昨日、横浜信濃屋さんのクリスマスパーティーに今年も参加させていただきました。
昨年に引き続き今回で2度目となったこの会。昨年は12月なのに最高気温が20度という暑さにも拘らず、白井さんに敬意を表してかオーバーコートをお召しになられた参加者の方がじつに多く、さすが信濃屋の顧客の皆様!とその洒落者ぶりに度肝を抜かれましたが、今年は平年並みの気温となり皆さん安心して自慢の装いを満喫されていた様子でした。
会場はこのブログでも以前紹介したことがある横浜馬車道のレストラン『パネ・エ・ビーノ』。クラシックな装いの諸兄が犇めき合う店内は巷の忘年会とは一線を画す例によって独特な光景でしたが、普段信濃屋の白井さんを見慣れているお店のスタッフですからそこは手馴れたもの。料理はいつもながら大変美味しく会の進行も手際よくスムーズでした。
パーティーの前には白井さんと“マエストロ”赤峰 幸生さんの好例の“トークセッション”。今年のお題は『映画から学ぶ紳士のスタイル』。会場には赤嶺さんが持ち込まれた、ゲーブル、グラント、マストロヤンニ、クーパー、などの往年の名俳優の写真や名画のポスターが並び、大きなスクリーンにはモノクロフィルムの映像が映し出されるという趣向が凝らされていました。さすが“マエストロ”!
白井さんはハリウッド映画、殊に西部劇をよくご覧になっていたそうです。『だって当時はそれしか無かったんだもの』とのこと笑。“ニュー・シネマ・パラダイス”のトト並に目を輝かせてご覧になっていたのでしょうか。
また今年は途中からシップスの鈴木 晴生さんがトークに加わって更に充実した内容となりました。甘いマスクと、白井さんも一目置かれる抜群の着こなしのセンスで紳士服飾業界では知らない人はいないという方で、私も天神山のIさんから“むちゃくちゃ恰好良い”と以前より聞かされていたので、初めての“生”鈴木さんにはむちゃくちゃ感動しました笑。毎年2回フィレンツェで行われ世界中の紳士服バイヤーが集う見本市“ピッティ ウォモ”の会場でも、鈴木さんの着こなしのセンスは群をぬいているそうです(“The Sartorialist”のBlog June 2008←こちらのサイトにピッティ会場でリネンスーツで惚れ惚れするほどの洒脱な着こなしを見せる鈴木さんの写真《15枚目》が掲載されています)。この日もナチュラルカラーのコーデュロイスーツを小粋に身にまとう姿が洒落者が居並ぶ会場でも一際存在感を放っていました。またハリウッド映画にも大変造詣が深く、精細な内容や一流の学者さんのような明晰な語り口調と、その端正な姿とのギャップも魅力的な方でした。撮影をお願いした時も驚くほど丁寧に対応していただいて感動頻りでした。
こちらは元テイジンメンズショップの平井 剛さん。なんと鈴木さんが“僕を撮るならこの人も撮らなきゃ”とご紹介してくださった方!銀座の通りを行き交う紳士淑女やその道のプロをも魅了し続けてきたテイジンメンズショップのショーウィンドウのディスプレイを長年に渡って手掛けてきたのはこちらの平井さんで、鈴木さんが最も尊敬する先輩のお一人なのだそうです。
パーティーの中締めに行われたインタビューに平井さんが登場されて“ある朝、開店前にディスプレイをしているとコンコンと窓を叩く音がして、振り返るとそこにジョン・レノンが立っていた”というお話をご披露された時には会場の皆さんが思わず驚嘆の声をあげていました。一緒に居たヨーコ・オノに“ジョンはあなたの店が好きなのよ”とも言われて、しばし彼らのお買い物のお相手をされたのが良い思い出です、と仰っていました。
こちらも大変有名な方です。天皇陛下の洋服を代々手掛けられている金洋服店の服部 晋さんです。服部さんの名著『洋服の話』は私も読ませていただきました。物腰が柔らかくて“品格”という言葉がぴったり当て嵌まる装いのまさに“紳士”でした。
という訳で、どこを見渡してもご自身のスタイルをお持ちの錚錚たる顔ぶればかりで、私の居場所など全く無く、ずっと壁にへばりついているという状態(料理を取り分けるとき以外)でしたが、信濃屋の皆さんにお力添えをいただきながらなんとか撮影することができました。皆さんありがとうございました。
そしてやはり最後はこの方を。信濃屋の白井さんです。今回もこれが撮りたくて参加したというのが理由の大半を占めています。濃紺のダブルのスリーピースに水玉のボウタイを締め、胸のチーフは艶やかに、足元はピッカピカの黒のキャップトゥ、頭にホンブルグ帽を戴き、濃紺のチェスターコートの襟元はタイと同ピッチの水玉をあしらった濃緑のシルクスカーフ、手には当然ステッキという完璧な着こなし。“凄~い!これが天神山Iさんが以前言っていた、若者の街渋谷でも一際目立っていたという白井さんのコートスタイルか!!”と一人合点していました。
最後は昨夜のベストショット!往年の名画のどんな俳優たちの写真よりも私にとっては遥に価値のある“今を生きる”一枚です笑。
皆さん各々が信濃屋テイストを自分の色で表現されていて、末席の私には右を見ても左を見ても参考になる着こなしばかりでした。特に年季の入った方々は肩の力が抜けた自然な着こなしの中に少しの遊び心を忍ばせて尚且品各を感じさせるという風情に私などは只只感じ入るばかりでした。
こちらこそ、また信濃屋さんでお会いした際は色々教えてください。
では。
パーティ、楽しかったですね。参加者の皆さん、信濃屋テイストのクラシックな装いで、僕ももう少し色物とかの遊びを入れればよかったかなと、思った次第です。
そのうちまた、どこかで(信濃屋で?)お会いしましょう。お邪魔しました。
『腰引けながらも楽しいひと時』という複雑な体験ですが、翻って自分の現在地も解り、来年はもっと楽しみたい!と思う素敵な体験でもありました。
来年は是非ご一緒しましょうね!
では。
これは凄いメンバーですねー。
来年こそは参加したいと思っていましたが、腰が引けてしまいますね。