ちょうど2000年にU先生の「生き甲斐の心理学」に出会い、その影響も大きく長年勤めていた会社を辞め、一時福祉業界で働いたことがある。そこで、福祉や医療の世界を内側から垣間見る機会があったのだが、人間観の大切さを肌身で感じることになった。
人間観というと学校で有名なところだと性善説とか性悪説を習ったりするが、自分で人間とは何かを自問自答しつつ考え、これだといった考えを訓練しつつ血肉化しているかは別だと思う。
医療や福祉の現場では、その人間観によって仕事の質が随分違っているように思うがどうだろうか。医療・福祉と言ったが、それだけではなく人間と強く関わる職業といったらよいかもしれない。
U先生の「生き甲斐の心理学」は欧米の比較宗教学、比較文化論、現代臨床心理学の影響を受けた実践的な心理学だと思うが、次の式で人間観(心理学の世界もキリスト教文化圏の影響が強いと思う)を表している。数式にできるほど人間は単純では無いとは思うが、私にはとても分かりやすかった。
A=B(X+Y)
A:生身の人間
B:魂(宗教や哲学の世界)
X:生育史から形成されるこころ(臨床心理学などの世界)
Y:身体(物理的な身体で主に医療の世界)
数式で表現しなくても、人間は身体だけでなく生育史や魂から成り立つというだけで良いかもしれない。
この中で、B(魂)をどう考えるかはいろいろあると思う。死んでしまえば魂などというものはないという考えもあるだろう。死んで身体から離れる生命体がBで、Bはあると考える人もいるだろう。その生命体についても愛そのものと考える人もいれば、生育史がいろいろあるように様々とする人もいるだろう。私はカトリックの神学者ジーン・ドージャの本やU先生の影響もあり「愛そのものであり死んで身体から離れる生命体」と思っている。
医療や福祉の現場に限定しなくても人間関係はきれいごとでは通用しないことも多々ある。そんな時にBをどのように考え信じるかは、とても重要だ。
さて、縄文時代の人々はどのような人であったのだろう。最近、脳科学者の解説本を読んだが、4万年くらい前のスペインやインドネシアの洞窟の壁画などを見ると、現代人と同じような自伝的記憶段階に来ているとしているようで、縄文時代の人も現代人も同じような認知機能はもっていたと仮定しても良いようである。
では、縄文人はどのような人間観を持っていたのだろうか?いろいろ調べると魂(死んで身体から離れる生命体)は信じていたと思われる痕跡が随分ある。私の家の近くの例えば5000年前など縄文中期の遺跡でも、自分達の生活の場(中央広場など)にお墓をつくったり、先祖のお墓が見事に綺麗に環状を成していたり、環状の配石積石遺構(ストーンサークル)があったり・・・死者との関わり、魂との関わりをいろいろ考えていたのだなと思えることが多い。
縄文人は文字を持たなかったため、5000年前の人間観や宗教については、この時代に文字が唯一あったと思われるメソポタミアの最古の宗教に関わる本を読んだり、日本神話なども勉強した。日本は島国だから文化的に隔絶されていると思われる方も多いかもしれないが、縄文時代にも大陸文化移入の証拠があったりもする。もともと6-7万年まえにはすべてのホモサピエンスはアフリカに住んでいて、日本列島に来た私たちも、川や海を越えてやってきたのだから当たり前かもしれない。
そして、富みの偏在などが少なかったと思われる縄文時代は、現代よりもずっと前向きなB(例えば愛そのものの魂)を信じる人が多かったのではと思うのである。環状住居の中心の身近な中央広場にお墓などを作る感覚はどうだろう。幼い頃、お盆になると祖父母も含めて家の玄関の前で迎え火を焚いたりしたが、祖父母の言葉の中に優しい先祖の魂を感じたりしたものだ(因みにお盆は仏教到来以前とする説をとっている)。
今から3年前に縄文小説「森と海と月 5000年前の祖先の愛と魂」書いたのだが、縄文時代の祖先が愛そのものの魂を意識していたという物語だ。
そして、思うのだが人の中に愛そのものの存在を、どこかにあると信じる人間観こそ、本当の意味で「おもしろおかしく」自由に生きる源泉になるのではと。もちろんいろいろな考えはあると思うが、週末にのんびり考えてみたらどうだろう。
写真は近くの公園の高台から昔は川が流れていた場所を縄文人のように眺めて。
縄文時代もおもしろおかしく 2/10
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