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ライブレポなど自分の妄想と覚書。

Episode of 鳳ツルギ chapter5 羽ばたく鳳凰

2018-10-16 13:23:31 | 作品
※宇宙戦隊キュウレンジャーのファンフィクションです。
個人的妄想と捏造で構成されております。
公式関係各所とは全くの無関係です。
でも、もし、万が一、公式がこんな作品作ってくれたら狂喜乱舞します。Vシネでよろしく勇気。
「俺ガン」ならぬ「俺ツルギ」です。

この作品の前提。
・キュウレンジャーの時代から360年くらい過去
・ツルギはこの時点で250歳くらい(本人にも正確な歳は不明)
・宇宙連邦成立前、即ちドン・アルマゲ発生前
・ホウオウソルジャーとして覚醒前





 ――――鳳ツルギと言う男ほど自己犠牲の精神の顕著な者はいなかっただろう。それは一重に彼が生きてきた気の遠くなるほど長い時の中で形成された精神構造の弊害とも言えた。


 一人称は俺様、劇場型演説、大言壮語を吐くペテン師のような言動、彼をよく知らないものは偉ぶった大仰な人物だと思っただろう。実際は言動とは違いかなり気さくな人物ではあるのだが、超現実主義でマキャベリズムを地で行くような一面もあり、ある種冷酷さを伴う判断も平気で下していた。政治家としての彼しか知らない者達には冷酷で冷たい男と思われている。その代わり政治としては地に足の着いた政策を行っていたので、批判的意見はあるものの概ね安定したものであった。
 一方で眉目秀麗、高身長スタイル抜群、天才的頭脳、クリーンイメージ、結婚すれば大統領夫人、現在独身となれば彼に恋い焦がれる女性は宇宙中に数多存在し、女性誌では毎号特集が組まれるほどの人気にもかかわらずプライベートは謎に包まれ、世の妙齢の女性達をヤキモキさせていた。もっとも、戦争後に彼を知った者が殆どのため、世間的に不老不死はまだ半信半疑と言った所だった。そしてプライベートは謎に包まれているのではなく、存在しないのである。風呂とトレーニングと睡眠以外の時間はほぼ大統領としての職務に精励しており、休日らしい休日も就任後は殆ど取っていなかった。いわゆる仕事が趣味と言うワーキングホリックの典型で、そんな彼をサポートするため休めと言っても仕事を抱えた生真面目な秘書や補佐官が次々とオーバーワークで病院送りになったので、さすがにツルギも対策を考えなくてはならなくなり、チキュウから彼の設計した秘書型アンドロイドを十数体派遣させた。おかげで大統領府では昼夜問わず業務が行われ、常人では考えられないスピードで宇宙は革新していった。もちろん全ての人、全ての星が満足しているわけではない。万能の政治などあり得ないし、人々はそれなりに不満を抱えつつも妥協し、それなりに満足しているのだった。






 宇宙連邦が成立して五年、宇宙は平和で徐々に戦争から立ち直り、それぞれの星系ではそれぞれの文化や特性が色濃く保全されていった。共通語の第一世代とも言える大学生達が卒業し、社会へと出てくると少しずつではあるが星系間の交流も現れてきていた。オライオンも獅子座系の女性と結婚して先日待望の子供が産まれ、故郷のオリオン座で両親と共に穏やかな日々を送り、たまに長距離通信でツルギと会話する内容も幸せそうであった。

