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雨上がりの冷たい空気に冬の匂いが感じられた昨日、私は愛用の信濃屋オリジナルのレインコートを羽織りイタリア・ガッティ社製のカシミアマフラーを首元に巻き、頭にハンチング、デンツのペッカリーを嵌め、先日天神山のIさんにそそのか・・・いえいえ笑、お薦めされて購入した紳士の必需品・ブリッグの黒傘を手にぶらりの完全防寒コート5点セットのスタイルで、仕事帰りに銀座のシネスイッチへ映画鑑賞に行ってきました。
シネスイッチ銀座はわずか200席程度の劇場規模ながら、20年前『ニュー・シネマ・パラダイス』で40週連続上映、動員数約27万人、売上げ3億6900万円という驚くべき興行成績を収めたミニシアター界の雄ですが、私は今まで訪れたことが無く、長年の念願叶って初鑑賞となりました。
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特にお目当ての映画があったわけでは無かったのですが笑、今回私が観たのは『ココ・アヴァン・シャネル』。 詳細は敢えては語りますまい。他人の話で何がつまらないといえば昨日観たという夢の話とこちらがまだ観てない映画の話。ご興味お有りの方は是非。今月の26日まで上映予定だそうです笑。因みに、20世紀初頭の紳士の装いが次から次へと登場してくる本作品はクラシックな服飾好きの諸兄にも楽しめるたいへん素晴らしい映画でした。
初シネスイッチ銀座・・・良かったですね~!私は仕事の都合で毎朝が早いので途中眠くなってきてしまい(映画がつまらなかったという意味ではありません汗)、後半は最後尾席のうしろに立ち、手すりに頬杖をついて鑑賞しましたが、人影まばらな夜のミニシアターではむしろその方がいい感じでした。当世流のシネコンとは一味違う、懐かしい感じがするクラシックな映画館でした。
まだ私が社会人になって間もない頃、職場の大先輩にNさんという方がいて私はたいそう可愛がって頂きました。Nさんは美食と菊水の辛口が好きで一年中オーダーメイドの藍染の作務衣を愛用し、趣味のジャズプレイヤーを被写体にした白黒のフィルム写真は玄人はだしで、何より映画をこよなく愛する風流な趣味人でした。若い頃はバンカラで学ランに下駄履きで銀ブラを楽しんだとか笑。Nさんは映画は必ず銀座で観るといっていました。音が他とは違うんだとか・・・。
当時の私には彼が話してくれた四方山のことなど半分も理解できてはいなかったと思うのですが、生涯独身だったNさんはいつもどこか寂しげな丸まった背中に何故か大人の色気を感じさせる人でした。
映画を観た後、暖を取るために入った劇場の隣の2階にある『凛』というなかなかよい感じの喫茶店で暖かい珈琲をすすりながらそんなことを思い出した夜でもありました。