『(セパレートの着こなしに比べると)スーツはネクタイ選ぶだけだからなぁ~。』
以前、白井さんはスーツの着こなしについてこう仰ったことがありました。
“着こなしの基礎を養うならセパレートで組み合わせの変化を日々心掛ける”
これもまた白井さんに教えていただいたこと。スーツに比べると選択の幅が広いジャケット&パンツには学ぶ点が多いと。
では、スーツの着こなしは簡単なのでしょうか。
答えは勿論“否”。
“ネクタイを選ぶだけ”
というのはもちろん白井さん一流の表現であり、私などは決して鵜呑みにしてはなりません。個々の組合せが全体の印象を決する、という意味においてはスーツもセパレートも同じなのですから。
控えめな光沢を湛えたシャークスキンのスーツは着こなしを知り尽くした大人のための服。クラシックな2ボタンがその印象をより一層強めているように感じます。
ネクタイはブルーをベースにしたジャカード織り。麻のチーフは、一見無造作に感じるほど、緩やかなピークを形作り胸元へと忍ばす。シャツは上質のポプリン。スーツの光沢、ネクタイの色合いに合わせるように、ダブルの袖口には14金ホワイトゴールド(オーバーレイ)のカフリンクス。足元は黒のキャップトウ。靴下はブルー。
それぞれが意味を持ちながら、でも主張しすぎず、互いに共鳴しあい全体の印象を構築する。そして、それらすべてはいつも“さりげなく”組み合わさっているのです。白井さんのスーツ姿はいつもそうです。シンプルで、さりげない・・・。
さて、昨年の12月18日に、この項“白井さん”の掲載をさせていただいてから今日ではや9ヶ月が過ぎました。第1回目は冬の初め、コートを羽織り始めた頃だったと思います。季節はそれから春、夏と過ぎ、今ゆっくりと“秋”を迎えようとしています。