今回からこのブログの更新も9月を迎えることとなりました。9月はまたの名を長月。秋の夜長が語源らしいですが、最近では長いといえば“残暑”。夏が大好きな私ですが、こうダラダラと暑い日が続くと些かうんざりしてしまい軽く夏バテ気味になってしまいます。ひょっとすると今年の十五夜は“カキ氷片手に月見”なんてことになるかもしれません。
まだまだこの暑さはつづきそうですが、残暑来たりなば秋遠からじ、この項をご覧頂いている洒落者の皆さんは来るべき次の季節を見据えつつ着々と準備を整えていらっしゃることでしょう。とはいえ、季節の変わり目は着るものにとかく悩むもの。そんな時は、
『色で変化をつけるのがいいね。』
と、この日は白井さんから着こなしのワンポイント・アドヴァイスを頂きました。いきなり秋冬物の素材へ移行するのは無理があるので、素材は夏物でも少し濃い目の色や抑えた色調のものを使うなどして着こなしに変化をつけるのが良い、とのことです。
今日の着こなしは明るめの色使いながらも色調を揃え、落ち着いた“晩夏”の雰囲気が表現されているのかな、と感じました。
さて、タイトルに“shoes like an antique furniture”なんてちょっと大胆な表現を使ってしまいましたが、決して言い過ぎではありません。白井さんの靴はこの日も素晴らしい、そして独特な輝きを放っていました。シルヴァーノ・ラッタンツィ(伊)のキャップトウです。
セブンアイレッツ、リヴォルターテ、コバ内側の鋭角的な切れ込みから続くべべルドソール、といったディテイルもさることながら、特筆すべきは独特な“古び”を纏わせる白井さんの“磨きの技”。今日の靴はさほど古いものではないとのことですが、まるでアンティークの家具を連想させるような深みのある艶と輝きを湛えています。白井さんは、
『ちょっとイタズラしてみただけだよ(笑)。』
と仰っていましたが、誰もがおいそれと辿り着ける境地ではないことは火を見るよりも明らかなことです。表面をツヤッと光らせるだけなら私にもできるのですが、白井さんの靴は内側から底光りするように、時に鈍く、時に強く、時に柔らかく、時に鋭く、見る角度によって様々な輝きを放ち見る者を魅了して止まないのです。