ミツルのブログだよ!

ライブレポなど自分の妄想と覚書。

ツルギ

2018-06-30 01:44:08 | 作品


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

少年社中20周年記念公演「MAPS」

2018-06-24 04:52:00 | レポート
大阪公演の追記しました。
東京の方も多少追記してます。






南目当てで観に行きましたが、すっかり他の演者の方々にも惚れてしまいました。
凄かった。とにかく凄かった。全てにおいて凄かった。
素晴らしい作品を目の当たりにするとIQ3くらいに退化してしまうので語彙力もふっとんで感想を言葉に表すことが難しいのですが、今回はそれが特に酷かった。
演劇の舞台は数えるほどしか見たことがないので、そこから比べることは難しいのですが、自分の人生の中でもここまでの迫力と感動と想いを受けたのは初めてです。
ライブやコンサートとは全く違う感動。
関東に住んでたら確実に社中さんのファンになってます。
残念ながら推しがいないとなかなか遠征してまで見に行くのは懐的に厳しい物があるので、DVD等で過去作品を見てみようかと思います。

席は南のキャスト先行で取ったからか、めちゃくちゃ神席ばかりで、ありがたい。
東京、C列A列、C列、いずれもセンターブロック上手、ほぼ通路脇ばかり。大阪の22日もXA二回。23日はフライヤーのビジュアルが公開されてから南が主演と確信したので、追加でチケット積みたくて譲渡で出てたのを譲ってもらったのでE列とF列。
ここでようやく全体が見渡せそうです。
最前列は演者全員の表情も汗も息遣いまで細かく見れたので、本当に素晴らしかったです。ただ神席だけども舞台奥やブロックの向こうが死角になってしまったので、自分的楽日にちゃんと全体を見ようと思います。

最前列の時、カミテ側だったけど先生にオーダーとってもらえたので「南お願いしまーす」っていったらFLT大阪の小太郎ちゃんみたいに「誰?!」って返されたwww
南って名前のお酒飲んでるって自分で言ってたのに、南本人だと思われたようで(笑)



さて、自分のことはここら辺で置いといて、内容について。

まず面白かったのは、舞台セット。
まんまテトリスブロックの数々が、組み合わせ方によって様々に変化。
それも演者自らが動かしていき、場面転換は物語と同時進行。
こちらでお話を展開している反対側ではブロック並べ替えてるから南は殆どでずっぱり、物語側の演技に集中したいのに南の様子も余すことなく見たい、なのに舞台上では下手すると三ヶ所展開なんて事態もあり、まさしく目が足りない!
どこ見れバインダー!!!
ブロックなのに演技と見る側の想像力で何にでも見えるけど、一番すげぇ!って思ったのは、磔の十字架。
棒と凸ブロックで十字架!
発想力が試されているッッッッ!!(byJOJO)
ホントに組み合わせが面白かった。
漫画書く机と椅子も何回も出て来たね。
そんでもって、これ、めちゃくちゃ練習したんだろうなぁってのがわかるから、演者さんたちみんなすごい。ブロックの配置だけでも覚えるの大変だと思うし、それに加えてセリフや演技と、プロってすごいなぁと改めて感動。
見終わったらテトリスがやりたくなったのはナイショでござる。


それから音楽。
オープニング、静かに、始まりも何もなく、気付いたらいきなり南が立っててビビってたら、めちゃくちゃカッコいい曲流れてきて、ブロック並べ終えてドヤ顔………じゃなかったキメ顔で中央に立つ、南と光と曲のシンクロ具合が半端なくカッコよくて、そこでまず鳥肌たった。
そしてラヴェルのボレロ、わたしの頭の中の艦隊戦の映像を何とか遠くへ追いやってww舞台に集中、ホントにステキな使い方だった。
要所要所でボレロが使われてて、それも毎回違う部分で、ボレロがかかるのは世界線と言うか軸が共通のところなのかなと思ったり。
ラストの全員でのセリフ、これはあなたの物語!のところなんて音楽が爆音すぎてセリフ聞き取れないww箱ライブじゃないのに耳栓いるww
カウンセリングのシーンのかまいたち風の不安を煽る曲も好き。
息子が忠敬を追いかける時の曲も好き!それにあわせて先生がアイデア溢れるのを何とかしようと指をタップしてるのが好き。
チーフが先生で音楽!って言ったときの曲も好き。
なのでサントラ出して欲しい。単品で無理ならDVDにセットでつけて欲しい。


