん演じる主人公の「平山」は口下手でシャイなキャラだけど、だからと言って決して人を遠ざけている訳ではなくて必要なコミュニケーションはちゃんと取れているし、自分の楽しみも自分で見出していてそれを日々楽しんで「ちゃんと生きている人」なんですよね。
彼が何故都内の公衆トイレの清掃業者に勤めているのか?という理由は劇中で明かされていないので分からないけれど(ただ劇中で妹と相対するシーンがあり、そこで彼が父親と確執があった末の現在の状況だと匂わせるシーンがある)、少なくとも彼は自分の仕事に誇りを持っていて、何なら仕事の中に喜びすら見出しているのがスクリーンを観ていて伝わって来る。キモは「トイレの清掃業者という仕事が誰もやりたがらない誰もが嫌がるド底辺の仕事だ」という共通認識が我々にある事なんだと思います。そういう「見下した気持ち」があるから「なんでわざわざそんな仕事を…」という目で見てしまうんですよね。
「職業に貴賤はない」という言葉はあるものの、誰もが色んな尺度で人の優劣を付ける。
【容姿】【学歴(育成環境)】【職業(収入・資産)】なんて最も分かり易い物差しだと思うし、だからこそ本作の主人公・平山は「誰が見ても羨むような社会の成功者にはとても見えない仕事と環境」という設定になっているんだろうなぁと思いましたね。
彼は決してオーディエンスが「社会の成功者」と呼ぶ人物像には見えない。けれど、では彼は物凄く不幸そうに見えますか?という事なのよね。
人の「幸せの尺度」って何なんだろう、と本作を観ながらずーっと考えていました。よく「親ガチャ」「子ガチャ」みたいに言うけど、確かに何もかも人が羨むような境遇で生まれてくる人間だっているし、またその逆で誰が聞いても「お気の毒ビーム」出まくりな環境で生きている人だっていると思うけど、そのどちらにだって小さな幸福を見つけて日々充実して生きている人がいる一方で、小さな不幸を見つけては自分の不運を呪って腐して生きている人もいる。
その「心の持ちよう」だけは容姿や環境に左右されない、自分だけが獲得出来る才能なんじゃないかな…みたいに思いながらスクリーンを観ていました。
主人公・平山の姪っ子(妹の娘)を演じた役者さんが…中野有紗 (なかのありさ)ちゃんというモデルで女優さんなのかな?まだ17歳のフレッシュな方のようですが、彼女はかなりいいですね!演技がナチュラルで気負っていない感じでとても好感が持てました。これからどんどん露出して行って欲しいですね😊
そして本作チョイ役で色々ビッグネームが…こういう使い方って本作の監督さんがドイツ人だからなのかな?(日本の芸能界に疎いだろうしね)日本人監督だったらビビってこういう采配出来ないんじゃないかなと思うんだよね。例えばだけど石川さゆりさんが小料理屋?スナック?のママやりながら軽ーく歌わせてるのにも仰天したけど他にも名前挙げたらキリがないレベルのラインナップ。でも一番笑ったのは神社で派手な着物着て猫ちゃんと遊んでる研ナオコさんだわ。多分スクリーンに写ったの1.5秒位じゃない?
と、日本人にサービスショットを沢山盛り込みつつ、色々考えさせられる…含蓄深い「一見すると何も起こらない系」を装ったトリッキーな作品でした。
ナルホド…他の選出作品を知らないのですが、昨年に引き続き今年もオスカー像を手に出来るといいですね!精一杯応援したいです✨