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縄文小説家・森裕行のブログです。身近な縄文を楽しみ生き甲斐としています。「生き甲斐の心理学」の講師もしています!

ホンワカ気分・・・明るく逞しく生きる知恵(縄文時代の楽しみ方 7/10)

2020-04-30 | 第五章「和解と平和」

 いつもであれば、花粉が飛ばなくなるこのゴールデンウィークごろから外出を楽しむのだが、今は非常事態宣言下。好きな遺跡回りも控え、事態の好転を祈りつつ日々を送っている。

 ふと3.11のころを思い出す。命の危険すらあった原発の事故で感じることがあり、ガイガーカウンターを買って気になっている場所を調べたりしたこともあった。3.11から半年以上たった冬には、所属しているNPOの関係で津波の被災地に、U先生をはじめ何人かで訪問したことも思い出深かった。
 人生ただでさえ、いろいろなことに遭遇するが、今回の新型コロナウィルス感染症(COVID19)のようなことも起きる。身近なところで感染があれば狼狽えてしまうかもしれない。そんな時にも役に立つ知恵が、次のU先生のYouTube動画にある。どうぞご覧下さい。元気で生きる(4)人生の妙薬
 さて、U先生のこの動画には睡眠、歌と踊り、自己実現といったポイントが6つあったが、今日は、その中の「ホンワカ気分」について考えている。人は日々の中でも、あるいは苦難の中でも、五感・体感を通じて自分が大切にされているという実感が大切だと思う。ちょっとした美味しい食事、のんびりと風呂に入れたり、好きな本やテレビ番組を見たり、自分だけでなく、草木に水やりをしたり、ワンコに餌をあげたり、ちょっと人に気遣ったり、あるいは仏壇で手を合わせたり、静かな祈りの時を持ったり・・・そんなちょっとしたことで、こころがホンワカとなり、何かがピシッとなる。
 働き盛りの時に、先輩から緊急時に休日を返上したりし、それこそ月月火水木金金・・と働くことは避けたほうが良いと教えていただいたことがある。一日の中でホンワカ気分を味わうこともなく突き進むと、確かに何かがおかしくなっていく。今はそのように解釈している。
 
 さて、温故知新で祖先のことに想いを寄せてみよう。縄文時代の人はどのようにホンワカ気分になったのだろうか。縄文時代の村や家族の大事な食事(お袋の味)に使われた土器や灯火の燭台に使われたと思われる香炉型土器。かわいい土偶・・そういった目で見える遺物から想像できることもあるが、神話や伝承といった無形のものもある。この数週間、遺伝子科学を意識した世界神話学に興味をもちいろいろ調べている。例えば日本の神話や伝承は、長い祖先の記憶を反映し、いろいろな時に作られた神話や伝承の要素で形成されている。イザナミとイザナキの神話も、研究者によると、似たような神話・伝承は日本だけでなく、ポリネシア、フィリピン、ボルネオ、ヒマラヤ、シベリアまで広がり、最後は二人が離婚(決別)するところも同じだそうだ。まあ、祖先の日本列島に辿り着くまでの道のりに想いを寄せることになる。
 
 さて、世界的にも貴重な記紀や万葉集は、それまでのヤマトを中心とした地域の神話・伝承を編纂して7-8世紀に作られた。その時代は、文字の導入、律令制の導入、・・・つまり日本列島の中央部が国家を形成する時代だ。そして、その時代の中心人物の一人として女帝・持統天皇がいらっしゃる。私は縄文文化にこの6-7年熱中しているが、7-8世紀については高校生のころから興味を持つようになり、それからずっと奈良や飛鳥をよく訪れ、今では第二か第三かの故郷のようにさえ感じている。
 持統天皇といえば万葉集の「春過ぎて 夏来るらし 白栲の 衣乾したり 天の香具山」が断然有名であるが、夫である天武天皇が亡くなったときの歌は私がもっとも好きなものだ。一番好きな長歌(巻2-162)は省略させて頂くが、短歌を二つを見てみたい。
 「燃ゆる火も 取りて包みて 袋には 入ると言はずや 面智男雲」(巻2-160)
 「北山に たなびく雲の 青雲の 星離り行き 月も離りて」(巻2-161)