物語は、3つの物語と思わせておいて、全てが最期に集約されていくのはまさにカタルシス。気持ちよかった。パズルのピースがはまるような、テトリスがはまって消えていくような、そんな爽快感があった。
一回目はお話わからないからただひたすらに次がどうなるかワクワクしてたけど、二回目以降は展開がわかっているので最初の部分の伏線やら細々としたところを意識できて、東京三回とも新たな発見があり何回見ても飽きずに楽しい。もっと見たかった。大阪であと四回見れるけど、あと四回しか見れない。追加公演してほしいくらいに面白い。DVDは遥か先すぎて待ちきれない~。


或いは感情の物語と言うセリフ通り、漫画家先生の感情と、妄想と、脳内のお話しでもある。何かしら物を作る立場の人なら誰もが味わう、辛さや苦しみ、他者への羨望と嫉妬、これで良いのかと言う迷走、うまくいかない怒りと諦め、目指すものを見失った創作者の感情の物語。
そして心の旅。
自分も趣味の域ではあるけれど物を書く端くれとして、めちゃくちゃ共感しまくってたし、10000000回は頷いてたし、書きたいものを書くことが嬉しいと言う喜びを知ってるし、そんな自分の背中を後押しされたような気がする。だからこれからも書いて行こうと思う。


きずっちの「圧倒的南感」と、お岸の「南は南のまま」と言うワードがまさしくその通りで、漫画家と言う役を演じている筈なのにそこにいるのは表現者として物を作り出す南圭介そのもの、南ファンは絶対見るべき作品。カッコいい所も、情けない所も、苦しそうな所も、愉快なところも、全部全部南。南本人の言の通り「南を知り尽くした毛利さんならではの作品」なので、本当に本当に見てない人は見るべき。断言します、見るべきなのです。Gロ立ちも、すっとんきょうな高い声も、ワケわかんないテンションも、刮目もヨイショーも伝説もぶっ込んでくる、実は舞台全編アドリブなんじゃないかと言う疑惑が(笑)。
それくらい南なんです、GロやFLTのトーク部分の南がそこにいました。
もう本当に南なんです。(南ゲシュタルト崩壊)
そうそう南の手がね、とっても指長くてキレイで、それが指先まで細かく演技してて本当に本当に最前列で指をガン見した。


もちろん他の演者のみなさんも、本当に素敵だったし、なによりキャラクターも素敵だった。
伊能忠敬の最後の妻への告白なんて、ただただ愚直で、ストレートに思いが伝わって来て、思わず目に汗が溜まってしまった。
名も無き冒険家の、自分は何者でもない所は一般人である自分のようで、ものすごく共感しかない。それ以外のみんなみんな個性的で面白くて愛しい。

そうそう中村誠治郎さんはTwitterで上腕ムキムキ見せてる写真があったけど、舞台でも衣装黒でお肌白いから、片腕出してるのが凄く目を引いて、誠治郎さんについてはひたすらに上腕ばかり見てた気がする(笑)。
川本さんは出てくる度にヅラが違ってたりとくそおもろかったので、ヅラばかり見てた気がする(笑)。
伊勢大貴くんは、ちょうど最前列の時に目の前であのひっくり返って動き止まってる状態で、あの、目線が合ってしまってとても気まずかったと思います(笑)。そしてあの不自然な態勢で止まってるの凄く大変だと思う。終わったら筋肉パンパンなんじゃないかしら。

まとまりないですけど、とりあえず思い付くことつらつらと書いてみた。
大阪公演見たらまた書き足します。



大阪追記。






大阪公演は、なんだろう、違ってた。終わりが近いのと、地震があったから皆さんの覚悟がよりいっそう固くなっていたのもあるだろう。なにより私が東京に見に行ったあとも一週間やってたわけだから、チームワークもお芝居も練られて熟成されてるのがよくわかった。


