玄関の扉を開けた途端に、甘い香りに襲われた。金木犀だ。風がないから、どこからか漂ってきたと言うよりも、街中の金木犀が一斉に花を咲かせ、香りに包まれたと考えた方がよいだろう。
夜明けの時刻には、まだ遠い。オリオン座が真南の空に昇ろうとしている。もうジャンパーを羽織りたくなるような寒さだけれど、金木犀は、この寒さに気付いて花を咲かせたのかもしれない。
さて、金木犀のように、この寒さに刺激を受けてキノコ達も咲いてくれないかな。そんな思いで山に向かう。目的地は、K川だ。金木犀の香りを楽しむ散歩も良いけど、やっぱり深山のマイナスイオンを味わう散歩の方が性に合ってる気がするのだ。3日前のキノコ山での結果を考えると、あまり収穫は見込めないのだが出掛けてみることにした。
豊かなブナ林
例によって夜明けの時刻に到着。前回は、最初の藪こぎでずぶ濡れになってしまったので、今回は、上下ともカッパで身を包む。車を降りたときの気温が7℃。案の定、藪の草木は、放射冷却で結露した朝露をたっぷりと纏っていた。
30分ほど進むと、ブナ林の中に倒木が目立つようになってくる。さあ、キノコはどうだ!
勿体ないのう
こちらも残念です
3日前のキノコ山と似た状況です。多分、先週の冷え込みで発生したキノコが老けてしまったもの。その後の低温刺激がないから、新しい発生は、まだのようです。
「仕方がないわい。モダシは諦めだ。」
で、何を始めたかというと、これ、
ワサビ様です
普通は、春先にだけ収穫するんだけど、この夏の天候が良かったせいか、非常に活き活きとしていたので、少し貰って帰ることにしました。これで、ボウズ(何も採れないこと)は免れた。
さて、次だ。この川、ミズも良いんだよねえ。この前、「ミズよ、ありがとう。さらばだ。」みたいなことを言った舌の根も乾かないうちに収穫です。まだまだ家にあるんだけど、以前、山菜料理店の主人から聞いた保存方法を試してみることにします(画像なし)。冬が来たら美味しく調理するから許してね。
最後にこれ。
何じゃこれは!
上の方まで生えてる
裏側にも出ています。少し採って匂いを嗅ぐと、美味しいキノコのようです。多分、センボンイチメガサ。だとしたら、食用のキノコです。似たような生え方をする毒キノコは、二ガクリタケだけど、色合いが明らかに違う。これは、持ち帰りです。全部採ったら、すごい量になりそうなので、一部を採って、家で同定します。その結果、不食だと悲しいことと、下ごしらえが大変そうなことから、調理1回分の量だけにしておきましょう。
リュックに詰め替えたら、けっこうな量になりました。一番欲しかったキノコは採れなかったけれど、収穫出来たことに満足。更に、美味しい山の空気をたっぷりと味わうことが出来ました。そうして、
美しい暁光
地上の草木にも
渓にも降り注ぎ始めました
空気が澄んでいるせいか、日差しが眩しすぎて、時々足元が見えなくなる。心は軽いのだが、肩の荷は、そこそこに重たい。 慎重に慎重に。
深山の景色と、爽やかな空気を味わいながら、ゆっくりと山を下る。
ああ~、気持ちよかった!
やっぱり、欲タガリの山歩きには収穫があった方がいいね。
ミズコブのことも含めて、昨日まで言っていたことと今日やっていることが随分違うんですけど、こういうのを二枚舌って言うのかな。
ま、いいや。
心から満足出来たんだから。
山の神様に感謝の礼をして帰路につく。
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