8月24日、原一男監督「水俣曼荼羅」を見てきました。
みっけ!水俣~びわ湖 ~映画「水俣曼荼羅」滋賀連続上映会と特別イベント~。滋賀県下で数か所上映されましたが、8月3日の朽木上映を見逃したので、最終回の東近江上映へ出かけてきました。
熊本県民なので「知っているつもり」でありましたが「実際は何も知らない」ことを認識しました。
何の罪もない人々を奈落の底に突き落とし、反省もなく救済しようともしないチッソや国・県の対応。「人の痛み」を考えず、組織や自らの保身ばかりを考える行政の対応は「何のために高い税金を払っているのか!」と改めて怒りを覚えます。
当初考えられていた「末梢神経説」に疑問を持ち、現場で検証を重ねた熊大学教授の努力により「中枢神経説」が実証されたにもかかわらず、救済されるべき未認定患者が認定されず放置されてきました。
原監督が自ら様々な患者や支援者と向き合い記録したドキュメンタリー。いろいろな事情を抱える患者や支援者の長年にわたる苦悩が鋭く描かれています。
中には実名で国や県の行政担当者や当時の知事も出てきます。トップはともかく、担当レベルの人にとっては少し酷なような気もしますが、組織の保身を図る国や行政の姿を映し出すためには致し方ないですね。
結果として複数の訴訟が起こされますが、司法もぐるになり、高齢になった原告は「勝っても何も改善されるわけではない!」と叫びます。
一方では高齢になった患者をわずかな補償金で丸め込み「終わりに」しようとする国や企業。
この構図は「水俣」に限らず、「日航機事故」や「もりかけ問題」「統一教会問題」「自民党の裏金問題」など最近の事件には常に付きまとうものです。
上映後には長年患者や訴訟の支援にあたってこられた伊藤紀美代さんのトークもありました。
6時間超に及ぶ映画ですが、いろいろと考えさせられた一日でした。