22日初日は昼夜共に最前列で、しかも行ったら稼働席一列しかなくて舞台との距離が少しだけあったけど、ステージそのものが低くてすごく見やすかった!本当に神席!おかげで最前列でも舞台奥まできれいに見れた!南先行ありがてぇ!感謝!
そしてなんと言っても、圧倒的南感が東京の二割増しに南でした(笑)。動きもアドリブもセリフも色々パワーアップしまくりwwDVDには大阪のを収録してほしかったなあああああ!!

前説で毛利さんが出てこられて、免震構造大丈夫な建物、大きな地震があった場合の誘導など説明されてた。ただし、舞台の揺れが伝わって客席揺れるけど4DXだと思ってくださいとのこと(笑)。ホントによく揺れた(笑)。


大阪初日は東京見た人もいるだろうけど少ないかな?と思って、ワタミのオーダーは真っ先に手を上げました(笑)。たけしのライブだとこう言う時は話しかける人めっちゃいるから、全力で大きな声で。賑やかしにもなるしふれあいタイム(←笑)は積極的に参加していく所存。したらば、ホントにあまりいない系でご指名されてしまいました。しかも先生って呼ばなきゃいけないのにはーい!って元気に手を上げてしまったので「はーいって、あれ、先生、はーい、逆ですねぇ!」みたいに戸惑わせてしまいました(笑)。前にスペースがあるので上手の方まで来てくださりました、ありがたみなみ!

夜は念願の下手側に唯一行ける回だったので、フロア先生が目の前に!!見とれて手を上げるの忘れました(笑)。もう手を伸ばせば触れる距離!名札ガン見しました。先生による先生の絵が描いてありました。かわいい。 目の前にあのハイテンション南がいることの幸せよ。。。うっとり

芝居中に目線が合ったとしても、演技でそちらを見てるだけだからいつもの幸せな思い込みだとはわかってますが、あの、その、カーテンコールとパーフェクトインフォメーションの時にすげえ何回も合ってだな、さすがにこれは認識されててヤバいと思いました。す、ステルス搭載したい。。。


改めて下手から見れて、いままで立ち位置的に見えなかった表情、仕草、息遣い、それこそ指先に至るまで、本当に皆さん細かくお芝居されてて、これはよほど目が良いか前の席じゃないと見れないので本当に貴重でありがたい経験をさせていただきました。角度が違うと見れなかったところがたくさん見れてすごく新鮮でした。
特に忠敬のラストの告白シーンは、ただでさえ涙腺弱くなるところなのに、下手から表情が見える位置で改めて見たらただただ号泣。そして、翌日中段で距離が離れていたもののそれを思い出してしまうのでやっぱり号泣。観劇後に店長だったので直接ご本人にあのシーンで毎回泣いてしまいますってお伝えして握手していただきました。


23日昼はほぼセンターの中段で、舞台全体見渡せるのももちろんのことながら、目線の高さが南とバッチリで、オープニングとエンディングであのキメ顔で目線合っちゃうとドキドキ感がすごい!さすがの私も乙女モードにスイッチしますよ(笑)。
南だけじゃなく他の演者さんも真ん中のセンター辺りに目線送るのが多いせいで、色んな方がこちらを見ててドキドキです。
全体見渡せてようやく気付きましたが(よい席続きで南ガン見モードだったし)コックさんが後ろで手を組んで段を降りたりするときに両足でぴょんて飛ぶのが、ドラゴンボールのおじいちゃんキャラみたいでめっちゃかわいくて!毎回アドリブのお店の名前やメニューも楽しくて全公演分入れて欲しい!
と言うかDVDは全公演収録のボックスでいいよ、もうさ。東京や大阪遠征で通う事を思えば、ボックスの値段のが安いもの(笑)。もちろんライブはライブでしか味わえないから行くんですけど、行けなかった他のも見たいじゃないですか!