  縄文時代の勉強をする前は、解説書の一通りの説明を見ても何だかよく分からない(特に1番目)という印象であったが、縄文時代のことを学んだせいか、こうした歌で、縄文的なイメージが喚起される。有名な「春過ぎて・・」には衣が登場するが、研究者の中には羽衣伝説(世界的に有名な神話)との関係に言及する方がいらした。そこで、同じように神話という観点で,この二つの短歌を味わってみたい。

 「燃ゆる火も・・」の歌は香炉型土器を彷彿すさせる。以前のブログでお話したが、イザナミが火の神カグツチを産み、身体を焼かれ黄泉の国に旅立つ。そうしたイザナミとカグツチの神話をランプとして使われたであろう香炉型土器を見ると感じてしまう。いろいろな香炉型土器があるが優しい女神の腹部あたりに火を点したと思われるものもある。もしもそうだとすると、持統天皇はどのようなイザナミ・イザナキの神話をイメージしたのだろう。記紀に収録された物語だったのだろうか?一般に世界のイザナミ・イザナキ型の神話は洪水で兄妹のみ生き残り、タブーの結婚をし試行錯誤しつつ子を産み、やがてイザナミ(女神)が黄泉の国に行き黄泉の国を支配するようになり、夫と離婚する。そんなパターンだ。日本の神話・伝承には洪水と兄妹の話の前段が残っているものがあるが、記紀では省かれている。長崎の隠れキリシタンが残した「天地始之事」は前段をのこした話がベースであるとしている学者もいらっしゃる。持統天皇の父・天智天皇と兄妹関係にある間人皇女の関係は小説家が特に興味を持ちそうなところで、ひょっとしたら当時の人ははっきり言わないまでも皆が知っているような事実だったのかもしれない。夫の死、厳しい政治状況、こうした中で持統天皇は何かを昇華していったのではないだろうか。
 「北山に・・」・・この何気ない歌は、月や星、そしてどこかで太陽を歌っているようであり、何万年前という人類の非常に古い神話(太陽、月、星に関する)でアボリジニやインドネシア、アフリカにまで伝わっているそうである。持統天皇は自分の深奥の魂の物語に触れて、こころをホンワカとさせたのではないだろうか。妄想は尽きない・・・縄文小説が一段落したら持統天皇について小説も書きたいところだ。

 さて、この二つの歌を歌ったころの持統天皇といえば、それは私たちが今おかれている不安以上の時代に生きていたのだと思う。5-6年前には自らが大病を患い夫により薬師寺が建立されたりした。

 2年前には南海トラフが動く大地震があり四国を中心に大きな被災があった。政治的にも大津皇子等が力を持つようになり、既に何が起こっても不思議でない疑心暗鬼の時代にと突入している、夫も恐らく結核で亡くなり、一人息子の期待の星、草壁皇子も病魔が押し寄せている。持統天皇が置かれた立場は四面楚歌で命ですら風前の灯火であった。

 この二つの短歌を作った持統天皇。緊張の中に何か熱い想いやホンワカ気分を感じていたのではないだろうか。そして、天武天皇が亡くなって電光石火のごとく息子の草壁皇子の政敵・大津皇子を排除する。そして、次々と的確な判断のもとで同志でもあった夫との意思も次ぎ律令国家成立と自らの蘇我氏の血の政権への確保を目指していく。まあ、妄想はそのくらいにして、話を戻そう。

 「ホンワカ気分」。乳幼児のころ母により産湯につかったように入浴してリラックスする。家族で食卓を囲みお互いを気遣かっての食事。庭先で夕空の月を家族で眺めたり。祖父母から昔話(神話)を聴いたり・・・そんな愛の原型に触れるような行動は人を元気にする。ホンワカ気分について意識することは、ギスギスしたときこそ必要なことではないだろうか?

 ところで持統天皇は、自らの政権を確立すると、よく吉野を訪れた(31回とも)。そこで謀議をしたとかいろいろ推測されているが、縄文的な吉野(宮滝からは神山・青か峰が見える)で祈りの日々を送っていたと個人的には想像している。そして、そこでホンワカ気分を味わっていたのかもしれない。

 

次の書籍を参考にしました。また私の前々回のブログとも関係します。そのブログはこちら
「世界神話学入門」後藤明著 講談社現代新書 2017年 
「古事記 環太平洋の日本神話」勉誠出版 2012年

縄文時代の楽しみ方 7/10 

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