信濃屋さんのウィンドウがぐっと秋めいてきて道往く人の目を楽しませています。毎年の風景なのに何故か新鮮に感じるのはきっと私だけではないでしょう。我々のDNAの中にある四季を愛でる心がそう感じさせているのに違いありません。
今日の“白井さん”は初秋を楽しむコットンスーツの着こなしです。
イタリーの豊かな遊び心と優れた色彩感覚がこの色を生み出すのでしょうか。ジャンニ・カンパーニャ(伊)のハンドメイド・スーツは見る者も楽しませる独特の色合い。そして合わせる小物もまた遊び心溢れ色鮮やかです。
足元はスウェード&ラバーソールの外羽根プレーントウ。鮮やかなグリーンのニットタイは複数の色の糸が複雑に絡みあい躍動感のある編み込み。胸元にはタイとは少し色のトーンが異なるグリーンのペイズリー柄のチーフを。
夏が始まった頃、このブログを楽しみしてくれている服飾仲間のT君との会話で、
『白井さんは麻のシャツは着ないんですかね?』
という素朴な疑問がテーマになったことがありました。早速後日、白井さんにこのことを質問してみると、
『何枚か持ってはいるけど滅多に着ないねえ。シャツは上質の綿が一番良いよ。』
とのお答えをいただいたことがありました。確かに夏の間も最も“登板数”が多かったのは白井さんが“絹ポプ”と呼び、愛用されている超細番手の綿のポプリン織りのシャツでした。
しかし!今日はその滅多にお召しにならない“LINO”麻のシャツの登場です。但し、白井さんは基本的に人前ではジャケットは脱がない主義なので、私の判断で写真の構図がちょっと控えめにしてあります。ご容赦を(笑)。
ナポリで衝動買いされたというシャツはノータイでも決まる小さめで柔らかい襟。各所に施されたギャザーや両胸のフラップポケットもエレガントで、これならジャケット無しでも品良く決まります。そして、何となく白井さんの中での麻のシャツの位置付けが解ったような気がします。
それから、今日のニットタイの素材はタイトルにある通り“アルパカ”。
実は先日、ひょんなことから白井さんとこのアルパカのニットタイの話になり、その時私が、
『ええ~!アルパカですか!じゃあ冬用ですね?』
と伺ったところ、白井さんが、
『いや、そんなこともないけどね。』
と説明してくださった、という経緯がありました。まさに“百聞は一見にしかず”。私にとっては今日の白井さんの着こなしにはそんな意味も含まれているのです。白井さん、ありがとうございました!