ふれあいタイムは二日目だし、中段で距離あるから、まあ賑やかしでいいかって元気よく手は上げましたが、よもやまた指名されるとは。。。南注文したらちゃんと今度は「はいよろこんで~!」言ってもらえたけどね!(笑)もう次は黙っとく。本当にごめん。ふれあいタイムはライブのコール&レスの感覚なのですが世間では違うのかな。


さて、距離はあるものの、全体としての没入感は真ん中のセンターのここの席が一番高かった!全体を見れるこの位置は、音響やライディング、場面としての演出は一番良い場所なので、場面場面で絵画のような美しさがあり、臨場感があり、なんだかほんと、色んなところでじわじわ泣けました。忠敬は号泣。ほんま泣ける。
あ!そうそう、大阪に来てからはライアが泣くところでも目に汗が……。彼がいなければ他の皆も何者にもなれなかったし、航海にも出ていなかっただろうし。これからもお調子者で嘘つきのままなんだろうけど。ほんと、愛すべき大嘘つき。嫌いだけど憎めない。そんなキャラ。


夜は中段の上手ブロック。初めてセンターから外れたので、斜めから全体を眺める形。当たり前なんだけど上手側で演技されてる方たちと目が合います。そんでもって真ん中のブロックの壁や山がある時の後ろまで見えるので、場面転換の人々や後ろの人々を眺めてました。んふんふ。楽しい。どこを見てても楽しい。なんて素敵な舞台なんだ。自分的千秋楽なので、今までと違うところを刮目刮目ゥ~?DVDには是非カット割りしたのだけじゃなくて、全景を撮し続けてる全景アングルバージョンを収録して欲しい。小さくなるけど、色んなところ見たいもの。


さて、ネタバレ盛大にOKになったことだし、好きなシーンとかセリフとかつらつらとあげていきましょか。

ワタミから快パーと一緒に出ていくところで、殴られた先生のセリフ。
「情緒は確かか?!?!」
めっちゃ好きwwwなんて面白い言い回し。台本にないからアドリブか、稽古中に決まった演出なのか、東京では三公演ともこれだったのに、大阪では
「感情の迷子のお知らせです!!!」
もうさ、面白すぎるwwww言い回しが楽しすぎ!!お知らせされてもwww確かにあなたの感情の化身ですけどもwww
もう大好き!!
快パーは全体的に動きも言動も愉快、さすが楽しむ感情。冒険者たちと酔って踊ってる所は、あの宝塚もビックリな表面積にリオのカーニバルかよとwww

忠敬と息子のやり取りもラスト意外全編ほぼギャグなのも楽しすぎるwwwと言うか息子はギャグ以外のシーンありましたっけ??(笑)と言うくらい笑わせてもらった!!

デビューが決まって動揺する先生が変な動きしながらパニック!パニック!ってなるところ、「ここはFLTできずっちに弄られる南」と言う演出指示だと本人の動画で暴露してたけどホンマにそれなwww大阪ではセリフの前に変な動きだけずっとしてるんだけどもそれがまた長いwwww動揺長いwww南ゼンカイwwwめっちゃ近づいて「刮目せよ刮目せよ」言ってるのも何もかも面白すぎて毎回腹筋持ってかれるwww
女房受け入れる所も、バイクのところも、ほんと愉快。南はすべてを受け入れる懐の深い人だと、キュウレンメンバーがいつもいつもGロでもFLTでも言ってて、毛利さんのお話ではあるけれど、そんな南をも描いてくれてたんだよなぁ毛利さん。

没になったのを落ち込んでガックシしてるシーンめちゃくちゃかわいい。「そうかなぁ……おもしろいよね?」って甘えたような言い方がめちゃくちゃかわいい!

ライアの裁判の「借りたお金を返さない!」で全員が高利貸しから目を反らせる所スッゲー面白いwwと言うか全員が借りてるのかよwww

ベテランもヅラが毎回違ってるのが面白すぎて、集中できないwww何故にいつも女子みたいな髪なのwww
チーフと二人で電話を取るアドリブが毎回おもろすぎて、全公演見てみたかったなぁ~!