 
 その日は、連邦議会において資源取引の規制見直しについて議論される予定だった。近年、惑星そのものから採取できる『プラネジュウム理論』が確立され(論文を書いたのは鳳ツルギ研究所のアンドロイドである)、それまでのエネルギーとは別の新たな分野の取引となるため、規制やルール作りが求められていたからだ。ツルギももちろんその論文には目を通したし、もともとはツルギのキュータマ研究の派生から来るものであったので、肌身離さず持っているキュータマをじっと見つめていた。
「大統領、どうされましたか?お気分でも悪いのですか」
「ああ、いや、体調は万全だ」
「それがキュータマですね、初めて拝見しました」
 "美人秘書"のアンドロイドにキュータマを掲げて見せると、ツルギはにこりと笑った。あまりに無邪気な笑顔に秘書は珍しい、と思った。彼女(?)の知る限り鳳ツルギは眉間にシワを刻んで難しい顔をしているか、はたまた自分の政策に自信を漲らせた不適な笑顔か、表情の消えた疲れた顔であったためだ。
「見ろ、このキュータマの中にはものすごい質量のプラネジュウムが蓄積されている。この小さな球体の中に、だぞ。現状プラネジュウムを採取するには巨大な採掘プラットホームが必要だし、蓄積する容器も特殊で大きい。前時代の化石燃料よりも輸送効率は悪い」
「はい」
「だがこのキュータマの研究が進めば、こんなに小さく大量にプラネジュウムを持ち運べてしまうんだ。例えば宇宙船のストックエネルギーがこのサイズになったとしたらその他の荷物や人を乗せることができるし、現地の地上での運搬のためのトラックも要らなくなる。誰が作った物なのかわからんが、キュータマには我々のエネルギー未来が詰まっているんだ」
 目をキラキラと輝かせ、新しいおもちゃを見つけた少年のように楽しそうに
そこまで一気に捲し立てた。数多くの肩書きの中でも科学者としての鳳ツルギは、少年のような無邪気な好奇心で突き動かされているのだとわかる。
「さすがに予算を今から割くのは難しい、俺様の給料なんか必要ないから全部キュータマとプラネジュウムの研究資金に突っ込んでやれ」
「それはちょっとできかねます。大統領としての体裁を最低限保つためにも、給料はお受け取りください」
「なんてこった、じゃあ後から寄付でもなんでもいいから金を入れて設備も人も増やせ。こいつは絶対伝説級の研究になるぞ」
 こんなに興奮して訳のわからない要求をしてくるツルギは初めてだったので、彼女は大層戸惑った。社会福祉のために大統領がポケットマネーから寄付をする事はこれまでも何度もあったのでその点については問題なかったが、問題なのは寄付先で、鳳ツルギ研究所はツルギの持株会社でもある。給料はもらってもいないし、現在は殆ど研究にも携わっていないので単なる名誉職ではあるのだが、寄付をしても結局の所ツルギのポケットに戻ってくると思われるわけで、税金対策の偽のダミーの寄付と思われかねない点である。その誤解を招かぬように資金を動かすにはどうしたら良いのか、彼女は長らく考えなければならなかった。


 プラネジュウムについては未知の部分もまだ多く、取りすぎてしまうと枯渇してしまうようなものなのか、そもそも絶対量がわからないのでどこまでが採掘のボーダーラインになるのか、議会の討論はなかなか進まなかった。ただ予め規制を設けておかなければ、大国が小国から搾り取れるだけ取ってしまって枯渇させたり、果ては惑星そのものが死滅したりしては問題だからである。ツルギは議会の討論をじっと聞きながら、当面の妥協点を探していた。
 その時、ツルギの補佐官(補佐官は人間で厳しく勤怠管理されている)が、蒼白な顔で現れてツルギに小型端末を見せる。ツルギも驚きの表情で、そして立ち上がり議会進行を止めさせる。
「緊急事態だ、皆これを見ろ」
 小型端末を操作し、議会のソリッドビジョンに端末と同じ映像を映し出す。そこには、テレビのニュースキャスターが蒼白な顔で事態を告げている。
『…………ヘラクレス座星系コルネフォロスにおいて、謎の生命体による襲撃があり多大な被害が出ている模様です。死傷者の数は現在わかっておりませんが、相当数出ているようです。この件についてヘラクレス座の首長は政府に対して早急な対応を求めて……………』
 キャスターの後ろでは、ヘラクレス座の住人たちが謎の生命体と交戦している様子が映し出されていた。映像を止め、ツルギはヘラクレス座の議員を呼ぶ。
「まだこちらには正式な応援要請は届いていないが事態は一刻を争う様子。すぐに仮でも良いので要求書を出せ、その間にこちらは宇宙連邦軍の出動態勢を整える」
 それだけ告げてツルギは議会場から出ていった。自治を認めているため、相手側からの要請がない限り勝手に軍事力の介入をすると侵略行為とみなされる。たとえ連邦側にそのつもりがないとしても、前例を作ってしまえば将来への禍根となるからだ。だから形式を整えなければならないのは迂遠に思えるが、大事な事でもあった。
 進行役の議長は議会の休廷を告げ、各星系議員達も慌てて情報収集のために自分達の星に連絡を取るべく出ていった。


