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鉄の街・ピッツバーグの「Next Champions」は?

2006年02月06日 | Baseball/MLB

(ヴィンス・ロンバルディー・トロフィーはワールドシリーズの優勝トロフィーと同じくティファニー社謹製!)

NFLの2005年度王座決定戦・第40回スーパーボウルは、ピッツバーグ・スティーラーズが26年ぶり5度目の頂点に輝いた。
70年代のスティーラーズといえば、「鉄のカーテン」の異名を取った強烈なディフェンスで相手の攻撃を押さえ込み、QBテリー・ブラッドショウ、RBフランコ・ハリス&ロッキー・ブライヤー、WRリン・スワンの黄金カルテットが相手の守備陣を次々と突破し、レギュラーシーズンでもプレーオフでも並み居る強敵をなぎ倒したNFL史上屈指の強豪チームだった。当時はTBSが実況を行なっており、現在スカパー!MLBライブでご一緒している石川顕アナウンサーは、このスティーラーズをはじめ、ジョン・モンタナ率いる49ersが初めて王座に輝いた82年のスーパーボウルなど、数多くの歴史的名試合・名選手の実況を担当している。今でも石川さんとご一緒して放送後の控え室で雑談をしていると、「70年代のマイアミ・ドルフィンズが……」「おお、重戦車ラリー・ゾンカ!」なんて会話が飛び出して、周囲の若いスタッフが不思議そうな表情でそれを聞いているのですが(笑)。

さて、スティーラーズが前回王座に輝いた79年(SBは80年)シーズンは、同じピッツバーグに本拠地を持つパイレーツも現段階で最後のワールドシリーズ出場を果たし、世界一にも輝いている。このときの立役者といえば、何と言ってもウィリー・スタージェル。同年、史上初めて、公式戦、プレーオフ、そしてワールドシリーズのMVPを独占したプレーヤーでもある。
パイレーツはその後も、バリー・ボンズボニー・ボニーヤらを擁して80年代後半まではプレーオフ出場を果たしていたのだが、やがて小規模市場球団の常で、スタープレーヤーを次々と手放し、監督のジム・リーランドにまで愛想をつかされ、90年代後半からは完全なドアマットチームに落ちぶれ果ててしまった。もともとは19世紀に他球団から強引な選手の引き抜きで悪名を馳せ、相手から罵りの意味で使われた「海賊野郎!(パイレーツ)」を、そのままニックネームにしてしまったチームなのに、その頃とは完全に立場が逆転していた。
そんなパイレーツも、今年は久々に「本気」になっている。新監督としてドジャースを2004年の地区優勝に導いたジム・トレーシーを招き、レッズからショーン・ケイシー、パドレスからジョン・ランダ、カブスからジェロミー・バーニッツを獲得。一昨年の新人王ジェイソン・ベイ(球団史上初の新人王でもある)、オールスター遊撃手「フラッシュ」ジャック・ウィルソンなど才能ある若い選手も多く、久々の勝ち越し、さらにはワイルドカードでのプレーオフ進出を予想しても、「大穴」ぐらいには推薦できる陣容になってきた。

今年のMLBはほかにも、ブリュワーズロイヤルズなどが近年まれに見る積極的な補強を行なっており、前述のリーランドを新監督に迎えたタイガース、このオフ最高の補強を行なったといわれるブルージェイズを含めて、ここ数年日陰者の立場に甘んじてきたチームが上位進出をうかがい、かなりの「戦国」ペナントレースが期待できそうだ。フロリダの2チームは「グランバザール」の影響大でしょうが……。
ピッツバーグでは今年、オールスターゲームも開催される。地元の英雄マリオ・ルミューは残念ながら現役を引退したが、ピッツバーグの街はNFLのシーズンが終わっても、その熱気をはらんだまま、来るべきパイレーツの2006年開幕を待ちわびているはずだ。

※スカパー!MLBライブの仲間で、元アメリカンフットボール日本代表の近藤祐司さん(スポーツアンカー)がSports Naviで、今回のスーパーボウルがラストゲームとなったスティーラーズのベテランRBジェローム・ベティスについてのコラムを寄稿しています。
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/other/column/200602/at00007495.html

 



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2 コメント

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Unknown (kikuta)
2006-02-07 19:47:41
すいません、昨日は試合そっちのけでハーフタイムばかり何度も観てました(録画)

それにしても某民放局なんかさんざん煽ってたくせに、オンエアでは1曲半カットだもんなぁ…バイリンガル放送が多い中、数少ないステレオ放送だったのに。(すいません、場違いな愚痴で)



それにしても79年のWe are family♪パイレーツは魅力的なチームでしたね。

スタージェルのほかにも“コブラ”ことデイブ・パーカーやら“キャンディ・マン”ジョン・キャンデラリアやら…あのピル・ボックス型のキャップやデサント社製のダブルニット・ユニフォームも印象深かったです。

当時、同社のCMで水原茂さんが昔のユニフォームを回想して「だぶだぶのユニフォーム、懐かしいですねぇ」って言ってましたね。

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Unknown (Ryo Ueda)
2006-02-07 19:51:40
オマー・モレノ、ビル・ロビンソン(「人間風車」ではない!)、ティム・フォーリー、ケント・テカルビーに、あとビル・「マッドドッグ」・マドロックもいた! 後年、ロッテに来たときは(専用のロッカールームが川崎に作られました。「隔離用の小屋」ともうわさされましたが)、見る影もなかったですけどね。
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