そんなわけで、全部で七回見に行った訳ですが、同じ内容で飽きて寝ることもなく(笑)、ますます見たくなる素敵な舞台でした。
DVD、遠いなぁ。半年先かぁ。その頃にはさすがに覚えたセリフ忘れてそうだから新鮮な気持ちで見れそう。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

episode of 鳳ツルギ chapter2 星の未来

2018-06-16 01:50:24 | 作品
※宇宙戦隊キュウレンジャーのファンフィクションです。
個人的妄想と捏造で構成されております。
公式関係各所とは全くの無関係です。
でも、もし、万が一、公式がこんな作品作ってくれたら狂喜乱舞します。Vシネでよろしく勇気。
「俺ガン」ならぬ「俺ツルギ」です。


この作品の前提。
・キュウレンジャーの時代から360年くらい過去
・ツルギはこの時点で250歳くらい(本人にも正確な歳は不明)
・宇宙連邦成立前、即ちドン・アルマゲ発生前
・ホウオウソルジャーとして覚醒前









 少年は夢を見た。




 宇宙飛行士になり、宇宙船にのり、誰も見たことのない外宇宙へと旅立つ。そこでは何が待つのか、誰が待つのか、冒険と探求の旅。希望と知識欲。太陽系だけではない、広大な宇宙への憧れ。
 青年になり、幼い頃の夢を叶え、外宇宙へと旅立った彼は、しかしそこで夢の終わりを見た――――。


 束の間の眠りから覚めたツルギは、久方ぶりに見た昔の夢に苦笑いを浮かべる。遥か遥か昔の記憶。普段は思い出すこともなかったそれに懐かしさと共に、切なさを感じる。本当の自分はあの時に死んでしまった。宇宙船の事故で暗く冷たい宇宙に放り出されて死ぬはずだった。それが、ホウオウキュータマを手にした事で生き延びた。生命維持装置が尽きても死ぬことなく漂っていた所を、奇跡的に救難信号を受けて駆け付けた近隣の船に拾われたのだ。生きている事が不思議なくらいなのに、酸素欠乏症などの後遺症もなくピンピンしていたので、医者も首を捻るばかり。その謎が知りたくて今度は科学者の道を歩み始めた。
 長年の研究でキュータマが一種のエネルギー蓄積装置であること、そのエネルギーが自分の体を維持していること。そして………。


 事故から10年ほどたった頃、しばらく会っていなかった学生時代の友人達に会った時、彼らは年相応に年齢を重ねていた。白髪が増えた、腹が出てきた、シワができた等と年寄りくさい会話をする中で、ツルギだけはあの時の姿のままだった。変わらないなぁ、なんて冗談を言いあって。けれどそれが20年になると、その異常さに誰もが気付き始める。事故にあったのは27歳の、10代の発達途中でもなく、30過ぎて緩やかに衰え始める頃でもなく、最も肉体的に熟成された理想の時代。ツルギの姿はその時のまま、体力も気力も満ち溢れたたままだった。あらゆる検査が生物学上の20代であることを指し示していた。
 歳を取らない体。
 その事実にツルギ自身も戸惑い、悩む。自分が人ではない何かになっていたと知り、恐ろしくもなった。自分だけではない、おおよそ歳を取らない人間など見たことがないのだから、彼をあまり知らない人々はプライベートでは気味悪がって近付かなくなっていった。やがて身内や親しい者も次々と天に召されて逝き、それらを見送り続けた結果、彼の方から心に蓋をして親しい人間を作るのをやめた。悲しい思いを、辛い思いをするならば、始めからなかった事にしてしまえばいい。最初から一人ならば、傷付かずに済むから。
 彼は孤独を埋めるようにひたすらに研究にのめり込み、沢山の失敗といくつかの成功でその分野では宇宙中に名を知らしめていった。中でもアンドロイド研究では、後の機体の殆どが彼の設計を元に作られているほどの第一人者となり、プロトタイプを何体も作り出した。人間と違いメンテナンスさえしていれば永遠の時を生きていけるアンドロイド、それはまるで彼の孤独を埋める伴侶を産み出しているかのような作業だった。

