ひと日記

お気に入りのモノ・ヒト・コト・場所について超マイペースで綴ります。

Glen plaid over red pane suit

2010-11-18 04:00:00 | 白井さん


 『あれはチョークストライプじゃないね。』

 久々の前回訂正からスタートです(笑)。前回の濃茶のフランネルスーツのストライプを、私は“チョークストライプ”と書いてしまいましたが、これは誤りで、

 『まぁ、“ペンシルストライプ”ってところじゃないかな。』

 と、白井さんからご指摘がありました。フランネルといえばチョークストライプ!という私の思い込みがいけませんでした。謹んで訂正させていただきます。

 因みに、前回のスーツに使われていた生地はカルロ・バルベラ(伊)のもので、1998年、白井さんがミラノのテーラーでスーツを仕立てられるにあたり、その年のピッティ・ウォモの会場でルチアーノ・バルベラ氏に“何か良い生地はないの?”と聞かれたところ、その翌日、ヴィエラ本社からルチアーノ氏のご子息・コラードさんが生地見本を携えて白井さんを訪れ、その見本の中から“じゃあこれでいいや”と、白井さんがかの生地を選び、後日、今度は父上のルチアーノ氏がヴィエラからミラノのテーラーに生地を運び入れる、というたいへん大掛かりな手間がかかった“ちょっといわく付き”な生地、そして服なのだそうです。う~ん・・・それってある意味かなりの“贅沢”!(笑)

  

 さて、今回は白黒のグレンチェックにはっきりした赤いオーバーペインが入ったダブルのスーツ。白井さん曰く、

 『ルチアーノが好きで同じような服をよく着ていたよ。』

 という今回の生地もやはり“カルロ・バルベラ”とのこと。私にとって赤(もしくは青)のペインが入った白黒グレンチェックのスーツは、大人の落ち着きと洒落者の遊び心、という二つの性格を併せ持つ、経験ある紳士のための一着、というイメージ。ただ、以前白井さんが仰っていましたが、色、柄の大きさ、ペインの入り方などなど、ご自身のイメージにぴたりと合う“これは!”というものは簡単には見つからないそうで、これは例えばツィードのグレーのヘリンボーンやグレーフランネルなども同様で、伝統あるオーソドックスな色・柄ほどいざ選ぶとなるとこれがなかなか難しいのだそうです。でも、そう仰る時の白井さんはいつも嬉しそうですが(笑)。

   

 サックスの縞のシャツはフライ(伊)。フライはこのブログに最も多く登場している“Camiceria”の一つですが、今日の1枚は白井さんが愛用されている多くのフライの中でも最も初期のもの。白井さんが1986年にイタリア・ボローニャにあるフライの工場を初めて訪れた際に購入された一枚なのだそうです。ご存知の方も多いと思いますが、フライを最初に日本に紹介されたのは白井さん。それはつまり、この一枚に白井さんが袖を通された時から始まった、ということになるのかもしれません。

 縞のタイは“セッテ・ピエゲ”。この言葉も今では私ですら知るほどに広く認知されていますが、白井さんがイタリーでこのタイを購入された当時(’90前後)の日本では全く知られていなかったそうです。

 『ちょっと締めにくいんだけどね(苦笑)。』

 とのことでしたが、シャツ同様、こちらも“ちょっといわく付き”な品のようでした。

   

 さて、この日は、柔らかな物腰と穏やかなお話のされ方でいつも私にお声をかけてくださり、このブログにもコメントを頂いたことがあるLechner様がご来店されていて、私もLechner様と白井さんとの服飾談義に割り込ませていただきました。寒さも次第に厳しくなり始めた折ですので、話題は自然とコートについてのあれやこれやに。

 確固たるご自身のスタイルをお持ちのLechner様は、

 『僕は今の時期はギャバディン、そして春先にはコットンを着たくなるんですよね。』

 と仰りつつ、

 『贅沢してます(笑)。』

 とご謙遜されていましたが、白井さんは、

 『それは贅沢というより“こだわり”ですよ。』

 と称えておられました。信濃屋さんのお客様と白井さんの服飾談義には何気ない会話の端々にもお洒落の“要諦”が鏤められていて私には勉強になることばかり。

 一方私は、この日紺のブレザーに紺地の縞のネクタイを合わせるという暴挙に打って出てしまい、

 『もっと明るい色を選ばないと。』

 と白井さんからすかさずダメ出し(汗)。これは例えば、生成り色のジャケットに似たような色の替えズボンを合わせる(これも私が今夏に犯した悪例ですが汗)のと同じで、およそコーディネートとは呼ぶに値しない、

 『最もやっちゃいけないこと。』(白井さん談)

 なのです(涙)。以前、白井さんから“紺の服に紺のネクタイって色合わせが相当難しいから滅多にしない合わせ方だね”と伺っていたにもかかわらず、“やっぱりやるんじゃなかった”としばし反省・・・。

 でも、こうして白井さんから直接教えていただけることがどれほど価値あることかは言うまでも無いことですし、最近はたまにですが、

 『それ良い色だね。』

 と、ネクタイの色を褒めていただくことも、まだまだかなりピンポイントではありますが(汗)、あるんですよ(笑)。



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