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「三つの顔の球場だぜ!」SFジャイアンツの本拠地また改名!?

2006年02月04日 | Baseball/MLB
あるときは「パシフィックベルパーク」、またあるときは「SBCパーク」、そしてまたあるときは「AT&Tパーク」、しかしてその実態は……?。
こういう、片岡千恵蔵の古~い映画を知っている人にしかわからないギャグは別にして、サンフランシスコ・ジャイアンツの本拠地「SBCパーク」が、今季から名称を「AT&Tパーク」に改名する。実に2000年のオープン以来、7年間で3度目の改名である
もっともこの改名はスポンサーの交代ではなく、命名権を持つ電話会社がM&Aによって企業名が変更したのに伴う措置で、球場はあくまでもジャイアンツの私有だし、スポンサーも変わっていないわけだ。

過去、ひとつの球場が名称変更を行なった例は、リグレーフィールド、旧タイガースタジアム(ネヴィンフィールド、ブリッグススタジアム)、コニーマックスタジアム(シャイブバーク)などいくつかあるし、ドジャースタジアムはエンゼルスが共同使用していたときは、「シャベスラヴィンスタジアム」と二つの名前を使い分けていたこともある。しかし最近の改名は、エンロンフィールド→ミニッツメイドパーク、コミスキーパーク→USセルラーフィールドなど、もっぱらネーミングライツの都合によるものである。
命名権がMLBでも導入され、ジャイアンツの元の本拠地だったキャンドルスティックパークが「スリーコムスタジアム」、レッズの前本拠地リヴァーフロントスタジアム(この命名もけっこう安直ではあったが。邦訳すれば「川淵球場」か。レッズも「チェアマンズ」か「キャプテンズ」になってたりして=笑)が「シナジーフィールド」、アナハイムスタジアムが「エジソンインターナショナルフィールド」に変えられていったのは複雑な思いがした。ただ、球場・球団経営にかかる経費が高騰している状況を考えれば、必要悪として受け入れなければならないのも事実なのだが。

ネーミングライツに関しては、むしろ日本で積極的に行なうべきだと思うのだが、自治体が建設・運営にあたっている球場では特に「お役所仕事」の壁があって難しいようだ。ベイスターズのファーム「湘南シーレックス」が本拠地にしている横須賀球場も、球団が球場広告の営業を自らするとまで言っているのに、横須賀市役所が頑として首を縦に振らなかったという。出稿スポンサーについて「サラ金や風俗は困る」などの規定を設けておけばいいのだし、もともと自治体の作る野球場はプロ野球が使用しない限り収入が少なく、減価償却もなかなか終わらないのが実情なのだから、こうした申し出はきちんと受け入れるべきだろう。
プロ野球は12球団の球場広告を含め統一スポンサーを募る別会社を設立し、これに地方球場の広告スポンサー営業も業務に加えてはどうだろうか。MLBは全国TV中継のCM枠を数十パーセント自前で探しており、そのCMは球場内の広告ともリンクしている。日本でもぜひ取り入れるべきやり方だろう。

ただ、命名権もやはり一定の「歯止め」がないといけない。まあ別に企業に問題があるというわけではないのだが、サンディエゴ・パドレスの本拠地のスポンサーになっている「ペトコ」は、大手のペットショップチェーンで、さすがにこの会社の命名権が決まったときは、プロスポーツのイメージに比べてひ弱だとの論争があったようだ。日本だと経営者や下手すると自治体にも常識や倫理観が欠落してますから、消費者金融あたりがしゃしゃり出てきそうだもんな。実際、「アコムドーム」は危うく実現するところだったわけですから。


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