 この頃になると、宇宙には様々な恒星系や惑星国家が存在していることが明らかになっており、チキュウもそれらと交流したり、時には対立したりしていた。それぞれが独立した国で同盟を結べば交易も行われ、辺境の一星系だった太陽系もその恩恵で飛躍的に発展していった。チキュウは豊富なプラネジュウムのおかげで発展もしたが、他星系から狙われる事も多かった。
 鳳ツルギが次に目を向けたのは、故郷であるチキュウを守る事。始めは、邪魔されず、研究に専念したいと言う欲求からだった。先進的な科学技術は軍事に転用されることも多く、兵器の研究費用は軍から出ていることも少なくない。ツルギの研究所も同じで、兵器としてのアンドロイド研究が主な目的だった。だが優れた人工知能を搭載した彼のアンドロイドたちは、人間と同じように感情を持ち、個々の性格も違い、思想や考え方も異なる。ツルギにとってはもはや一人の人間として存在する彼らを、兵器としてしか扱わない事に怒りを覚えたのだ。だから軍に入った。自分が軍での発言権を得るためには、そうするしかなかったから。科学者としての探求心をそちらに向けたせいか、元々才能があったのか、長く生きている経験値故か、はたまた不死身と言う特性故か、ツルギは勝利による勝利を重ねて異例の速さで出世していった。だがいくら彼が勝利したところで、すぐに新たな戦争が起こり、宇宙から争いが無くなることはない。だから争いその物を無くすには星系国家群を一つにまとめてしまおうと考えた。相対する相手がなければ戦争は起き様がない。例え利害関係で対立したとしても話し合いで解決できる手段があれば争いは無くなる。
 その為にまず星系代表が集まる元老院を作ることを提案した。彼の呼び掛けに賛同した多数の星系が形ばかりの議会を作り、形ばかりの政治を行う。まだまだ宇宙統一と呼べるものでは無かったかもしれないが、戦争を望まぬ星系も多かったためにそれは人類史上でも大きな一歩だった。その中でツルギ自身は元老院には参加せず、チキュウ代表は別の者がいた。軍人が政治家になるべきではない、過去の歴史から学び、冷静にそう判断したのだが……。