 ヘラクレス座星系に向かう艦の中で、次々と寄せられてくる報告に一同は
不安を募らせていた。ツルギはあの深緋色のコートを着て、自ら艦隊を率いて出撃した。
「現在わかっていることは、ヒューマンタイプの形状、生命体ではあるが死ぬと死体が消えて無くなる、通常兵器はあまり効果がない、だがヘラクレス星人の膂力で辛うじて進行を食い止めている、鳴き声のようなものを発しているが言語はない、知能程度は一般的な人類と同程度水準と思われる、以上です」
「映像を見る限り、銃火器は余程威力のあるものでないとダメージを負いません、爆破やヘラクレス星人の馬鹿力で殴り飛ばせばある程度は倒せる様です」
「銃が効かないのは厄介だな」
「一般兵の装備はほぼ銃ですからね」
「死体が無くなると言うのは?」
「文字通りその場で消えて無くなるのです。消滅する、とでも言った方が良いでしょうか。そのため解剖に回すこともできず敵の生態などは一切不明です」
「…………揚陸艦での砲撃なら倒せるか?」
「恐らくはそれくらいの威力があれば可能かと。ただ住民の避難が終わらないことには……」
「急がせろ、次のワープでヘラクレス星系に到達する」
「了解しました」
 ツルギは送られてきた敵の映像を何度も見返しては、どう対抗するかを考えてみるが、通常兵器が効かないとなれば打つ手は少ない。ツルギの表情が険しくなる、想像以上の事態に宇宙は陥っていた。
 人々が多大な犠牲を払いやっと掴んだ平和は、脆くも崩れ去ろうとしていた。


 ワープアウトしたその先で、謎の宇宙艦隊が待ち受けていた。敵は宇宙での戦力をも持ち合わせていたのかと、ツルギは驚きながらもすぐさま反撃の体勢を取る。幸い戦艦の性能的には艦砲もミサイルも問題なく通用するようで、宇宙での艦隊戦に関しては互角に渡り合えた。
「住民の避難完了とのヘラクレス政府の報告です!」
「よし、降下舞台は艦隊戦から切り離せ、俺様が直接指揮をする」
 宇宙での戦闘は同行していた宇宙艦隊司令長官に任せ、ツルギは揚陸艦に移乗して自ら降下隊を率いて惑星コルネフォロスへと向かった。
 さすがに戦艦からの攻撃であれば謎の生命体と言えども倒せているが、その数はまさしく無尽蔵。どこからか涌き出ているのではと思うほどの数で、やがては戦艦への対空攻撃まで仕掛けてきた。もちろん遠距離の地上からの迫撃程度ではびくともしない。
 突然、艦内にアラート音が鳴り響く。
「高エネルギー体、接近!」
 索敵兵の悲鳴のような声と同時に艦が強い衝撃を受けて激しく揺れ、ツルギはバランスを崩してよろめいた。何事かと問う前に何処かから爆発音と衝撃、瞬く間に操縦不能に陥った艦は重力に引かれ地上へと傾く。操縦席から急激な高度低下による警告音が鳴るが、操縦席にいたはずの兵は爆発で吹き飛んで息絶えていた。体勢を崩しながらも操縦席に飛び付き、言う事をきかない操縦棹を目一杯引いて艦を立て直そうと試みた。殆ど地上へ激突するかのように不時着し、艦の大部分は大破、生き残った者達は急ぎ艦を離れる、機関部に引火すれば大爆発を起こすからだ。痛む体を引きずって走りながらツルギは上空を仰ぎ見る。他の揚陸艦の周りを黒い靄のようなものが取り囲み、火花のように赤い稲妻が無数に艦の表面を走っていた。
「なんてこった………」
 自然現象ではない、明らかに意思を持った黒い靄は次々と他の艦を墜落させていった。
 そしてツルギと脱出できた数十名は、地上であの謎の生命体に徐々に取り囲まれつつあった。不気味なマスクのような顔からは、意志や感情の類いは見受けられず、命令されて動く人形かアンドロイドのようであった。見慣れない剣を持ち、見慣れない銃を持つ彼らは一体何者なのか。先頭の一体に愛用の剣で斬りつけてみるが、ゴムのような弾力性の強い着衣に阻まれ斬るのはおろかダメージすら与えられない。
 なるほど、鉛の弾も剣も効かない、衝撃を吸収する特殊な素材なのか。スーツの耐性以上の爆発やヘラクレス星人達のバカ力で殴り付けてスーツの中身にダメージを与えればさすがに無傷では済まないらしいな。
 ツルギの科学者の部分が冷静に敵を分析し、その対抗手段を考えている。だが事態は思わぬ方向へと進む。

『全宇宙に告げる。我はショーグンドン・アルマゲ。今日この日より貴様らは、宇宙幕府ジャークマターの支配下となる』

 上空に写し出されるのは巨大なフードを被った人物の姿。惑星コルネフォロスだけではない、全宇宙、全惑星のあらゆる場所にその姿は現れた。晴れた空、水の中、宇宙空間、街の巨大モニター、各家庭のテレビ放送に至るまで、全ての知的生命体の前にその姿を現し、その言葉は全ての者に届いた。
「………ショーグン、ドン・アルマゲ………だと………?」
 ツルギの表情が険しくなる。今まで聞いたことも無かったが、不穏な気配は察知できる。
 
『貴様らに未来はない。絶望せよ、泣き叫べ、貴様らの悲しみが我の力となる』

 空中のドン・アルマゲが手を翳すとそこから無数の赤い稲妻が発せられ、ツルギの周りに次々と着弾する。爆発に煽られ敵も味方も吹っ飛び、ツルギ自身も大きく飛ばされ転がった。
「くっ………艦をやったのもアイツの力か……?!」
 よろめきながら立ち上がり、砂が混じった血を吐き出すと口元を手の甲で拭った。ツルギの周りは仲間の死体と、消えてゆく敵の姿。稲妻の威力もだが、味方をも巻き添えにして攻撃してくる冷酷さにツルギは薄ら寒さを感じた。人間ではない、何か別の存在にも思える何か。不敵を絵に書いたようなツルギだったが、未知の相手、強大なその力の前に立ち竦む。そんな相手に対抗する手段を、ツルギは持ち合わせてはいなかったからだ。
「あんな相手にどう戦えばいい。いくら俺様が不死身でも、抗する手段がなくてはまるで無力だ……」
 これまで彼が諦めたのは長い人生の中でもたった一度、鳳凰座で宇宙船の事故で自らの命が尽きた時。あの時は朦朧とした意識で暗い暗い虚空を見つめていたら、目の前に光が見えて思わず掴んでいた。それが宇宙空間を漂っていたホウオウキュータマで、それよりツルギは永遠の命を手に入れた。
 今、鳳ツルギは人生で二度目の諦めを覚えていた。


 ――――宇宙が心無き者の手に落ち、人々が涙する時、キュータマに選ばれし究極の救世主が現れる――――


 ツルギのカーゴパンツのポケットから光と共に膨大なエネルギーが溢れ出、ツルギ自身も訳がわからずそれを取り出す。ホウオウキュータマが強烈な光を放ち、渦巻くエネルギー流がツルギを取り巻き上昇気流を巻き起こした。深緋色のコートの裾が広がり、鳥の尾羽のようにたなびく。
「キュータマが………?!」
 眩しさに目を細めキュータマを凝視する。以前薄く浮き上がっていた模様が今ははっきりと表れ、何かを形作っているようでもっとよく見ようとその表面に指を滑らせた。

 カチリ。

 スライドした表面が重なり合い、羽を広げた鳳凰の姿が表れた。どこからともなく甲高い鳥の鳴き声が聞こえ、エネルギー流に炎が混ざって彼の左手に集まったかと思うと、凧型の盾がその手に握られていた。シルバーを基調にゴールドの飾りクロウ、炎をデザインした模様に、ガンメタルのメカ部分。同じくシルバーにガンメタルがあしらわれた剣が刺さり、中央に小さな窪みがあるのが見受けられる。
「これは………ホウオウキュータマの力か?」
 誰にともなく呟いたのは無意識だった。そしてツルギには次に何をすべきか"わかって"いた。剣の中央の窪みにキュータマをセットし、柄に手をかける。盾から剣を抜き放つと、ツルギの全身を炎が覆い尽くす。それは決して物理的な炎ではなく、エネルギーの表れであり、炎が去った後には宇宙を映し込んだかのような模様の体にフィットした全身スーツを纏い、胸元には大きな星形のデザインと心臓部には球体のコア、そこにはキュータマと同じ鳳凰模様が刻まれていた。ヘルメット状の頭部はキュータマがそのまま大きくなったかのようで、顔に当たる正面には羽を広げたホウオウの姿もあった。



 ツルギは、鳳凰の翼を手に入れた。




Episode of 鳳ツルギ
      chapter 6 羽ばたく鳳凰


 





あとがき

あー、、、すいません一話で終わらなかったです(笑)。もう一話あります。
イメージ的にはラストの変身シーンはセーラームーンかプリキュアです(笑)。裸になってるかは描いてませんけど、スーツの下ってどうなってるんでしょうねぇ?物理的にあのコートとかどこ行っちゃったのかな?って考えると、セーラームーンの変身しかないと思いました(笑)。不思議な力に導かれ何度も巡りあっちゃう伝説です。
そして、次こそホントに終わりでございます。タイトルがちょっと考えてるのだと別のアレコレになつちゃいそうで(笑)まだ思い悩んでますが、お楽しみに!
感想やはげましのお便り待ってます!


どうでもいい補足。
星座にはあまり詳しくないのでウィキでヘラクレス座の実在の恒星を調べましたが恒星なのでもちろん人が住めるはずもなく、本来なら惑星の名前を書かなければならないのですが、惑星なんてほぼ地球からは見えないので載っているはずもなく、かといって捏造するのも面倒………ゲフンゴフン、なので、その回りに惑星がある前提で恒星の名前を惑星として出してます。その点については突っ込み不要です(笑)。

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