 不死身将軍(インモータルジェネラル)、あるいは常勝の剣、そう呼ばれ部下から絶対的なる信頼を受けるツルギが負けた。それは連合軍の中だけでなく元老院にも衝撃的であった。元老院に与する事をよしとしない星系群には朗報でもあり、各地の戦局に少なからず影響を及ぼす事だろう。何より、ツルギ自身が一番ダメージを受けていた。
 自分が指揮官になる前の戦闘での敗退や、局地的な撤退は経験したことがあったが、自分が指揮して負けたことは今まで一度もなかった。しかも、戦場となった惑星、いや星系から撤退を余儀なくされるほどの大敗。
「俺様の作戦は間違っていなかったはずだ」
 ブリーフィングパネルに作戦シミュレーションと実際の戦闘の動きをリンクさせて表示させながら、ツルギは食い入るように見つめる。いくら見てももう取り戻せないと言うのに。
「作戦と言うよりは、敗因はお前がいなかった事だろう」
「…………」
「だいたいだな、前線指揮官を作戦行動中に呼びつけるか?」
「全く、お偉方と言うのは俺たちの足を引っ張る事しかしねえな」
 二人の会話を聞きながらもパネルを凝視し、ツルギは眉間のシワを深くする。
「俺様がいなくても、部下達は充分戦えると思っていたんだがな……」
「そりゃ過大評価だ。お前の下だから強いって奴らが殆どなんだよ」
「一頭の獅子に率いられた羊の群れは、一頭の羊に率いられた獅子の群れを駆逐する、だったか」
「なんだそりゃ?」
「どこかの星のことわざだ、確かチキュウだったか?」
 オライオンに聞かれてツルギも頷く。
「ああ、そうだな」
「へぇ、意味は?」
「そのままだ、烏合の衆でも指揮官が優秀なら勝てる、だが、いくら優秀な部下でも指揮官がヘボだと負ける」
「なるほどね………って、俺の事かよ?!」
 今回、ツルギがいない間はキマリが作戦指示を出していた。
「オライオン、てめぇ、ケンカ売ってんのか?!」
「怒るな。参謀は所詮参謀、指揮官じゃあないんだ仕方ない。その理論で行くと今回のヘボ指揮官は俺だ」
 肩を竦めて見せるオライオンの肩を叩き、ツルギは否定する。
「お前は優秀だよ、ただ今回はそれだけじゃないかもしれん」
「どう言う事だ」
「ここを見ろ」
 作戦行動の一部を再生し、ツルギが指し示す所を二人も見た。
「この敵の左翼、普通ここまで切り込まれたらもっと乱戦になるはずなんだが」
「…………下がってるな」
「そう、乱戦を避けて一部が後退している」
 パネル上で点滅しながら後退する敵の左翼の一部。それは一見こちらに押されて後退したかのようにも見えるが、整然とした動きは不自然過ぎた。
「そして隣の中央が全く動いていない」
「助けにも行っていないな」
「この後、こちらは中央と右翼で連携して相手を挟撃するはずだった」
「作戦を、知られていた……?」
 ツルギが頷き、二人は顔を見合わせた。
「面倒な事になったな……」
「敵よりも味方の裏切り者を探す方がよっぽど難しい」
「俺様が首都惑星に呼びつけられたのも偶然じゃないかもしれないぞ」
「元老院なんて、形ばかりのもんだしな、従うフリしてる国家なんていくらでもいるだろう」
 組んでいた腕をおろし、ツルギはポツリと独り言のように二人に語りかけた。
「なあ、俺様はどこかで間違っていただろうか」
「………なにがだ?」
 自分の掌を見つめ、ゆっくりと息を吐き出す。
「宇宙を統一するのに戦いは避けられないだろう、だから俺様は連合軍を率いている。だがそれはあくまで元老院議会の承認の元でだ。元老院議会を提案したのは連合している国家が互いに監視しし合う立場でなければならないからだ。これが仮に一人の人間が全てを決定するようになるとそれは独裁だ。過去の歴史上、独裁的権力者が軍事力を有した瞬間から国は腐敗する。それは大きすぎる力が権力者自身を蝕み狂わせて行くからだ」
 それはツルギが政治家にならなかった理由でもあり、彼自身の保身の為でもある。元老院がツルギの才幹を頼りながらも敬遠するのは、ツルギが政治家になり圧倒的カリスマ性で独裁者になった時に自分達の地位が脅かされると思い込でいるからに他ならない。そして彼らはやがて敵よりも身近なツルギを憎むようになり、命さえ狙ってくる。だからツルギは軍人に徹し、政治から離れるようしてきた。
「だから議会制と言う入れ物を作り、そこに各星系代表を入れたんだ。それなのに、結果は同じだ。元老院の奴等は連合の力を自分達の力と勘違いして、敵よりも味方の俺様を排除したがっている。俺様はどこで間違った?」
 二人には意外でしかなかった。鳳ツルギが弱音を吐くなどと。俯き肩を落とす彼の姿など見たくはなかった光景だ。彼らが生まれた時には既に元老院は存在しており、鳳ツルギは連合軍を率いて戦っていた。そう、二人にとってはそれが当たり前の事だったから。
「俺様が間違えたから、そのせいで部下達は無駄に大勢死んだ。何が常勝の剣だ、何が不死身将軍だ、祭り上げられていい気になっていたんじゃないか」
 頭を抱えるように両手を髪に差し入れ、ぐしゃぐしゃと掻き乱す。人並みに苦悩し、迷い、己自身を嘆く。あの自信家で尊大な態度のツルギがだ。こんなツルギは見たことがなかった。
「なぁ、ツルギ」
 オライオンが戸惑いながらも声をかける。
「俺には難しい事はわからんが、お前なら独裁者になっても案外うまくやっていけるんじゃないか?」
「……オライオン」
「俺も、そう思う。権力者の狂気を自覚できるお前なら、全うな政治家になり得るだろうよ」
「キマリ……」
 ツルギは二人を交互に見つめて、そしてふっと力を抜いて小さく笑った。
「お前らがいてくれてよかった」
 それは、ツルギの最大限の謝辞で。それまで孤独だった彼の隣に並び立つ者ができたのだから。
「よし、宇宙を統一したら、俺様は宇宙連邦大統領になる!」
「大統領……か」
「そうだ、宇宙初の大統領だ、こいつは伝説になるぜ?」
 楽しそうに言うツルギはすっかりいつものツルギだった。壮大な夢物語をさも簡単そうにさらりと言ってのける、自信に充ちた表情。
「よし、今回の敗けを取り戻さなきゃな、飯を食ったら作戦会議だ!」
 コートの裾を翻してブリーフィングルームを飛び出して行く後ろ姿を慌ててオライオンが追いかけ、更にその後をキマリがゆっくりとついて行く。まだ、宇宙は戦争ばかりだったが、平和が訪れるのも近い気がしてきた。








episode of 鳳ツルギ

      chapter2 星の未来











人間臭い所を出したくて、ちょっと弱気なツルギを書いてみたけど、この性格なので即立ち直りました(笑)


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

トリコン!&トリコン!リターンズ

2018-06-02 16:00:06 | 感想
話の内容はまあよくある感じなので取り立てて目新しい感じはしなかったですが、うまくまとまってるから良くも悪くもなくと言った所でしょうか。予算的に映画というよりはドラマレベルではありますが、無難に収まってる感じです。本編で金かかってない感じはしてたけど、メイキング見たらまさに金かかってない作り(笑)
三人のキャラは立ってるのでそれが面白くもあり、悪く言えばそれだけですが。
いやでもほんま三人がかわいくてかっこよいので、私は好きです。
メイキングはトリコン!三人分、リターンズ両方買いましたとも。ええ、まあ、なんだかんだ言ってますが、白状すると私は好きな映画ですわ(笑)。ほんま、おすすめ。南的に超おすすめ。
今なら中古とかで送料のが高いくらいなので(切ねぇ……)、是非みてください。



進藤の演じるエースは正義感が強くて、リーダーで、二人を見守るお兄ちゃん的存在。設定では同い年なのかも知れないけど、優しいお兄ちゃん。

八神演じるジャックはクールでナルシストで頭脳派で潔癖症気味でコーヒーが大好き。エースをサポートしつつ、キングも見てる。

南の演じるキングは、おバカで単純で演技が下手でトラブルメーカーで脳筋で、なのにとってもさみしがり屋。二人とケンカして出ていっても寂しくてちゃっかり戻ってきちゃうかわいい子。末っ子体質。撫で肩が酷いので常にパーカーが肩からずり落ちかけてます。若みなみひたすらかわゆいです。大事な事なので何度でも言います、キングがかわいい。


もーね、キングがやんちゃでかわいいのなんの。なんなんだこの子。それをまた南が演じてるものだから、さらにかわいさ倍増。リターンズでは脚本が三人の中の人に寄せてきてるから、甘党だったりの設定が盛り込まれてる。そして戦い方がガチ殴り合い、かと思いきやとどめがにゃーって言いながらのネコ引っ掻きwwネコ?!ネコなの?!キング=ネコは公式。しかもこのシーンのメイキングで二十歳過ぎた183cmの男に向かって、「はい抱っこー」って言っちゃうアクション指導なんてある??抱き上げる敵役さんも思わず笑っちゃって、二人でニコニコしながら抱っこしてもらってんの。なんなん??ほんまなんなん??

海のシーンはおもむろに服脱ぎ出して上裸で海に入っていき、頭を冷やすと言いジャックも道連れに引きずり込み、二人で波打ち際でキャッキャウフフと水の掛け合いっこ。
え?なにこれ?我々は何を見させられているの??
エースに「お前らだけ楽しいことしやがって!青春1号2号め」って。
あまりのかわいらしさに悶絶です。はい。



ストーリー??そんなもん後からついてくるんだ、とにかくかわいいキング見とけ、と言わんばかりの映画でした(偏見)
キングがかわいいです。




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする